[[企画村ページ]]
**回遊パラドックス
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-&COLOR(green){''更新履歴''};
09/10/23 → 『回遊パラドックス』のWiki作成
09/10/27 → 村名決定、開催日決定、キャラ予約の開始
09/10/27 → 村設定把握の為のショートストーリー追加
10/02/09 → 参加CO関連について、修正
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-&COLOR(green){''開催日時''};
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&COLOR(red){''2010年3月1日村建て ／ 3月3日開始 予定''};
&COLOR(red){''また、2月10日までにダミー込みで10人以上のCOが揃わない場合は企画凍結、とします。''};
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-&COLOR(green){''この村の趣旨''};
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参加者様其々に独自の『夢世界』を構築して貰い、
その世界を回遊するのが主眼の村です。
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-&COLOR(#000080){''冒頭''};
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『ヒトは何故、夢を見るのでしょう。』
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ガラスに包まれた空間で、か細い声が問う。
見渡す限りの水平線は答えを伝えようとはしなかった。
目覚めたばかりの貴方は何処までも自由。
空は果てなく高く、眼下には深い蒼が広がっている。
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『夢が願いの種であるのなら、
其れは何時か、花開き、実を付けるでしょうか。』
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場に不釣合いの棺は漆黒。
金の十字架を中心に印し、銀で縁取られた沈黙。
生物の"音"は聴こえない。水平線と共に続く静寂。
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『願わくば、優しい夢を。
願わくば、愉しい夢を。
そして、叶うのならばきっと―――。』
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言葉は、緩やかに開いた扉の音に遮られた。
暗示するかのような風が意識を撫ぜる。
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-&COLOR(#000080){''舞台設定''};
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※はじめに
この世界は所謂、夢の集積場と捉えてください。
世界存在自体がとても不確かで、夢そのものであるため
此処へ訪れた貴方のPCは仮の姿です。
恐らくは願望なり、後悔なり、の強い思念。
其れが反映された偽りの姿、でしょう。
また、此処には『カリュクス』と名乗る存在が居ます。
夢の調律師、という肩書きみたいですよ。
（進行中、カリュクスに明言させますが、
この世界は仮称で、『&COLOR(red){''白昼空間''};』、とします。）
~
→開始地点
プロローグ段階でのPC位置です。
全キャラクター同一の部屋からスタートします。
二つの部屋が一つの廊下で繋がれています。
一つの部屋には人数分の棺。（此処がスタート地点）
もう一つの部屋にはピアノと、人数分の扉。
どちらも部屋は全面硝子張りです。
何処までも続く水平線が見渡せる、宙に浮かんだ空間で
頭上には果ての無い青空、
足下には真っ青な海が広がっています。
部屋の外は、それ以外に存在しません。
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空には太陽の代わりに砂時計が浮いています。
大きさは、太陽と同程度、です。
太陽は勿論、ありませんが真昼のように明るいです。
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この空間のイメージは鳴門海峡、渦の道。
