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道化師 リヴリア は、無口 ローザ を占った。
次の日の朝、夢見る ヴェル が無残な姿で発見された。
《★占》 無口 ローザ は 【人狼】 のようだ。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、道化師 リヴリア、道化師 ダハール、渡り鳥 グレイヘン、太陽の子 ミズキ、お花畑の ハル、無口 ローザ、星売り カスミ、岬守 シン の 8 名。
[それは、微かな音。
それは、微かな変化。
それは、微かな揺らぎ。
けれどあった。
変わらないはずの世界だったのに。
変わらないはずの毎日だったのに。
それらが確かに変わったのだ。
一人の世界が終わった。
それ、以上の変化があったのだ。]
[時化、が来る微かな前兆が。
次の季節、が来る微かな前兆が。
星降る時間、の微かな前兆が。
太陽が翳る微かな前兆が。
道化る時間の終演、の微かな前兆が。]
…そう。
[彼女の声は聞こえない。
ただ伝わる感触だけが曖昧にそこに彼女がいることを教えるばかり。
彼女は
海を見下ろしていたのだろうか?
空を見上げていたのだろうか?
私にはわからない 私には見えない。
現の瞳を以って 見つめた虚のセカイ
そこに彼女はいなかった]
[『夢から覚めちゃったら、夢のことは覚えていないのかしら?』
遠い昔、こことは違うセカイの中で
あちらとは違う世界の中で
私とあの子が絡み合う夢の園で、そんなことを問うたことがある。
『忘れてしまうのは悲しいよね。
せっかく同じ時を過ごせるのに
忘れちゃったら悲しいよね。』
忘れることが幸せであることもあう。
そんなことすら知らぬ幼い心
心は忘却を恐れた。
夢の続きを現で夢で 紡いで紡いで築きたかった。
『手をつないでいたら忘れないかしら?
つないだ手を離さなかったら、覚えていられるのかしら?』
夢が現が二人を分かつともそこに繋がるものがあれば…
── 私はあの子の手を握った]
[ズルリ…
不意に身体の底で音がする。腐る音が 朽ちる音が
背筋が凍るような思いが、私を夢に引き戻す。
湛えていた蒼は深緋に戻れば、目の前には先ほどと変わらぬ様子の少女の姿。
にこりと笑う少女の顔を少し呆けたように見ていただろうか?]
ボクのみるもの?
[酷なことを言ってくれる。この子もあの子も言うじゃないか。
仮面の中の仮面は嗤う。]
そうだね。では見に行こう。
ボクの見るものを見せてあげよう。
代わりにキミの見るものを見せておくれ。
丘で海で山で空で
はじまりのはじまりを見に行こう
おわりのおわりを見に行こう。
[夢の象徴たる夢の少女が旅だったことは知らない。
だから偶然の産物なのか、作為があるものなのかは何もわからない。
けれど…“それ”は感じていた
己が夢の世界で現を使う虚の者だからなのかもしれない。
今傍らの少女がこの場に介在するからなのかもしれない。
少しずつ変わっていく予兆を胸に抱く。
嗚呼ダハール。貴方は私を傲慢だと言う。
そうだよそうだよ
だって傲慢でなかったら、できないんじゃない?
家族を殺すことなんて…ね?
だからね、ダハール…私は──]**
[何が彼女の「幸せ」なのか、しかし少女はそれを聞かない、問わない]
………渡り鳥さん、に?
[唐突に渡り鳥の少女の名が出てきたことに、
ことん、と首を傾げた後]
あったかいことは、しあわせなこと?
[それなら。
暖かい手の持ち主がこうしてずっと手を握っていれば。
彼女はきっと、しあわせになれる?]
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