情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ記入/メモ履歴] / 発言欄へ
ニウニウにかける言葉を探しているうちに、ちとせはいつのまにか眠ってしまっていたようだ。
周囲のざわめきにゆっくりと意識が引っ張り上げられる。頭をあげると、隣にはニウニウがいた。どうやら膝を抱えて、寄りかかって眠ってしまっていたらしい。
「──────………?
なっ、なんだ、もう終わったのか!?」
変わり者 シュクルは、ここまで読んだ。 ( B1 )
《マキタ》
果てしなく、ひたすらに嫌な予感がする。
教官室に駆け込むが、入れ違いで現れていたということもなく。
マイクのそばに、メモが一枚。
未だ幼さの残る丸い文字と多用されたハートマーク。
果てしなく、ひたすらに嫌な予感がする。
セグメント=トークンは、国随一の商家の主人夫婦の間に生を受け、何不自由無い幼少期を過ごした。
それなりに幸せな暮らしと言われるものだった。ありとあらゆる物は要る要らないに関わらず全て手に入る。
驚く程クリーンな経営と噂されるトークン商会は敵を作らない。それ程に会頭の経営手腕がずば抜けていた。
確かに裕福だったが決して傲慢にはならなかった彼は、一般の学園に進学し友人にも恵まれた。
ある日、友人と街を歩いている時、道端に座り込むみすぼらしい男を見かけた。
セグメントの住む街はトークン商会の助力をもって、浮浪者への手厚い保護を行っていた。恐らく街の外から流れてきた者だろう。
初めて見る浮浪者。友人に問いかけたセグメントはその答えに愕然とした。
何不自由無い暮らし。幸せな家庭。全てを手に入れることが出来る生活。
"全て?全てじゃないだろう?"
どこからともなく聞こえた声に、セグメントは、そもそも自分が何も得ていない事に気がついた。
誰もが幸福と自由を求める世界で、得た物ではなく初めから持っていたそれ。
そして何より、不自由を持ち合わせてはいなかった。
欲が出た。
セグメントは手に入れたいと思った。
物を、人を、全てを。
幸も不幸も賞も罰も。
自分の物となった世界はどんなに幸せな世界だろう。
自分が幸せな世界に生きる人々はどんなに幸せだろう。
数年後、持てる全てを棄てたセグメントは、あの日街で見た『持たざる者』になった。
それは、全てを得る為に。
…上手くいかないものである。
有り体に言って、セグメントは失敗した。
トークン商会を遥かに凌ぐ商会を作り上げた彼であったが、全てを得るには、世界はあまりにも広く、あまりにも汚かった。
彼の欲は、世界に敗北したのだった。
何を間違ったのかはわからない。
唯、わかったのは『誰もが幸福に暮らせる世界を得ることが出来なかった』ということ。
事実彼は、多くの人を救い、多くの人が幸せを感じることが出来る器を作った。
それでも。
電脳世界AtoZ。
誰もが幸福に暮らせる『世界』。
自分の商会を他人に託し、再び彼は『持たざる者』へと戻る。
自らの幸福。それは、計り知れない強欲。
【全てのモノが全てを得る世界】の為に。
……。
[平凡な日常が戻ってくる。1分1秒たりとも狂う事無く進む毎日。それが幸せ。
だが、あの非日常な日々はとても──楽しかった。そう思えた]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[メモ記入/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新