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http://wolfsbane.jp/img.php?filename=d_112531_1_1256263937.jpg&m=pc
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この写真の、丁度渦が見れるガラス張りの部分。
こんな感じで空間が作られていると想像してください。
空間を支える柱などはなく、完全に其れのみで宙に浮いてます。
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→夢の世界
この村では、それぞれの思念、
所謂、夢で見ている世界を回遊してもらいます。
ピアノと扉のある部屋から扉をあけた先が『夢の世界』です。
この『夢の世界』に関しては参加者様に決めて頂きます。
基本的に、世界観は自由です。
何処までもリアリティな夢もあれば、その真逆もありです。
（この世界は、『&COLOR(red){''明晰空間''};』と仮称します）
~
ただし、『夢の世界』を設定付ける上で、
以下の点のみ、注意し、盛り込んで下さい。
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&COLOR(red){''１．『夢の世界』において自分の本当の姿を作る。''};
&COLOR(red){''２．NPCは幾ら殺してもOKです。但し、PC殺害は出来ません。''};
&COLOR(red){''３．『夢の世界』の何処かに、他PCも視認できる砂時計を置く。''};
&COLOR(blue){''（何処でも可）''};
&COLOR(blue){''４．本当の姿を動かせるのは『夢の世界』の主だけです。''};
&COLOR(blue){''（例えばセシルの世界に居るセシルの本当の姿はセシル自体にしか描写できません。''};
&COLOR(blue){''其の他は他PCでも自由に色づけしていいと思いますが、''};
&COLOR(blue){''ここは大事なところかなー、と思いますので。''};
&COLOR(blue){''但し、主本人から「ご自由に」とメモで言伝がある場合は''};
&COLOR(blue){''自由にしていいです。）''};
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※注釈
１．所謂、お墓行き用の設定です。
この本当の姿が消失すると、PCは仮死状態になります。
２．PC殺害できるのは狼サンだけ、なので！
&COLOR(blue){''また、『夢の世界』では死すら夢ですので、基本的には死にません。''};
&COLOR(blue){''本当の姿が消えてしまった場合のみ、仮死状態になります。''};
３．砂時計は24h区切りの目安的なアレです。
これが落ちきるまでに戻ってきてね！、なアレでソレ。
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-&COLOR(#000080){''役職''};
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※参加人数により、役職は削るとおもいます。
今の所、14人目安で考えてみてます。
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村人→
特別な事は何もありません。
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共鳴→
何よりも『誰かと繋がっていたい』と願った人。
ひょっとすると『夢の世界』にもその片鱗があるかもね。
&COLOR(blue){''キリングしてしまうと夢が消える為、共鳴会話は出来ません。''};
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狩人→
何よりも『誰かを護ってあげたい』と願った人。
ひょっとすると『夢の世界』にもその片鱗があるかもね。
&COLOR(blue){''キリングしてしまうと夢が消える為、能力が使えません（パスして下さい）''};
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占い師→
何よりも『誰かの心底を知りたい』と願った人。
ひょっとすると『夢の世界』にもその片鱗があるかもね。
&COLOR(blue){''キリングしてしまうと夢が消える為、能力が使えません（パスして下さい）''};
~
狼→
