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[蜂に分解されたシェルフィムは、無害な小さな塊になって、散る。
分解される前に自爆しようとも、あるいはアニュエラたちにはまだ遠く、あるいはガラスの龍が身をくねらせてそれを避けていく]
[羽を持たない龍は、飛竜と比べて速度には劣るが、旋回や機動は遥かに優れる。
もちろん、最初からそれを狙っていた訳ではなく、メイアルに対抗してのデザインチョイスだ]
さて。ナギ君はどこまで進んでるかしら。
彼の速度なら、もう王座の間にいたりしてね。
[シェルフィムを撃退し、ノアへの着地点を探していると、携帯が着信を知らせる]
そう。
死に行く者にまで、彼女そんな風に言うのね。
……もしかしたら彼女自身も、異次元の向こうがどうなっているのか、知らないのかもね。
ええ、開発したアナタ達ですら、よく分かっていなかったのですもの。
フフ。では、予定通りに合流を。頼んだわ。
[ドンファンにもし尋ねられても、微笑みを返すだけ。代わりに]
そういえば、お願いしていた件は解決したのよ。
ありがとね。
[と、今更に]
[ノアを落とす事は、まだ諦めていない]
[ドンファンに、いわゆるカメハメなみ的なものを撃ってもらう物理破壊作戦か。
グラッジィがいるなら、魔力を吸い上げる木の種を撃ち込んで、それを急成長させてもらう魔力枯渇作戦か]
ここは贅沢に、両方ともいくべきかしら。
[同乗者を振り返って、笑顔で提案した]
[アイテム的な支援を、惜しむ気はない]
―回想―
[研究員との会話はシャルロットが代わり続いている]
[建物内にあるTVが先程流れていた映像を繰り返し再生をはじめた。 そこには光に包まれて消えるギルバートの姿]
なっ・・・何故に、神父殿がっ!?
ッッ・・・!?
あの光は―――次元光―――そうか、お主が次元の力を使っているというのか・・・おそらくはトメ子殿を消し去ったのもお主であろう、メイアル殿。
グラジ殿、シャル殿、俺はあの場所に向かいますぞ。
後は頼みまする。
[研究員と話す二人にTVを指差して伝える]
それでは、そろそろ始めようかしら?
向こうもこのままじゃあ退屈だろうし、ねぇ?
[そう言って笑うと何事か唱え始めた]
時空を超えてきたりし勇士よ
その偉大なる力を持って
我等が敵を排除せよ
我が召還に応じしは
偉大なる魔術の使い手
―アニュエラ達の目の前―
[光が巻き起こると、その光の中から現れたのは橙色の衣装に身を包み。ステッキを持った魔法少女]
風は空に 星は天に
そして、不屈の心はこの胸に!
まじかる☆るーこ、参上っ
[そう、メイアルが異次元から呼び出した存在。それは『魔法少女まじかる☆る〜こ』だった]
―回想・空―
[支部前に飛び出したところ、空から颯爽と現れた美女が動向を申し出てくる! 状況を一瞬で理解し、二つ返事で答えると半透明の龍に飛び乗った!]
[向かう先には上空に浮かぶ巨大な船―――空に浮かぶ城へと踏み込んだ...には、それがかつて魔王城であったものだと分かる。]
あれは・・・魔王殿の城か?
では、此度の騒ぎも魔王殿が関わっているという事か!
鍛えて頂いた恩、越えるべき壁、次元の力、消えていった者達・・・全てここで決着を付けさせて頂く!
待っておれ・・・メイアル殿、魔王殿ォォォォ!!
[龍は魔王城であったモノ―――箱舟へと向かう]
―回想中―
[迫るモブ雑魚達をアニュエラの下僕が打ち落としていく]
[アニュエラからは次元の力によって消し去られた犠牲者達の情報等が伝えられる。その中には中立亭店主の名前が。]
なっ・・・なんですと、店主殿が・・・!?
それは本当の事ッッ・・・っぐ、なのでしょうな・・・
トメ子殿、カルロ殿、神父殿に続いて店主殿までが・・・!
我は器、心を静め世界を感じる者・・・この魂の炎を爆発させるべき時は今ではない・・・そうであろう、魔王殿?
ならば、今こそ次元の力を持つ者としての責務を果たす時!
見ていてくだされェェェェ、店主殿ォォォォォォォ!!!
[心に沸きあがる激情を押さえ込み使命感へと変える]
[ノアの外部に、メイアルの声が響き渡った。その声は明らかにアニュエラを挑発するような口調で]
アニュエラ、もしかしてまた偽者って思ってる?
それは違うよ、追放する事が出来るなら。
召還する事だって簡単に出来るのよ。
まあ、意識はあたしが操ってるんだけどねえ。
[最後まで言わないうちに、メイアルは笑い声を上げていて。言い終えると、橙色の魔法少女はステッキを構えた]
「まじかる☆ぷりてぃぼむ!」
来たわね。
熱血正義漢さん。
[玉座からは、アニュエラがまじかる☆る〜こと対峙している脇をドンファンと龍が抜けていく様が手に取るように把握できていて]
まあ、せっかく来てくれたんだし。
歓待するとしましょうか。
[ドンファンと龍が着艦すると同時に、その周囲をかつて魔王が使役したゴーレムや悪魔が取り囲んでいく。その数およそ49(100)体]
[これから先の動向と箱舟を落とす相談をしている最中]
[目前に何とも傾向しがたい魔法少女が現れる。 その姿にアニュエラが何事かを小さく呟くのが聞こえただろうか。]
『ドン君は、先に行きなさい!』
承知したっ! アニュ殿もどうかご無事でっ!
