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ぼくだって本命チョコあげるのははじめてだ。
てゆかスカート穿くのもはじめてだよ。
[>>310リアンに差し出されたら、こくびかしげ]
ん。ぼくはいいよ。もらえない。
だってそれはリアンのために作ったものだから。
たとえ作り主のぼく自身でも、それをもらうことはぼくが赦さない。
気持ちを受け取ってくれてるのはわかるけど。
本命チョコ、なんだから、全部食べてくれるとうれしい。
[手の離れた頬をマフラーに埋めて]
[翌日、大出先生に転校の件を伝え、即日転校することに。
結局クラスのみんなには、ほとんど挨拶できないまま出立することに。それだけが心残りだった。
フェイトが同じ高校に来ることになったことはどうなっただろうか?あの後話を聞いたか、それとも、黙って、向こうの学校で出会ってびっくりしたのか?**]
― 教室 ―
[席に腰掛けて、頬杖つくでもなく、だらんと窓の外を眺めていた。
あかいひかりも、未だ冬の空に掻き消されて、潰れていく。
ゴムがリノリウムを鳴かせる声も遠くなり、しんとした空気が、今更ながらに寒さを思い出させた。
あんまりに目まぐるしくて、賑やかで、暖かかったから。
忘れていた]
……――私も、いえなかったのです。
[レリアの涙と、それから笑顔を一緒に思い出す。
言わないつもりだったと言った。
でも、打ち明けてくれた彼女を思い出す]
私は、いえなかったのです。
[ごめんなさい。さようなら。
いつか繰り返した言葉を、また繰り返して]
[ぺたり、後ろの席に凭れるようにしてうつ伏せた。
背を丸めた姿は、きっと常の自分を知るひとが見たら、目を疑うかもしれないけれど、今は誰も居ないから。
ひた、と宛名の無いバレンタインカードが落ちたのも。
ぽた、と最後まで名づけられなかった感情が零れたのも。
明日になれば全部消えて、旅立つならば、記憶からも消したほうが良くて。
だから、夜の間だけ。そうして過ごすを、自分に許した*]
[>>317ご馳走様でしたと笑うリアンに、ただ、目を細めて。
手を繋いで、ロイやブリギッテの活躍で教員の捌けた校舎内を歩く。
リアンの言葉に視線を向ければ、大型のマウンテンバイクに跨る緋色の背中]
──うん、だってブリギッテだもん。
[彼女もなにか葛藤を抱えていただろうことは、なんとなくは察しているけれど。
中学の頃から、ぼくらはみんなそうだった。ケインも、ユトも、ガートルードも。
ブリギッテも例外なく、こころのどこかに、誰にも見せない何かを隠して。
ぼくも、ひとのこと言えなかったのだけど。
でも、もう、あの背中には。
ユトの壇上での潔さ、ケインの選んだ道、ガートルードの慎ましさ。
──そうして、ぼくの隣には、君が居てくれるから。
だれもいない階段、微笑むリアンに掠めるようなくちづけを]
リアンも、十分、いい男だよ。あいしてる。
[ひどく穏やかに紡がれた言葉はただ静かに、こころから微笑むから*]
[ブリギッテだもん。その言葉に微笑む。
鮮烈で、どこか危うく、可愛くて、いい女な、少しだけ焦がれた太陽。
幸せになって欲しいとの願いは束の間で。
直ぐに繋いだ手の温もりに意識を向けた。
掠めるような唇の柔らかさと、柔らかな微笑み。
くすぐったいくらいの気持ちの、愛しいひと。]
ボクの隣にいても、変わらず輝いていてくれて嬉しいよ。
それがボクがいい男だからなら、とても光栄。
[照れ隠しに少し先を歩いて。
家につけば、誕生日プレゼントと言って、
少し背伸びして額にくちづけた*]
[校舎の茂みに隠れて教師をやり過ごすと
男子トイレへと移動し
制服を着替える]
さて。
こんなもんでいいかな。
ルー先輩、捕まってなきゃいいんだが。
ま、安否は家帰ってから確認すればいいか。
[どうせ家は俺の下宿先なんだし、と呟いて
リップクリームを落とし、包帯を巻き直すと
何食わぬ顔でトイレから出て
その日は家に帰っただろう**]
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