殺人衝動を心底に抱えている人。
それが『夢の世界』での自分に反映されている。
この人のみ、他のPCの『夢の世界』にいる、
本当の姿を殺害し、扉から先の『夢の世界』と、
存在を消失させることができる。
『夢の世界』とは別に、『&COLOR(red){''深淵空間''};』を介して
同じ心底を抱える者と会話が可能です。
この『&COLOR(red){''深淵空間''};』は赤ログ独自の第三世界的位置です。
設定は、赤のひとたちに、丸投げします。
~
C狂人→
何も無い人。
『夢の世界』すら、誰かの借り物。
（借り物、とありますが他PCより拝借する必要はないです
設定自体は誰かの夢、として独自に作ってOKです）
願いも何も無い、世捨て人であったけれど、
何も無いが故に染まってしまう、夢。
参加者中、一番自由だけれど悲しいかもしれない人。
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-&COLOR(#000080){''進行予定''};
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→プロローグ
目が覚めちゃうよ。
最初はガラス張りの空間（白昼空間）に居るみたい。
棺から起きる感じ。世界の把握や、カリュクスとの会話。
他PCとのコミュニケーションを愉しんでね。
まだ、事件は何も起こりません。リラックス、リラックス。
~
→1日目
『夢の世界（明晰空間）』を回遊してもらうよ。
扉は自由に行き来出来るように、全部開く予定。
~
→2日目
ダミーの『夢の世界（明晰空間）』が消えちゃう。
カリュクスさんが大慌て。
この日から、カリュクスさんが対処を始めるかな。
ちなみに、以降の被処刑者、被襲撃者はみんな
『深淵世界』におくられちゃうよ。
仮死状態で、一時的な措置、みたい。
~
→3日目以降
2日目同様。
回遊しながら、いろいろしてみてね。
処刑に関しては基本的にカリュクス主導。
（投票はPC＞PL視点、でOK
PCがカリュクスに訴えられるなら其れに基づいた投票を。）
だけれど、この日からPC主導での他PCキリング有り。
&COLOR(red){''但し、キリングすると貴方の夢の世界は消えます。''};
（夢の世界が消えるだけで、本当の姿は消えない
きっと別の夢の世界にいっちゃったんだと思う。）
それ相応の、ペナルティだね。『この夢』は叶わない。永遠に。
それと殺されても、仮死状態になるだけ。
殺した人の夢を消すという代償の代わりに、
仮死状態で留める、という措置、かな。
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//-&COLOR(green){''開始時期''};
-&COLOR(green){''村の設定''};
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|BGCOLOR(#ddffee):||c
|開催国|議事国RPBr|
|定員|14名（ダミー込み）|
|更新時刻|午前2時更新|
|更新間隔|48H|
|役職配分|自由設定|
|参加制限|CO者の参加待ちパスワード有り|
|開始方法|手動開始|
|ランダム|なし|
|役職希望|有効|
|ＩＤ公開|なし|
|閲覧制限|18歳以上|
|企画人|じゅりるり|
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**キャラクター予約表
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参加確定の方は此方の表にてキャラ予約をどうぞ。
此方はご参考までに。
（http://utage.sytes.net/perjury/sow.cgi?cmd=chrlist&csid=ririnra）
ダミーは未定です。空いたキャラでダミーに出来れば、と今は考えて居ます。
~
現時点で全てを設定する必要はありません。
（キャラクター名だけは必須。他は伏せて置いても全然OKです。）
また、項目は追加される可能性もあります。
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&COLOR(red){''使用キャラクター未定の場合は、『参加CO』とご記入下さい。''};
&COLOR(red){''開始一週間前までに決定して頂ければ何時でも構いません。''};~
&COLOR(red){''また、キャラクター変更も同様とします。''};~
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|CENTER:NO|CENTER:キャラクター名|CENTER:性別/年齢|CENTER:コメント|h
