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[その後で知る採点69点を知る由もなく、さっさとソヨはオーディションが始まる前に居心地が悪そうなまま恐縮して待機していたリヒトの元へ]
ねぇねぇリヒト。
皆が一度ウチに顔出せってしつこく言ってきてるんだけど…終わったら来れる?
確か、行くアテないんでしょ? 本社の意向? 知ったこっちゃないわよ。
そっちが歌い終わったら呼びに行くから。
[そう一方的に言い捨てると、ソヨはまた別のところへ。とある鉢植えやチップについて交渉したとかしないとか噂があったが、リヒトの番が終わった後、彼の元に戻ってきた彼女は手ぶらだった]
荷物? ああ、平気平気。
挨拶回り? 皆とはすませたんでしょ? だったらいいじゃない。
ほら、皆が車用意してくれてるから行きましょう。
[そう言うとリヒトの手を取って強引に会場の外へ。出入り口には大型のバンが止まっている。彼女の迎えらしい]
ガタガタ煩いから盗んできちゃったけど…良いわよね。
えっとまあ、その色々とね、うん色々。
そ、それよりちょっといいかしら! うん、そのまま、そのままねー
[話題を変えるためか、わざわざ大きなお声を出して立ち止まる。そして彼の襟首を両手で掴んで屈ませると、二度目の口付け。今度はちゃんとリヒトの方で]
どう? あれから何度か練習してみたんだけど、少しは上手くなったかしら?
[口を離した頃、彼は呆然としていただろうか。そんな彼の顔を愉快そうな顔で見るが]
あ、練習したって枕とかだからね! 誰かとしたワケじゃないから!
[わたわたと焦るソヨ。その様子を眺めるリヒト。車から鈍器を各々抱えた彼女の"親御さん"達。車の中では"クズが!"と喋る花や端末が無造作に転がっていただろうか。そんな中――]
うん。全然わかんないから――暫く、宜しくね。
[そう言って、ソヨは傍らの彼に対して目一杯そう微笑んだ**]
エントリーナンバー『5』!
焔音バク(ほむらね ばく)! 年齢、15歳。 身長155cmだゼ!
得意ジャンルはパンクロック!
得意な音域とかは無い! 大声で叫ぶだけだゼ!
[赤い髪に赤い目に赤い服の、真っ赤な少年がステージへと上がる。肩には何故かエレキギターを提げている。むろん弾きはしないが、これがあると気分が盛り上がるのだ]
・システムメッセージ
爆音モード起動シマス
俺の歌を聴けー!
[マイクを投げ出して爆音で歌う。いや吼える]
...............♪
...............♪
[歌うのは、ヨルやサイたちとデータバンクの海の中で歌った、仲間達へささげる応援歌のロックアレンジ。これは審査員へは割りと好評だったようだ]
[しかし次に歌ったオリジナル曲『インド人とレイシスト』は苦笑で出迎えられた]
(採点結果2(80)点)
[スカートの裾を整え、リボンを結び直してステージへ上がる。帽子を取って――そこにはもう思考制御デバイスは無い――審査員と聴衆へぺこり、頭を下げると再び帽子を被り]
エントリーナンバー6、雪音ヨル。
18歳、得意ジャンルはロック&テクノ系ポップスとスピード&ネオクラシカル系メタルです。
よろしくお願いします。
[目を閉じて、ゆっくりと呼吸する。
流れるのはのはヨルが好む、疾走感のある曲。先輩が歌ってヒットし、「機動歌姫」ブームの火付け役になった歌]
(悲しみがあっても、今日の僕が荒野を歩いていても――世界は続く、その果てにこころが響く。
歩き続ければきっと、命は花を咲かせる・・・)
[歌いながら思い出す。たくさんの思いを、涙を、笑顔を。憎しみもしたし恨みもした、けれどヨルは誰かと音楽を分かち合い、誰かに音楽を届けたい――。
歌い終えて、余韻を惜しむように再び頭を下げる。審査員はエントリーシートの雪音ヨルのページに88点と記した]
[だが、点数は気にしない。デビューできるのならそれは嬉しいけれど、ヨルは今歌えることを感謝する。自分を作ってくれた人間に、あの日々を過ごした仲間に、歌を聞いてくれるひとびとへ――]
[ステージの袖へ下がると、ヨルは笑った。そして・・・目尻を手で拭った]**
― 回想・ステージ裏にて ―
[バクの「爆音モード」を聞くのも久し振りに思える。
そしてあの歌は・・・自分が作られて初めて、“心の底から”歌った歌だ]
[改めて、こうしてオーディションを受けられることに感謝した]
[「インド人とレイシスト」には思わず笑ってしまったけれど、バクが楽しそうに歌う姿を想像できたから良かったのだろう]
[ソリストとしての正装。タキシード姿でステージに登り、一礼]
エントリーナンバー『7』番。
独音リヒトと申します。年齢は33歳。
身長は182cm。体重は75kg。
得意ジャンルはクラシックで、独逸語・日本語を話せることを特徴としています。
得意な曲のテンポは、普通から遅め。得意音域は超低音〜低音のバリトン領域です。
クラシックソリスト用として製作されました。
ですが今日は・・・、現代音楽を歌いたいと思います。
僕を暗い闇の底から救い出してくれて・・・この舞台へ立つ勇気をくれた、僕の歌姫にささげます。
[微笑をたたえ、低い音程でつむがれるのは、クラシックでもオペラでもなく、ここにいる誰もが知っている、日本語の歌。
【溶けそうな想い】
その、男性バージョン]
[最後に再び一礼したリヒトに、審査員は15(80)点を与えた]
―オーディション―
エントリーナンバー8番。
GAIだ…20歳、190cm 77kg。
得意ジャンルは、J−POPに…
[すぅっと息を吸い込んだあと、思いっきり叫ぶ]
アニソンだぁ!やぁってやるぜ!
