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[ひとしきり泣いて、収まれば、
男はカジノを後にする。
リルを探しはしたものの、どこかへ行ったようで、
まだ繋がっているだろうかと、声をかける。]
『リル、終わった』
[先程と似たような、念話。]
『全部』
[男はそう言って]
『……直接、言いたいんだけどさ。』
[そう、言えば、]
『ま、とりあえず…』
『いろいろ、ありがとな。』
[男はリルへ、そう伝えた。*]
― 事件の12日後 ―
[ハロルドが発ってから数日たった。
彼が端末を得るためにはしばらく日数がかかるとの事で、娘はまんじりともしない時を過ごしていた。いつものドームならいざしらず、復興中の混乱した場所だ。友人達やヴェスの事はもちろんのことだが、夫の身も心配だった。
そんな中、ヴェスからメッセージが届く。>>0:453
ハロルドがドームに行っていることを知らせるべきか。
少し考え、首を振る。
最後にヴェスが村にやってきたとき、ハロルドといさかいのようになり、それっきり。ヴェスは村を去っていった。
ハロルドが会いに行くと知らせてしまえば、ハロルドが動くより先に断られてしまうだろう。]
[娘は端末に向かい、返事をする。]
『そう、残念だわ。
子供みたいなやつ?
どんな人かしら。今度来た時に教えてよ。
よかったら一緒にきてくれてもいいのよ。』
[『機械生命体と何があったの』
打ち込んで、しばらく考えて文章を消す。
ヴェスの事は全てハロルドに任せると決めたのだから、余計な事はすべきではない。]
[『機械生命体と何があったの』
打ち込んで、しばらく考えて文章を消す。
ヴェスの事は全てハロルドに任せると決めたのだから、余計な事はすべきではない。]
『二人とも無事でよかったわ。
青汁は足りてるのかしら?』
『欲しいもの?ありがとう、考えておくわ。
前にもらった食器はすごくよかったのよね。
他の種類もあるのかしら。』
『何を調べるの?
無事に色々わかるといいわね。
野菜はね、一か月より後ならワイルドリーフを
植えてると思うわ。
あれならしょっちゅう採れるから、
これそうになったらいつでもどうぞ。』
[結局、返したのは他愛のない話題ばかり。]*
─ 「村」へ ─
[必要な買出しを済ませ、翌日には「村」へと戻る段になり、ハロルドは端末で知人各位にその旨を伝えた。
本当であれば顔を出せれば良かったのだが、どうにも時間を作り切れなかった]
『明日「村」へ帰る。
気が向いたらあれば遊びに来てくれ』
[ヴェスやユウヅキらにはそんな一文も付け加えられた。
端末はこの通信を最後に返却される旨も添えて送信される。
レンタル屋に端末を返却し、ハロルドは一息ついた]
[「村」に帰ったら妻にどんな話をしようか。
ヴェスのことを話せば、妻は今度は自分がドームに行きたいと言い出すだろう。
カジノへ行くために着替えた話をすれば、何で画像残さなかったの、と怒られるだろうか。
サングラスが便利だったという話もしたい。
様々な『土産』を抱え、ハロルドは「村」へと戻るのだった**]
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