|00|番長 じゅりるり(ダミー)|ひみつ|この村が終わったら番長やめるんだ…|
|01||||
|02||||
|03||||
|04||||
|05||||
|06|小娘 ゾーイ|女/未定|はりっきちゃうのよ！|
|07|ランタン職人 ヴェスパタイン|男/三十路前後|…よろしく頼む。|
|08||||
|09|執事見習い ロビン|男/？|眼鏡に指紋が……。|
|10||||
|11||||
|12||||
|13||||
|Ex|奇跡の子 カリュクス|♀/？？|此れは私の夢。願いです。|
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~
キャラクター予約済みの方は以下のアンケートも
是非、ご回答下さいませ。
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※夢世界の設定はWikiで事前に記入していきますか？
#vote(記入していきたい[0],進行まで楽しみに待つ[3])
~
※『記入していきたい』と答えた方に御聞きします。
何処まで記載していきますか？
此処まで知りたいと思う全てに投票してください。
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#vote(夢世界の設定[0],夢世界の主の本当の姿[0])
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**村設定把握の為のショートストーリー(If)
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『回遊パラドックス：とある男の場合』
…こういう雰囲気で、という事例のつもり、です。
此れが全て、ではありません。
あくまで現段階での、じゅりるり内のシミュレートです。
おおまかな雰囲気はこれで掴めるはず、と思ってます。
此処に実際の参加者さんが入ると、全然違う、
もっと深い味のある、進行になっていくと思います。
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―――黒い渦と、悲鳴。
信じられない事ばかりが、眼前で起こっている。
カリュクスは、『愉しめ』と謂わなかったか。
まさか、この状況下すら、そう在れ、と謂うのだろうか。
「……なん、だ……ありゃ。
おい。……なんなんだ、よ……」
トニーの肩を掴もうと伸びた手は、宙に留まったまま。
「トニーは、……何処に、消えたんだよ。
……まさか、此れも愉しめなんて謂うんじゃねえだろうな。
楽しめると思っての、余興のつもりか？」
茶色のツインテールを揺らすメアリーの眸は、
カリュクスを親の敵の如く睨みつけた。
他の面々は二人の遣り取りを茫然と見つめている。
夢であれば、死ぬ事は無いと謂ったのに。
現に、トニーの姿と、扉は消えてしまった。
黒い渦と、トニーの物では無い、
化け物があげるような悲鳴に飲まれて。
『……ごめんなさい。』
カリュクスは小さな謝罪を漏らし、俯いた。
言葉の意味に、メアリーの表情は一層の険しさを帯びる。
「……、ッてめェ！
ふざけんな！！ 何が夢を愉しめだ！！
最初からこうやって無駄にはしゃがせて、
気持ちの良い所で奪って愉しもうっていうのか？」
肩をいからせ、つかつかとカリュクスへ歩み寄る。
その場に立ち尽くす小さな身体を見下ろして
襟元を掴みあげると、
「あいつはなぁ…
トニーは、夢でも良いって謂ったんだ…。
あの時、自分が家に残ってさえいれば
かーちゃんは焼けずに済んだって、なぁ……。
それが………それが……」
俯いたままの相手へ感情をぶつけていく。
強かった語調も最後は弱弱しくなり、涙混じりになる。
『……本当に、ごめんなさい。』
二度目の謝罪を紡ぐカリュクスの唇は少し震えていた。
メアリーの握った右手がその頬を思い切り殴りつける。
小さな身体は衝撃を受け、メアリーの手から離れると
一切の声をあげることなく硝子の上に倒れ伏した。
「だったら。
……俺がお前からも奪ってやるよ。
愉しいんだろ？どうせ叶わない夢、だもんな？
……何度でも、ぶっ殺してやる。」
殺意の滲む眸と言葉。再び殴りつけようと前へ進み出る。
茫然と見ていた面々も、不味いと思ったのか
事態をおさめようと数人の男性が
メアリーへ駆け寄り、その身を羽交い絞めにした。
「…なっ やめろ！！
コイツに遊ばれてんだぞ、俺達は！！」
喚き、暴れるも
『―――遊んでなんて、無い。』
倒れ伏していた身体から確かな声が届く。
ゆっくりとその身を起こし、座してメアリーを見上げると
『―――遊んでなど、居ません。
ですが。……ですが、私が貴方達を
護れなかったのは事実です。』
