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[そもそも双海が本当は誰を好きかなんてわからない。
好きな気持ちがわからないと言っていたのだから素直になると言うこと自体がどうすればいいのかわからないのかもしれない。
でも、好きな気持ちがどういうものなのか教えられるほど言葉に出来るはずもない。
では自分は双海のために何が出来るのだろう。
城をけしかけることではない気がした。
一度彼は言葉を告げている。
誰か好きなのか聞いたこともあった。
わからない気持ちは、何か切欠がないとやっぱりわからないままではないのだろうか。
本を手に立ち上がる。]
[食堂をでる。エントランスから上に向かおうとして、娯楽室の物音に気付いた。]
なんだろ。
[中を覗く。
酷い状態だった。
動く頭を見つけて、それが双海だと言うことを知る。]
双海さん…。
これ、本。返しておくね。
先輩が何を言いたかったのかわからないけど。
[言い留まって、それから]
自分の気持ちを素直に、伝えあえることは、大事だと思う。
素直って何なのかわからないけど。
[城の言葉を引用した。背中を押せたのだろうか。]
…。
[ごうんごうん、と洗濯機の音。]
…。
[「特別」になりたい…か。]
…。
[ああいう言葉が出たのには、
少し、自分で、驚いた。]
…。
[昔のことだ。
疑問を抱くことなく、特別な何かになりたい、特別な何かになれる、と思っていたことがある。]
…。
[自分が特別だというのは、気持ちのいいことだ。]
…。
[当然、注目されたいし、称賛されたい。
「特別だ」と、思われたい。]
…。
[…だから。周りと、身長で競ったし、フットボールの上手さで競ったし、誰が早く恋人ができるかとか、俺のじじいは日本人だったとか、何を、俺は貴族の血を引いてる、とか、俺なんて親父がミュージシャンだぞ、とか、そんなことだってアピールし合った。]
…。
[「特別」になるために。]
…。
[まだ、スペインに住んでいた頃の話。]
…。
[日本に来たのは。
有り体に言えば、貧乏だったからだった。]
…。
[父は雇われ料理人の仕事、母は観光客相手の仕事をしていたが、働けど働けど、という感じだった。]
…。
[どうやら、二人は、俺にいい教育を受けさせたいらしかった。いいボールと靴、そして自転車も買い与えたいらしかった。]
…。
[ついでに、自分たちももっといい暮らしがしたいらしかった。二人の夢は自分たちで店を持つことだった。]
…っ、
[一寸背を反る。]
仕返しなんだから。
[と、手を離す]
振り返られると、なかなか、前には進めないか。
そうだな、笑顔だ。
お前の笑顔――なんだか眩しい。
[これはひどい名台詞の無駄遣い。
御手洗、英雄王(ある意味)の科白にご期待ください。]
わたしが助けられてると思ってるから、
いいんだよ。
[――笑った。]
…。
[だから、日本へ来た。
当時の日本は試験的に移民受け入れの条件を緩和し、教育や就職などの面で支援を行っていた。]
…。
[俺たち家族は、日本人になった。]
…。
[元々、母は日本人とのハーフだったと聞いていた。祖父が日本人らしいのだが、詳しくは知らない。]
…。
[日本で親類に会ったこともない。]
やあ、ミヤコ。
ミヤコもお茶飲む?
[向かいに座った葛城に熱いお茶を差し出す]
……娯楽室が?
オッケイ、おやすい御用だよ。
じゃあ、そのお茶を飲み終わったら行こうか。
[立ち上がる碓氷に手を振り、お茶ずずず]
…。
[ただ、母は日本語を話すことができた。]
…。
[日本人になるにあたって、そういうことは、有利に働いたかもしれないし、その後日本に適応するにも、有利に働いただろう。母がいれば、日本人とのコミュニケーションに大きな不自由はなかった。]
…。
[自分自身も、日本語にはそこまで苦労しなかった。父は違ったが、それでも他の移民たちに比べれば早く適応した方だっただろう。]
…。
[だが。日本国籍になっても、そこそこ日本語が話せても、「日本人」の血が流れていても。]
…。
[そこでの俺は「ガイジン」だった。]
…。
[小汚くて貧乏で学がない、犯罪の温床になるに決まっている、そのくせ税金でもって支援を受けている、図々しい、「特別移民」だった。]
…。
[やがて思うようになった。
ああ、「特別」は、甘えなんだな、と。]
…。
[「同じ」だから、特別を求めるんだ。]
…。
[特別が気持ちいいのは。
根底で「同じ」だからなんだ。]
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