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>>68 ユーリー
[...はぎろっとにらむと、思い切り鼻を鳴らす]
あんたさぁ、『人間』ってものをなんだと思ってるんだい。
単なる食べ物だと思っているのなら、あたしはあんたに何も言わない。ケダモノ相手に言語が通じるなんて思ってないからね。
そうじゃないなら、少しは『憐れみ』ってもんを覚えた方がいい。
あたしに情けをかけろって言ってんじゃないよ。
とりあえずこれだけは言わせてもらう。
あたしはあんたが大嫌いだ。
…でも、あんたがいい、あんたじゃなきゃだめという存在がいることは忘れないでやってほしいな。
[背後へと逃げ込むサーシャの足音]
(悪いことをしたら謝るもので……
ああ、でも人狼を退治するのは悪い事ではないから…………)
[表情に出さないまま、ぐるぐるしている]
ミハイルさんは、肉体の死を迎え、
今魂としての死を迎えつつある――……
そうしたら、何処へ逝くのかしらね?
[今度こそ、家族の元に逝けるだろうか、と。
カップに残った毒入り紅茶をちらりと見た。]
……。
[想定としては、半分くらい苦さに吐き出すものだと思っていた。だから、多めの毒を勘定したのに。
苦いと騒いで、痛いぞこんちくしょーくらいの文句を言われて、そうしたら怒ってやるつもりだったのに。
想定外に苦しまれてしまって、落ち着かない。]
……仲間と言えど、食われねえ保証はねえってか。
[カチューシャの部屋に着けば、後ろ手に扉を閉めようとして止め、十数センチ程度の隙間を残した。
食堂車の異変を出来るだけ早く察知する為だ。]
よくは見てねーが……淡々としてやがった――って印象。
騒ぐ様子もない、叫ぶ様子も無い。
死に慣れちまったってのもあるだろうが、あれは……
[思考を言語化する術がない。
シャノアールには緩く首を振ってみせた。
何もする気はなかったという言葉に、瞳が鋭くなる。
列車の内部ではなく、その先に目的があるという事だろうか。]
解毒は……水飲ませる、って聞いたことあるけど、わかんない。
[結局はロランのそばに行き、手伝おうとしてしまう。]
飲ませかた……脱脂綿、ふくませて、とか。
[思いついたけれど量が間に合わなさそうで困っていると……]
え。
[アナスタシアの声が耳に入って、やらせていいものかどうかものすごく迷った。]
[どうやら、やっかいなものを飲まされたようだ。
これは、昔、罠にかけられてた時、摂取してしまった毒物に似ている。
あのときは三日三晩。寝込んで死の淵をさ迷ったが…って、いや、死んでるんだけど、全身が痛いというかだるい、というか死ぬ……。]
――……きゅーん
[情けない声を出してしまった獣だった。]
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