[龍が箱舟に着艦すると同時に周囲に魔物達が現れる。]
今の俺をこの程度で止められると思うなっ!
退けェェェェェェェ!!
[気勢と共に全身から炎を吹き上がらせ敵の真っ只中に突進していく! その衝撃で4(49)体の魔物が吹っ飛び倒れ伏した。]
歓待は結構ですが。
ジャスティスの受領はいただけませんかー?
―玉座の間―
[甲板から内部へと侵入してみれば、なんと言うことはない、勝手知ったる魔王の城。なら、道に迷うこともない。一直線に玉座の間を目指すのみ。
途中66体ほどの悪魔やらなんやらが立ちはだかったけれど。まともに相手するつもりがなければ振り切ることはたやすい。
そうして、果たして玉座の間にたどり着いてみれば。そこにいたのは、見知った白い少女。そこに、いつもの仮面の男の姿はなくて。それだけで、なんとなく、彼はもういないのだなと、察しがついた]
まいど。
なんかもうお得意さんだね、おねーさん。
…なんでこんなことしてんのか。聞いてみてもいい?
[問いつつ。周囲に浮かぶ赤い蝶や飛竜、そして傍らにある機械…超時空ジェネレーターと呼ばれるそれだろうか…に、いつでも回避できるようにと…いつでもユーリをかばえるようにと、身構えることは忘れない]
どーせ他に聞いてる人がいるじゃなし。
腹割っていこーぜ?
[言外に、TVで言ってたような大げさな言い回しはいらないから、と、告げて。メイアルの言葉を待つ]
腹割ってねえ?
[くすくす笑って見せて。片手を上げると超時空ジェネレーターが、少しだけ怪しい光を見せただろうか。]
あたしさあ。
好きなんだよね。
[意表を突くような言葉。無論、カンナギやユーリに向けられたものではないのだけれど。そう言うと楽しそうに笑って見せて]
一生懸命、正義を頑張る人も。
一生懸命、悪事を働く人も。
どっちもあたしは好きだなあ。
だからね。このジンロウ町にそうじゃない人は必要無いって思わない?
―箱舟・甲板―
オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!
<< 爆 裂 乱 舞 !!>>
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!
[45体の魔物達はいずれも旧魔王軍の精鋭達であり簡単に沈んではくれないようだったが、止まることなく放たれ続ける炎の拳が魔物達を蹴散らしていく!]
ここは通させてもらうっ!
疾 風 爆 走
[魔物達を背後に引き連れて箱舟内へと侵入する。 戦闘の余波による爆発を15(20)箇所で起こしながらも突き進む!]
―回想:カンナギが踏み込んでくる少し前―
闇よりもなお暗き黒
混沌を統べし者よ
我が呼び声に答えよ
汝は再び覇を示すが良い
[呪文を唱え終えると、ノア内部に魔王の偽者が生まれ落ちた。まじかる☆る〜こと違って本体を呼び出そうとしなかったのは、闇の術に長けた彼ならば現出の際にこちらの意識操作を打ち破る可能性があると考えた為だったろうか]
期待してるわよ。
魔王様?
ぇ。
[メイアルの言葉を聞いて。口から漏れたのは、本当に意外そうな…呆気に取られたような響き]
いや…えーっと…あのね、おねーさん?
悪事…の方はよくわかんないけどさ。ってかまぁ…正義の方も、ホントはよく分かんないんだけど。
[怪しげな光に身構えつつ。本当に困惑した様子で、そう前置きする]
少なくともジャスティス急便のジャスティスは、主に一般の皆様方向けなんだ。
[正義でも悪でもなく。主に、ただフツーに生活している人たちのために。正義でも悪でもない人がいなくなったら、ジャスティスをお届けする相手も理由もなくなってしまうかもしれない]
…ああ、そうじゃないね。今はおねーさんの話。
うん。おねーさんが、そういう人たちのこと必要ないって思ってるみたいってのは、分かったけど。
んー…つまり…
[必要ないっていう主張と。目の前にある、TVで見た、神父さんを消し去ったらしき機械。揃っていれば、それなりに察しはつく]
(…あれ?いま、ほっとした?)
[そのことに気づいて。ほんの少し、自己嫌悪が沸き起こる。…その安心は。ひどく個人的なものだったからだ。
この箱舟は、救いのためでも破壊のためでもない。そう、思えたから。…少なくとも、この箱舟は贄なんか必要としない。求めるのは単に、犠牲者]
[そんな考えを、頭を振るって振り払う]
…おねーさん。諦めてくんない?…よね?
[答えはもう、分かりきったことかもしれないけれど。それでも、一度、そう尋ねておきたかった]
[ドンファンの背に]
[援軍が到着した]
[その名は]
『コピーです』
『ペーストです』
『アニュエラ様のお店の身代わりの護符は、一級品ね、ペースト』
『今日もたくさん頂いているわよ、コピー』
『ご用命は、アニュエラ様の道具屋まで!』
**
ふふ、最初から分かってるのでしょう。
あたしが言われたぐらいで止めると思った?
[確かに、以前ビルの屋上で相対したときは引いた事もあったし。カンナギの求めに対して甲冑を倒すなら、町への攻撃を止めると約束した事もあった。しかし、今回は止める気はさらさらなく]
一般の人に届けたい?
結構な事じゃない。
あたしと、ノアを止めるのならば。
それはそのまま、一般人を救う事になるのだから
[そう言うと。玉座からゆっくりと立ち上がった。その手にはいつの間にか黒剣が収束して、以前よりもさらに禍々しい姿の魔剣となった。それだけでなく、玉座の周囲にも瘴気やら漆黒の影やらが立ち込めるようになっていて]
さあ、決着をつけるとしましょうか!
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