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[がたがたごとん]
四畳半一間の古アパートの一室に、この部屋の主である女性が立てる物音が響きます。
人間 ご主人さん がきたらしいよ(1人目……だったかなあ?)。
人間 ご主人さん は ただの人 になれるよう、天に祈った。
着替えはこれで十分だよねー
それから予備の財布に予備のバックパックー…あ、海外のアメニティ事情ってどうなってんだろ
洗面道具も一式持って行ったほうがいいかな?
置時計 ばれりー がきたらしいよ(2人目……だったかなあ?)。
置時計 ばれりー は おしどり夫婦 になれるよう、天に祈った。
― 四畳半 ―
[所狭しとモノが並べられた四畳半。
その棚の真ん中くらいに並べられているセピア色をした四角い置時計は、チクタクと時を刻んでいる。
ご主人の旅行までのカウントダウンを、チクタク、チクタクと。]
……
チク タク、チク タク
……
炊飯器 キューナナ がきたらしいよ(3人目……だったかなあ?)。
炊飯器 キューナナ は おしどり夫婦 になれるよう、天に祈った。
― キッチン ―
…… ……
[古い割には常時綺麗に掃除されている台所の隅で炊飯器がひっそりと鎮座している。その液晶表示部分には炊飯も保温もなく、現在時刻が正確に刻まれていた]
― 四畳半 ―
「洗面道具は…っと」
[ご主人が風呂場へと向かった隙に。
置時計の後ろ側。
その場所に凭れ掛かりながら腕を組んだ、小さい何かの存在があった。]
――フ… 旅行か
素晴らしいね、願わくばボクも共に着いて行きたい所だが…
[くいっ。被っていた帽子のつばを格好付けて引き下げた。]
荷物に入れられるなんてたまったモノじゃあないな…
ボクの身体に傷なんて付いたら人類の損失だよ
[身の丈は15cmくらいと時計自体よりはやや小さい。]
/*
大きいもの、っていうのは。
時計も含まれているんだろうかコレ。
ちょっと理解違っていたから修正修正。
10〜20cmの身体に原型がくっつけるレベルの小物って、
いったい何があるだろう。
アクセ系?
びいだま マリーベル がきたらしいよ(4人目……だったかなあ?)。
びいだま マリーベル は 余り物 になれるよう、天に祈った。
−廊下−
[こんころこここん]
[ちいさなちいさな硝子球が、ご主人さんの移動にあわせて廊下に転がり出た]
・・・・・・・・・
[風呂場へと向かうその背を見送り、一呼吸、二呼吸、三呼吸くらいあと]
[ころころころころり......]
[転がす者もないのに、硝子球は廊下の真ん中を横切り、四畳半へと転がり戻った]
あ、危なかったのだわ…
あるじちゃんはときどき足元不注意だから踏んづけられちゃってもおかしくなかったのだわー…
[積みあがった荷物の一番下、なにが入ってるんだかよく分からない木箱の横でため息をつくのは、先刻の硝子球の中に閉じ込められたひらひらが、ふわりと外へ広がったみたいな服を着た、ちいさなちいさな女の子]
−四畳半−
けど…んっふっふー 作戦は成功なのだわ。
いくらあるじちゃんでも着替えの中にびいだまが紛れ込んでいるなんて気づかないに違いないのだわ!
ミリーベル、メリーベル、お土産には期待しているのだわー!
[その一大ミッションの帰りに、危うくご主人さんと鉢合わせそうになった結果が、先刻の失態だったりする]
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