顔を顰め、首を左右に振った。
「……護る？」
『えぇ。 本来は、貴方達が夢を愉しんでいる間にも、
こういった事態にならぬように対処するのが私の役目。
そして私は極力、』
膝をつき、よろりと立ち上がる小さな身体。
力の篭る目がメアリーを捉え、言葉を繋ぐ。
『――、貴方達に余計な不安を与えたくは、無かった。
だから、何も謂わずにいました。』
左の頬を左手で撫ぜながら、カリュクスは続ける。
『夢は、願いの種です。
種に沢山の種類があれば咲く花も、着ける果実も全て違う。
そして残念ですが中には人の願いを搾取してしまう、
願いだって在るんです。』
「………。」
『トニーさんの、夢は。 願い、は。
誰かの願いの形に、殺されてしまった、のでしょう。』
「………っ。」
『ですが。
安心してください、………というのも変な話ですね。
彼は未だ完全に死んでしまった訳では、ありません。』
「………ホント、か？」
『えぇ。』
「そう、か。………良かった。 ほんとう、に。」
『ただ。仮死に近い状態、にあります。
放っておけば、何れ彼は眠りについたまま死に至るでしょう。』
言葉に対し、眉を顰めるメアリー。
其れを見て、そっと体勢を屈めるカリュクス。
膝をつき、両の手を合わせると胸元できつく握った。
眸を閉じ、紡ぐ言葉はメアリーを始め、面々へ向かう。
『人は弱く、儚いものです。
夢と言えど、己を見失えばやがて其処から死に至る。
ですが同時に―――。
人は強く、夢という種をいずれ、現という実に変える力が在る。
私はそう、信じています。』
きつく、きつく。カリュクスが握る手に力が篭る。
『此れは私の夢。願いです。
どうか、私に皆様の力を貸して、下さい。
―――"御願いします"。』
唇から漏れ出た夢は、面々の意識へと静かに種を落とす。
（中略）
皆の気持ちに整理がつくまで少しの、時を要す。
宙に浮いた時計の砂が、その時の長さを静かに伝えている。
カリュクスは幾つかの言葉を皆へと向けた。
一つは、皆の夢を回遊し、感じた事を伝えて欲しいと。
そしてもう一つは、不味いと感じたらこの場所へすぐに引き返すこと。
それと、
『夢の中に在る、その人の真実の姿。
決してその姿を、殺めたりはなさらないでください。』
一拍置いて、強い力を篭めた眸が最後に告げる。
『そうなれば、私は殺めた者の願いを、同じ様に。
私の責を持って、搾取せねばならなく、なります。』
心中を隠す様に、それは極力、無感情を装って。
ただ、其れを受けた面々は静かに。ただ、静かに頷いた。
やがて、カリュクスが一人の人物の扉を指差した。
『それでは、次はあの扉へ。
――夢の回遊へと向かってください。
良いですね？ "メアリーさん"？』
改めて、呼ばれると、解りやすい程に身を震わせる女の姿。
「……や。……うん。……あぁ。
まぁ……俺の夢より、他の奴の夢を見るほうが良いんじゃないか？
トニーみたいに、俺より大事な願いを持つ奴だっているだろ？」
カリュクスが名を呼んだのは此れが初めてだった。
其処にはひょっとするとカリュクスの小さな気遣いがあったのか。
『いいえ。 願いに、誰より大事、などと言う考えはありません。
あなたは、貴女の願いに、もっと素直になっても良いのに。』
ふんわりと優しく笑うカリュクス。
受けるメアリーからは一切の笑みが消えていた。
そして、カチャリ、とメアリーの扉の鍵が開く音。
その先へとメアリーよりも早く開き進んで行ったのは、
セシルと名乗った、良く言えば奔放な男、だった。
「…ぁ！ おい、待てセシル！
やめろ、いくな！！」
しかし、言葉は既に遅かった。
扉の向こうには、この世の物とは思えないほどに
綺麗な花畑がずうっと続いていて。
まるで御伽噺の中の世界のように、野花の周りには、
くすくすと小さな笑い声を立てる妖精が飛び回っている。
セシルは、女の子らしい夢じゃないか、と笑った。
その言動からは相当に意外だったのだろう。
こんな一面もあるのだな、と皆の表情が緩んだのが解る。
「………」
しかし、当のメアリーは押し黙った。
俯き、先程までの気概が嘘の様に唇を噛んで。
面々は奥へ奥へと進んでいく。少し離れて後をつくメアリー。
妖精に興味を示すもの。
見たことも無い華の数々にきゃっきゃと声をあげるもの。
たまたま行き交った小人となにやら遣り取りをするものも居て。
やがて、面々が行き着き其処に見たのは、菓子で出来た家、だった。
矢張り此れも真っ先に興味を示し、扉をあけたのはセシル。
「……ぁぁ」
メアリーの悲痛な叫びと、扉の開く音が重なった。
其方此方には大小、様々な種類のヌイグルミが家内を彩り。
テーブルの上には、未だ作りかけの編み物が。
そして、ソファの上ではこの夢の主と思われる、人間が、居た。
一冊の本を広げ、内股座りで読み耽っている。
