物語
星狩りの村は、その昔、本当に星を狩るために作られた村だった。優秀な学者や識者、熱意を持った人で溢れていた。
しかし、そのための実験はなかなか成功する兆しが見えなかった。
ある人は高い塔を作ったが、星に届く前に雷で打たれて死んだ。ある人は空を飛ぶための翼を作ったが、風に吹かれて墜落した。
誰もが諦め掛けたとき、一軒の宿屋が建った。
その宿屋の主人は、星を狩るための一員ではなかった。知識も熱意も、集まった皆に比べれば少ないものだった。
だが、その宿屋の酒場でみなが集まると、不思議と、明日、またやってやろうという気力がわいてくるのであった。それはお酒の美味しさなのか、主人の知識の無さが寧ろ発想の転換を生むのか。
ただ、その光景を眺め、主人はおおらかに笑うだけだった。
しかし、無常にも研究は進まなかった。人も随分と減ってしまった。そして何時しか、研究を続けることが困難になった。
ある日、暗く沈み、人数が少なくなったみなに向かって、主人が進んで話し始めた。聞き役である方が多かった主人が喋り始めたことにみなは驚き、静かに耳を傾けた。
「俺は、星を手に入れた」
その一言に、みなはざわついた。嘘を言うような人物ではないと知っていたが、ではどうやって?
「俺は星を手にしたがために、毎日といっていい程、目が眩んだ。なんせ、星達が飽くことなく光りながら酒を酌み交わし、議論しているんだから」
皆は息を飲んだ。
「何人かは消えてなくなってしまった。だが、あいつらが迷わず帰ってこれるように、俺はこの名の無い宿に、名をつけようと思う」
星の集う宿、スターダスト。それが、この宿の名の由来……。
今でも―星を狩るための議論こそなくなってしまったが―村には個性豊かに光り輝く星達が集う。
そんな星の輝く村に、流星のごとく降ってきた噂。
昼間は人間のふりをして、夜に正体を現すという人狼。
その人狼が、この村に紛れ込んでいるという噂が広がった。
村人達は半信半疑ながらも、スターダストに集められることになった。
霊能力を持つ羊飼いの少女と旅の狩人の手により、人狼のリーダー“星屑”は退治された。
人狼たちが“星屑”“満月”“銀河”と名乗っていたことから、星狩りの村は“人狼狩りの村”の異名も持つこととなった。
羊飼いの少女の奇策を始めとして、このときの人狼対策の方法は、村の議事録に記録されることとなった。
中には、この村で実際には行われなかった対策方法――狼に襲われるのを防ぐために能力者に名乗らせず、投票用紙に名前を記載させることで名乗らせる作戦なども載せられた。
それはいろんな村で行われた人狼対策の方法を記した貴重な文献として、村に遺された。
時は流れて、今、再び、人狼の脅威に村は晒されようとしているという噂が立っている。
村人たちは再び宿屋スターダストに集められることとなった。
容疑者はもちろん、偶然居合わせたものも、人狼に対抗できる力を持つと推測されるものもすべて。
再び“星”を狩る議論の場へ。村は誘われようとしていた――…。
舞台
- F2033の10年後という設定です。
- 時代背景は近世〜現代未満くらい。ドイツっぽい国の架空の村です。
- 村の名前は星狩りの村。
- 村の名前の由来は『物語』を参考に。
- F2033のその後という設定ですが、『物語』中に出てくる『羊飼い』『旅人』等の登場人物は、はカタリナやニコラスとは別人として扱って下さい。
- 舞台は宿屋スターダストの中です。
- その他の設定は各々にお任せしますが、進行中はキャラクターを村の外に出さないようお願いします。
- 人狼騒動を経験している村のため、編成や人狼への対処方法は、全員わかるものとして下さい。
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