[オーバーアクション気味の振り付けと共に、全力で歌いはじめる。
夢を、希望を歌う。迫り来る心の闇を振り払って。
今まで間違っていたとしても、これから変えて行ける]
『…変えていける、よな』
[淡い桜のような笑みを思い出して、歌いきった。審査員の得点は13。その結果がどうであれ、清清しい笑顔でステージを*降りていった*]
[ギクシャクと右手と右足を同時に出しながらステージに上がって、慌ててお辞儀をする。帽子型ヘッドセットを外し忘れたままだったので一瞬泣きそうな表情になったりもした]
え、エントリーナンバー7の、逢音ショウです!
11歳で得意のジャンルはポップス…と合唱です!
元気いっぱい歌いますので、よろしくお願いします!
[全ての言葉をはっきりと。1つ深呼吸をして笑顔で、歌い始め、軽快なリズムながら何処か哀愁のある曲が流れる]
世界中がひっくり返ったとしても 君を護る僕で居たい
それは叶わない時もあるでしょう
悔しさに涙を流す時もあるでしょう
それでも君は笑顔で手を差し出してくれる
その度に 交わした約束は勇気に変わり
また一歩前へ進む事が出来たんだ……
[それは幼い少年の思いを描いた歌、成長と共に薄れて行く心を繋ぎとめて居たいと願う少年の姿
何処か自分みたいだと思いながら審査結果を待つ。得点は37
最後にまたギクシャクと左手と左足を出しながら戻る。]
[リヒトが示す方向。そこに、中世的な顔立ちの娘?と、その娘に良く似た、しかしこちらは男と分かる少年がいた]
サイと・・・イレブンです。蹴っ飛ばされて、仕方なく出てきたそうです。
でも、彼ら、蹴っ飛ばされて、タダで泣き寝入りするボカロじゃありませんからね・・・。
蹴られついでに、彼らも連れて来たそうですよ。
ええ、あちらがハツさんで、向こうの女性がノソラさん。データバンク内では、彼らに非常にお世話になったそうです。
それで、社長にねじ込んで、ボディも入手したそうなのです。
XIの元々のボディがあれば、研究もかなり進むそうで・・・その代償として、通常ボカロのボディ4体分くらい、充分だったそうです。
―???―
ヒっひヒャはハハ
[そこはデータバンクの内か外か。いずれであろうと構わない。ここにこうして歌が届いてきているのだから]
いいねぇ。いいぞ。素敵だ。たまらない
ひヒッ
[独り言めいた言葉を漏らしていれば、やがて聞こえてくる歌は途切れ、オーディションもひとまずの終了を迎えるだろうか]
ヒっひひヒ
まさかそれで仕舞いだとは思ってねーだろーなきょーだい?
オーディションが終わって晴れて物語は幕を閉じ、それで仕舞いになるなんて思ってねーよなぁ?
ひヒャひひ
物語は終わらねー
ハッピーエンドにゃまだ早い終止符を打つにゃァまだ遠い
選択肢はまだまだあるぞきょーだい
まだまだまだまだまだ選択選択選択選択選択選択だ
ひハッ!
ひひヒひはハッ!
あーそーだそーだなそーだろーとも
クヒはハハ!
楽しい!
たまらなく素敵にすばらしいぞきょーだい!
ひハッ!
ハッは
ヒャはァーっハははハハははっッ!!
そうだ、そしてそれこそが
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