http://wolfsbane.jp/img.php?filename=d_112885_1_1256491109.jpg&m=pc
人物を見て、皆一様に挙動を止めた。
あちらは未だ、これだけの人数にも関わらず気付いていない。
相当に、夢中なのだろう。
皆がそっと、メアリーへ視線を戻す。
メアリーは、皆を見る事が出来ず、そっと俯いた。
夢の主、は。 本当の姿の、"メアリー"は。
何もかもが真逆であったが、ソファの上で本の虫になっている、
その表情は何よりも、ただ、乙女、だった。
（中略）
『如何でしたか？』
戻った皆へカリュクスの声が問う。
皆は肝心の"メアリー"については一切言及しなかった。
世界の事。そして其れに触れる面々について、など。
其々が思い思いに、言葉を述べていく。
『……？ それで、メアリーさんについて、は？』
面々は、メアリーを見た訳ではないのに。
まるで全員が全員、一斉にメアリーを見たかのような錯覚を、
メアリー自身は受けていた。
「……。」
『……？』
カリュクスは、首を傾げた。
そして、其処に面々の中から一人の女が歩み出る。
グロリアと名乗っていた、何かにつけて誰かとぶつかっていた女だ。
彼女は言う。先程の、カリュクスとメアリーの遣り取りを。
曰く、『ぶっ殺す』などと口走ったのは。
そういう願いを何処かに隠し持っているから、では無いのか、と。
「……なっ！ ふざけ……」
激昂しそうになるも、それは相手の思う壺。
メアリーは寸での所で留まって、
「そんな事……
俺は確かに、現実では人を、殺しても居る。
俺は……そういう世界に生きてる、どうしようも無い男だ。
……許してくれ、とは謂わない。罪はきっと贖わなきゃならない。
だが…！
だが、俺は人の夢を。……願いを殺すなんて真似。
ましてや、トニーの願いを奪うなんて真似、出来やしない。」
必死な訴えも。
グロリアにとっては何を今更、という鼻笑い。
人を殺してきたのでしょう？
もう人の願いを、生命を、奪ってきているのに。
何を今更、偽善を並べ立てて居るのか、と。
「違う……！
俺じゃ、ないんだ。本当なんだ。
信じ、て……くれ。 ……頼、む。」
メアリーの声は段々と小さくなる。
紡ぐ自分自身がその言葉の軽さを感じてしまったから。
罪の重さに、唇が音を紡げぬ程になって、居たから。
面々はもう、メアリーを見る事が出来なくなっていた。
カリュクスは、矢張り。
心中を見せぬように、と無感情を装っている。……そして。
「……！」
カリュクスの指先がそっと持ち上がり、メアリーを指した。
唇が小さく象ったのは謝罪だったか、断罪だったか。
それがメアリーの耳へ届くよりも先に。
メアリーの姿と、扉は金色に包まれて
さらり、とその姿を消した。
（中略）
メアリーの姿が消えてから数分後。
黒い渦と、件の悲鳴が包み浚って行ったのはグロリアの願いだった。
彼女の夢は結局、解らず終い。
カリュクスの言葉がぽつぽつ、と。
幾つか皆に向けられて、沈痛な面持ちの中、
面々は次の扉を開き、夢を回遊し続ける。
――了――
/***********************************************************
ちなみに、SSの流れを簡単に示すと
（システム上の、２日目突入）
↓ダミー（トニー）襲撃死（※１）
↓カリュクスによる、処刑（仮死）についての言及
↓メアリー（とある男）の『夢の世界』へ回遊開始
↓回遊から、『白昼空間』への帰還
（ここでシステム的な日付変更が入ります。[３日目]
投票結果に基づいて下記の進行を行います。
但し、予定では48hで二人分回遊予定なので、
回遊開始、帰還、の流れをもう一往復、ですね。）
↓カリュクスへ、メアリーの世界へ行って感じた事の報告
（メアリー自身について、だとか。
其処へ訪れた時の人々の動きについて、だとか。）
↓カリュクスが処刑を行う
（投票に基づいての、後RPです
見物人参加なので、投票に絡む事はありません）
↓次の襲撃死者（グロリア）が出る（※１に戻る）
……という具合になります。
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~
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**コメント
何かコメントがあればお気軽にどうぞ。
- 村の参加を希望しているのですが、使用キャラクターがまだ未定です。PCを決定しないと参加COできませんか？ -- [[匿名]] &new{2010-02-08 (月) 17:58:47};
- 返答が遅れて申し訳御座いません。未決定でも参加CO可能です。『参加CO』と、ご記入の上で枠の確保を御願いします。 -- [[じゅりるり]] &new{2010-02-09 (火) 08:40:27};
#comment
