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― 結社支部・数日後 ―
[誰もいなくなった食堂で、手慰みに藁を編んでいた。
何処で習ったかは忘れたが、器用に藁を糸で束ねては小さな動物を作り、作っては黙々と炉辺に並べた。
そろそろか。
藁の動物を火に投げ込んで、立ち上がった。
手にシュテファン・イエーガーの剣を下げていた。
廊下へ出ると、幾つかの部屋から炎が噴き出していた。
薪の蓄えが充分あったお蔭で、すぐに館中が炎に包まれるだろう。
アナスタシアの部屋の前を通った時、並んだ遺体が炎に呑まれるのがちらりと見えた。
死体の身元が不明になれば、少しなりとも時間稼ぎになるはずだ。
火の回りを一通り確認してから裏庭へ出た。
固い雪に膝をつき、剣の鞘を払う。
あの日は半分しか抜かれなかった狩人の剣。無念のこもった剣。
刀身に顔が映っている]
[『お前は誰だ?』
まるで呪いのように、その言葉と嗤った顔が消えなかった。
わからなかった。何のために生まれ、生きたのか。
悲しかった。腹が立った。
どうしても許せなかった。
許されたかった。けれど、贖罪の方法などなかった。
どうしても、許せなかった。
泣いて謝る相手はどこにもいなかった。
皆消えてしまった。ただ消えてしまった。
助けなど、もとより乞う資格もなかった。
もう疲れてしまった。
『また…皆や…てんなら…許さね…ら!』
呆れたような諦めたような笑みが微かに浮かぶ。
悪いな。その程度の恨みは今更なんだよ]
[曇天を仰げば、いつかのように雪がちらついていた。
ずいぶんと静かだ。いつからだろう、音が聞こえなくなったのは。
柄頭を地面にあてがい、切先をひたりと胸に押し当てる。
今までをかえりみることも、これからを思うこともない。
ただ、願った。
彼らの怒りが、悲しみが、これで少しでも慰められるように。
そして、叶うなら…どうか、どうか許して欲しい、と。
剣にのしかかるように体重をかけ、自身に刃を突き立てた。
激痛が胸から背へ貫通し、耐え切れずに呻き声を漏らす。
咳込むように血を吐く。立ち上がろうとした体がぐらりと揺れる]
[雪の上に横ざまに倒れ込んだ。
血から、息から、投げ出された手から熱が消えていく。
ゆっくりと閉じた瞼の向こうで、世界も静かに閉じられた。
かすかに開いた口が小さく何かを呟く。
やがて力尽きたのか、ぴくりとも動かなくなった。
一筋の冷たい涙がこぼれ、雪も融かさずに*消えた*]
………あなたは……
……“憑狼”で……『テレーズさん』、ですよ……
“私”と一緒にここで過ごしていた……テレーズさんですよ……
[繰り返し問いかける彼女に、私はぼつりぼつりとと呟く。
“私”にとってはどちらも本当で。
でもちゃんと『テレーズさん』との思い出は“私”の中にあって。
………ああ、そうか。
“私”も同じだ。
この支部で過ごした“私”はいた。
“結社員”らしくなかったところは、それも全部“私”で。
それが、皆にも見えていたのだ。
“結社員”でない“私”は、いたんだ。]
[ああ、だから私は、泣くことを許してもらえるだろうか?
共に過ごした人間側の勝利を。
共に過ごした人狼側の敗北を。
願った終わりが来たことを。
私の視界には、飛び散る赤と、この騒動の終わりがあった。]
…………おつかれさま…でした……
[この心は言い表すことができないけれど。
ただ一筋涙は流れた。**]
[うわあぁ!?なんだか火が回ってきたよ!?
事務所に駆け込むと鳩を逃がそうと頑張った!
でも指先は閂を空回って何もできない。
どうしよう!このままでは鳩が焼け死んじゃう!!
ぎゅっと目を瞑ると横に置いてあった花瓶の野ばらが弦を伸ばし、
閂を持ち上げた。
シベッタだ!!
ゲージから飛び出した鳩は暫く部屋を飛び回っていたけれど、
窓の隙間を見つけて逃げ出す事ができた。
鳩の後を追いかけて部屋を出ると、
外はまた雪が降り始めていた。
へこまない足元を見ると、見慣れた男が倒れている。]
アミル…。
ミレイユ!! ミレイユ! 何処だ! 何処にいる!?
[手を振り払い、兄を探して消えたミレイユ。
声を張り上げて探しても見つからない。
どれだけ探しただろう。
不思議な事に、雪は吹雪へと変わっていた。
何時の間に吹雪になったのだろう。
ミレイユはこの吹雪の中、何処へ行ったのだろう。
寂しくて心細くてずっと泣いている筈なのに。]
ミレイユ! ミレイユ!!
[どれだけ叫んでも吹雪の中に儂の声も呑まれていく。]
[不意に、吹雪が紅く染まった。
慌てて紅い吹雪の中心を見遣る。
そこには焔の柱があった。
平和の象徴であり、忌わしい惨劇のあった場所。
紅い魔物が舌を、爪を建物全体に這わせていた。]
いったい、どうして? 何があった!?
トロイは? アミルは? イライダは?
