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氷の使徒と、紅蓮の輩の概史について。

氷の使徒達の発祥は600年ほど以前にさかのぼる。寒冷の地の海辺に時折流れ着く氷塊の様子から、表面に見えるより、人ははるかに大きな潜在能力を持っているとする思想に基づいて自らをそのように名乗る事にした、と言われている。潜在能力の宿る部所として、通過儀礼としての頭部への穿孔が発祥初期に行われていたが、なにぶん医療知識や技術の発達していなかった時代の事で、多数の死者・廃人を出してしまったため、一旦は行われなくなっていた。

発祥から約300年後に、一部の被施術者にのみ特殊な能力が生まれた事を古文書で知り、むしろ積極的に頭部への処置を行う一派が現れた。300年の間に発達した医療の成果もあって、彼らは順当に成果を収めてゆく。が、その頃には、知力を重んずる宗教として勢力を広めつつあった氷の使徒達から、彼らが異端とされるのにさほどの時間を要することはなかった。約20年にわたる掃討戦により、異端の徒は根絶されたように見えた。なお、その際氷の使徒は特殊能力発生のノウハウを得ることに成功している。

が、氷の使徒発祥の地から遠く離れた島国で、異端者たちは細々と命脈をつないでいた。掃討戦から海路で逃れた者達が異郷に流れ着き、そこで自らの信ずるところを広めていたのである。掃討戦において、彼らの郷里が紅蓮の炎に包まれた事への怒りを忘れぬため、その頃から自らを紅蓮の輩と名乗るようになった。
紅蓮の輩たちの新たなる根拠地は、気候温暖で豊かな土地であったが、それゆえに権力者達からの搾取の対象となりがちであり、異能者を多数擁した紅蓮の輩達は、やがてしばしば反乱を起こすようになり始めていた。

権力者達が紅蓮の輩の叛旗に頭を痛めていた頃、氷の使徒達が布教の為にかの地に現れた。200年以上前に殲滅したはずの異端が思いもかけぬ地で復興し、しかも着実に勢力を蓄えていた事に驚く氷の使徒たち。権力者と氷の使徒たちの利害は一致し、紅蓮の輩掃討が再び行われた。今回も戦闘は20年以上に及んだが、先の異端排除時に得た異能の知識、それによって生み出された異能者たちの働き等が効を奏し、最終的には氷の使徒達が勝利を収める事となった(これが、本編における現在から25年前)。

紅蓮の輩の教主は、教徒達のために長年蓄えた財宝をいずこかへ隠し、孫を連れて流浪の日々を送っていた。その間に、財宝のありかの場所を知るために必要な鈴を複数個つくり、紅蓮の輩の残党の子供達の体内に埋め込んでいたが、15年前に発見され、処刑された。なお、孫は精神のみほかの者の肉体に入り込むことによって、数百年でも生きる事が可能であったため、教主に、遠い日の教団復興を委ねられたのだが……。

紅蓮の輩掃討に成功した氷の使徒は、この国での布教活動の自由を確約され、5年の後には国教として認定されるに至る。ただし、紅蓮の輩の再再度の復興の危惧は免れえず、内々に思想取締りのための組織を作り、現在に至る。