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[しかし、ヤ=ナギの意識は回復しなかった。症状は思ったより重いようだ]
スイ=レン、とりあえず、一時的に熱は下がったみたい…。
[心配そうに見守るスイ=レンに囁く]
[スイ=レンはローズに寄り添い、後ろから抱くように腕を回した]
大丈夫。
[何が大丈夫なのか、自分でも分からなかったが、とりあえず、気休めの言葉をかけて、スイ=レンの指に自分のそれを絡ませた。
夕べは、ふたり、あのまま夜を過ごしたが、スイ=レンはローズを抱いたまま寝付いた。キチェスの掟を知ってなのか…?
ローズのキチェはまだ色濃く額に残っていた。
スイ=レンが実際に寝ていたかどうかは分からないが、その寝顔は初めて見る柔和な表情であった。
その寝顔を思い出しながら、しばらくそのままスイ=レンと共にヤ=ナギの容体を見守っていた**]
[小鳥の囀る声を目覚まし時計の代わりにして。
女は眠りから覚醒する。
ふと頬に触れて]
やだ……なみだ……?
[その頬に伝う冷たいものに、きょとりと呟くか]
そういえば……なにか夢を見て居た様な気がするけど……。
そのせいかしら?
[ゆるく首を傾げて。
頬を伝う涙を、指で拭いとった]
/*
メモに噴く。
やっても良かったかも知れないが、まあ まだだろう!
とか思ったのも、内緒。
盛り上がりどころとしては最後か。
あと、キチェスをどうしたいかの選択にも大変よるのでね…
[身体を起こした後、学校へ行く支度を始める。
必要な教科書やノート等を鞄に詰めて。
制服に袖を通すと、階下へと降りる。
そこには両親がおり、温かい朝食があり。
今までと変わらない、普遍的な朝の風景が広がっている]
おかあさん、おはよう。
……もう、お父さんったら。また新聞読みながらご飯食べてる。
お行儀悪いよっ。
[いつもと変わらない会話。
なのに、何かが足りないと思ってしまう。
傍にいるべき人がいない感覚。]
……?
[ゆるりと一度首を傾げて。
急ぎなさいと急かす、母親の用意してくれた朝食に手をつけはじめた]
[朝食を終えた後、中々まとまらない髪と格闘して。
慌てて家を飛び出して行く。
ふと、庭先に咲く小さな薔薇の花を見詰めて]
……おはよう。
[なんとなく声を掛ける。]
[小さいころから、薔薇が好きだった。
どうしてなのか、判らない。
だけど……
咲き誇る薔薇を見ると、胸の奥がつきん…と締め付けられて……]
─医務室・少し前─
注射か……、ッ!?
おい、無茶を。
[さすがに注射針を持ったことなどない。>>30
そう告げると、キィ=キョウの仕事を良く見ていたと主張するローズに、針を渡したのだが。]
…………。
[不器用ながら、流石さほどに失敗もせずに処置を終えた様子に胸を撫で下ろす。>>32]
…熱が、下がればいいが。
[こんな時に、自分の技術は何の役にも立たない。
息をついて立ち上がった。]
ローズ。
こいつについててくれるか?
俺は…ショウを眠らせてくる。
[頷く彼女を見遣り、医務室を出る。
睡眠ルームには、先ほどと同じままのショウの姿があった。]
─→睡眠ルーム─
─睡眠ルーム─
[サ=フラ=ワーのカプセルを抱くようにして事切れたショウは、どこか満足げな表情を浮かべているように思える。
(……穏やかだな。)
知らず、ナギと同じ感想を胸中に抱く。>>1]
やだ……。
また涙……。
[いつの間にか頬を伝う涙。
それをぐしっと拭ったあと、薔薇の花弁をゆうくりと撫でた]
ショウ。
…お前、覚えているか?
ガキの頃、セダで遊んでいて…月を見た。
あの時、月のもっと向こうへ行ってみたいと言っていた。
ここじゃない遠くへ行ってみたいと言っていた。
────あれから、月を見ると時折思い出す。
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