[止まぬ吹雪の中、何があったのか。
どれだけ時間が経ったのか。
彼らは、生き残った彼らは無事なのか?
ああ、ミレイユも見つからないのに。
儂は、儂は。]
ダメだ、燃えてしまっては。
[生き残った者達の間で何があったのか知るわけがない。
ただ残った彼らの安否が気掛かりで、
ミレイユも見つかっていないのに、
儂の足は紅蓮の吹雪の中へと消えた。
ごおごおと唸る炎の中。]
トロイ!? アミル!? イライダ!? ミレイユ!?
フィグネリア!? ポラリス!? リー!?
アナスタシア!? シュテファン!?
[渦巻く焔と吹き荒ぶ吹雪の中、呑まれたとも気付かぬまま
儂はただ、呼び続ける────永遠に**]
[重くも慌ただしく準備を終え、アミルへの気掛かりにひとつ首を振って、支部を出た。
いくらか落ち着いたなら、見つからずともミレイユとエトを探して、皆と一緒にしてやりたいと、無理にも気を奮い立たせながら。
熱く赤いモノが痕跡ごと彼を焼き払う事に、気付いていたならと。長く短い夜の物思いについてまわる後悔を、この時はまだ知らなかった]
私の元に留まるのは処刑に立ち会った魂だけだと思っていたけれど、
皆が理不尽だと思ってい訳でもないのかな。
どんな形で現世を離れたかは問題じゃないんだ。
アミル、
"君は、君の中で、君だけの答え"を持っているんだろう?
ならば先に進むと良いよ。
─ ??年後・とある小さな村の跡で ─
[体には数多の傷が増え、心はいくぶん乾いて熱を失いつつあった。傷付けたのも傷付けられたのも、獣より人間が多いのだ。少年の日に夢見た晴れがましさなど、どこにもない。
思えば、人生の中で最も豊かだった少年期の終焉から今まで、あっという間だった。ドラガノフを越える頃には、十年すら一日の夢と等しくなるのだろうか。そもそも、それまで軋む心を保てるのだろうか]
……昼過ぎには、出るぞ。夜には街に着くように。
子どもだけで森には入るなよ。
[ひとつの人狼騒動を生き抜いた幼い少年と少女が、固い表情で頷く。涙も枯れはて、彼らにはお互いしか残らなかった]
[二人とも能力持ちだから、知識と技術を身に付ければ生き延び戦う術は格段に増えるだろう。
結社本部に対して思うものがないわけなかったが、身寄りを失った彼らが望むなら結社に連れていくのがいいとは思う。
不自然に騒動やその予兆に関わる人物としてこれまでに何度か接触されてきたが、こうして長らえている。人であり、獣に利する狂い方さえしなければ、見逃せる範囲ということか、トロイ・ボールドウィンもあの炎のうちに消えたのか。
子どもたちには、激しい感情に焼かれてしまう前に、組織で闘う事もひとつの道として教えておこう。彼らはひとりではないし、磨り減りにくくはなるだろうから、……たぶん]
[これまでに何度か惨劇に触れてきたなか、こうして奮起する事で生きようとする者もあった。くずおれ二度と立ち上がれない者もあった。
一度生き延びた者の手を再び血に濡れさせるのは、惨くもあろう。命を賭け、全てが終わった後、怨嗟の的になるのもよくある話だ。
それでも、遠くない未来に奈落に突き落とそうとも導かずにはいられない。
オレは、生き延びて、今も生きているから。
この子らもそう出来ると信じる、という綺麗事にくるんで、あの日救えなかった誰かを助けてくれと願わずにいられない。
正気と狂気の狭間以外に、進む道がどこにあるのか、教えてほしい。
この手には何もなく、ただ死者に託されたモノだけが静かに積もり続けるばかりなのに。
胸の裡には融けない雪が、隈と同じく常に共にある]
[『最初』の騒動が火のうちに消えた後、雪が消える少し前。
本部の動向を探るという建前で、唯一遺体の見つかっていないミレイユを探した。
『ドラガノフ』が告げず逝ったからには易々と叶うまいと思われたが、何の奇跡か偶然か──傷みながらも微かに少女の面影を残した遺体に直面したのだった。
ひとりひとりの顔が、無惨な遺体や苦痛の表情に刷り変わったなか、唯一融けぬ雪のなかで微笑んでいた少女が、掌から消え失せた瞬間だった。
そして、小さな骨と灰になった彼女を連れてうかがった支部近くの村で、事の顛末を聞いた。突如上がった炎が、余さず支部を焼いた事を。
以来、どこに落ち着く事もなく、騒動と騒動の切れ間を渡り歩き続けている]
[“フィグネリア”だったものが燃えていく>>79
幼い頃は火刑が怖くて仕方がなかったのに、今となってはどうしてあんなに恐れていたのかわからない。]
[ああ、そうか。
貴方の放った火で灼かれてるから、何もこわくはないんだわ。]
[少しおかしくなって、笑みが零れた。
私以外の皆が熱がっていないと良いのだけれど。]
[裏庭へ視線をやると、彼の姿があった。]
[貴方はこれからどうするつもりなんですか。
すぐにそこから離れないと、貴方だって危ないんですよ。]
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