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[医務室の機器と言っても、アナログな点滴とあと少し。
多少植物が伸びたところで、別条はなかろうと結論する。
キィ=キョウが亡くなった時に、ローズの育ててしまった草花がある。
彼女の耳に、彼らの声は届いているのだろうか。]
頼む。
[そうして、口を閉ざして耳を傾ける。
彼女の歌を心に刻み込もうとするように**]
おっ。
[朝飯のメニューを考えながらぼんやり歩いてたテツヤに、いきなり女の子がぶつかってきた>>+18]
[女の子ははでによろけて、ついでにテツヤと自分のカバンの荷物をぶちまけてしまい]
「ごっ、ごめんなさいっ!」
[謝りながらかたづける女の子を、肩をすくめて無言で見ていた。その慌しい動きを見ていると、手を化したら邪魔になるかな、程度の考えだった>>+19]
[その時―――]
……ん?
[女の子の荷物の中で、あるものが目を引いた。
鮮やかな赤い色の布地]
(ハンカチ……か?)>>4:+4
うう……。
[さらに悪い事に大切な紅花染めのハンカチも落としてしまった事に気が付いた]
なんとかあの人が持っているといいんですが……。
[そんな事を呟きながら校門へ向かう]
[その赤い色は、一瞬でテツヤの脳を支配した
唯一といっていい趣味。左腕に巻くための赤い布地。…だが、正直なところ、手当たり次第にそういった類のものを集めながら、本当に自分が満足している「赤」にめぐり会った事はなかった。
どれも、どこか不満。ゆえに、たくさんの布地を集め、気分次第で選んで使用していたのだ。しかし……]
おい、それって…。
[女の子に呼びかけてみるが、全然聞いている風ではない。荷物を戻したカバンをテツヤに押し付けると]
おい、待てって、これ…。
[一目散に立ち去っていった。…その途中で、ひらり、と舞い落ちるものが。
もう見間違えるはずがない。あのハンカチだ]
[女の子に声をかけようとして…、やめた。自分の心が叫んでいる。あのハンカチが欲しい、と]
…………。
[無言で立ち寄り、それを摘み上げる。見れば見るほど、自分の魂を魅了するような赤一色だ。
柄にもなくこういったものには詳しいテツヤだが、こんなものは見たことがなかった。ブランドのタグもついていない]
すげえや、こりゃ…。
[制服の上着を脱ぐと、隅の一角を口で加え慣れた手つきで左腕に巻こうとするが…、ハンカチは鍛えたテツヤの腕に巻くには小さすぎた]
チッ…。
これ、どこで売ってんだろ。この色のスカーフがあったら、幾らでも出すんだがな。
[それでも、ハンカチはどうしても捨てがたく、折りたたんでポケットに押し込んだ]
さて、朝メシ行くか。
―テツヤの高校、放課後―
なんだ、こりゃ。
[図書室でいつもの自主勉強(今、一番面白いのは化学と世界地理だった)をしようとしたテツヤは、ノートを開いてあきれた声を上げた。周りの学生からの講義の視線を受けて、肩をすくめる]
(……自作小説、って奴か?)
[ページをぺらぺらとめくり、ふう、とため息をついた]
(まいったな、あのノートを持っていかれるとは……)
(しょうがないか…。
今日は勉強はヤメだ。それよりも……、あの女の子を探してみようか。……このハンカチ(ズボンの左のポケットを握り締める)、どこで買ったのか聞きたいしな)
[やる気半分でそんな事を考えながら、わりと上機嫌で*校門へ向かった*]
(+31に追加)
[そして、ハンカチを試す前につけていた、自分のスカーフを巻きなおそうとしたが……]
…………。
[なぜか、やめた。一時的にでも腕に巻いたこのハンカチの赤こそが、あるべき色のように思えたのだ。それ以外のものを巻く気に―――このスカーフはお気に入りの一枚だったのに―――どうしてもなれなかった。
何年ぶりだろうか。テツヤは左腕に何も巻かず、そのまま上着を羽織った]
[校門の近くにいる。]
うー……。
[強い目線を感じる。そりゃそうだ。他の学校の生徒が校門の前にいるのだ、何か訳があるのだと考えるほうが普通だ。カホだって、違う制服の生徒が校門の前にいれば気になっても不思議では無い]
どうしましょう……。
[どうやって「テツヤさんはいらっしゃいますか?」と話を切り出し、それをどの人に話をするかという事に考えを巡らせていると]
>>50>>51
[キサナド以外の歌というと、ほとんど思い浮かばないのが本当だった。キサナドでさえ、嫌いでなかなか覚えなかったくらいだ。
ただ、歌を唄うこと自体は嫌いではなかったので、楽園以外での生活をするようになってから色々聴くようにはなっていた。ただ、ここで唄うのに相応しい曲というと、なかなか思い浮かばない。
ふと思い浮かんだのは、リアン達が唄っていた歌だ。確か自然を称える歌で、昔からリアンの間だけに唄われた歌。
もしかすると、スイ=レンも知っているかも知れない。そう思い、まずは口ずさむように歌い始めた]
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