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― オークション会場 ―
[再びオークション会場に戻ってみると、あちこちにいた警備の人間――Cocの構成員だ――はすっかり姿を消し、代わりに見慣れた強面達が配置されていた。
すでに会場には何人かのディーラーが入り、客達を楽しませている。
イルマも特設されたテーブルの一つに名札を置いた。]
さて、何のゲームをしましょうか。
[カジノでは出張ディーラーのサービスも行っている。オークション会場で使われているのは彼らが使用する携帯用の道具だ。表と裏にそれぞれ別のゲームレイアウトが印刷されたマットがいくつかあり、色々なゲームに対応できる。]
これは……ちょっと欲しいかもしれません。
[買えば自宅でもちょっとしたカジノを開くことができる。とはいえ、テーブルを成立させられるほど、呼べる友人もいないのだが。]
………っ
[届いた念話にこの場にいもしないのに、睨みつけるように。この野郎という表情を浮かべ、
やがて、ガツンっと思いっきり男は膝に額を打ち付ける。]
…………んで…
[ひゅっひゅっと粗い、湿っていく呼吸。]
なんで……
[膝から額を持ち上げ、息を大きく吸って、]
……っ
ああああああああああああああああああああ!!!!
[目を固く瞑り、声を張り上げる。
粗い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと目をあける。
見えるのは床。]
[そこへ、スーツを着込んだ婦人がやってくる。
なんでも、別卓でやっているホールデムルールをやってみたいのだが、なかなか卓があかないとのこと。]
構いませんよ。
カードをシャッフルいたしますので、少々お待ちください。
[用意が済むと早速ゲームスタートだ。]*
……こ…のやろう。
[泣くまで切らないというリルに、
睨みつけるような気配とともに、声を返す。
そして、声は止まり、]
…………っ
……あああああああああああああああああ!!!
["声"が響く]
ー ホールデムポーカーテーブル ー
オープン 『オープン』
[同時に開示される手札。 ユウヅキはクラブのフラッシュ、ディーラーはツーペアだ]
『プレイヤーの勝利ですね。…お強いですね?』
確実に勝てる手にだけ乗ってるだけですよ
[ユウヅキはゲームをいくらか続けた。ホールデムポーカーの良いところは、ノーリスクで引くチャンスが存在するというところ。 確実な手を選び引く瞬間には即座に引く堅実な手でチップを増やしていった]
[普段の行動もこのくらい堅実な手で出ればいいものを。それとも盤面が変わればいつもの馬鹿一直線の戦法も見れるだろうか?]
[そうして次に回るのは、バカラ。
10により近い数、つまり合計して9に近い方が勝ちのゲームだ。
バカラの参加者は、バンカーとプレーヤーのどちらが合計9に近い数を出すかを予想し、賭けるだけ。
或いは、もうひとつ引き分けに賭けるというのもある。
運のゲームと言えば運のゲームだろう]
……
[2枚か3枚かの合計値で競い合う訳だが、1〜9まではそのままの数、10と絵札は「0」と見なし、合計値が例えば13などの場合は「3」と見なすといったもの。
これもまた、ヴェスはベルに付いていた形だろう]
[プレイしているユウヅキは少し不貞腐れたような、それとも何かを気にして集中しきれないかのような様子。少なくとも今は心からポーカーを楽しんでいる様子ではない]
次のゲームをお願いします、お手柔らかに
『畏まりました、ではシャッフルしますね』
[シャッフルされるカードを目で追いながら、今は少しそぞろ心にポーカーに興じる。*]
[この他、ポーカーなどを見て回ったか。
よく見るのは、ホールデム。
少し変わったルールとして、ローボール。
これは通常ポーカーと役の順位が逆転されたルール。
ストレートとフラッシュは役と見なされず、ノーペアが一番強い。
そして、エースが一番強く、キングが一番弱くなるものだ]
……の…っ
[歯を食いしばる。目が熱い。]
……っ
[すぐに息苦しさで、口を開く。
またひゅっと音がなる。]
……の……ば…か…!
……っ!!
[やがて、床に音を立て、何かがポタポタと落ちる。
ぐしゃり、手で思いっきり潰すように、目を拭う。
けど、手はただ濡れるばかりで、止まらない。
息ができない。]
─ カジノ・ハイレートエリア ─
[1戦目の先攻はリル。
握った2つのダイスをロールエリアへと投げた。
壁へと跳ね返り転がったダイスが示した数字は]
……【6】と【5】で11。
ナチュラルだ。
「ほぅ、なかなかやるな」
[出目を見てリルはホッと一息つく。
先ず1勝。
仲介人は負けたにも関わらず、楽しげに笑っていた]
「うわぁ、ナチュラル出すとか幸先悪そう」
どう言う意味だ。
[ドライの一言に彼を睨みつける。
どれだけ運が無いと思われているのだろうか。
最初のハイ&ローは確かに負けが込んだが]
「では次は儂が先攻でよいな?」
どうぞ。
[手番を交代し、2戦目は仲介人が先攻。
ロールエリアに転がるダイスを拾い上げ、仲介人は対面の壁目掛けてダイスを放った]
「うむ、【4】と【3】のナチュラルだな」
む……。
[仲介人の出目もまたナチュラルとなり、1勝1敗の状態へと持ち込まれた。
得意げな仲介人の表情が瞳に映る。
次が最後の勝負となる]
「交代だ、そちらの先攻で」
…ありがたく。
[ロールエリアに転がるダイスを拾い上げ、深呼吸を一つ。
一瞬だけ細まる瞳。
息を吐く時に僅かに嘆息が混じり込んだ。
頭に届く声に軽く唇を噛む。
瞳を一度閉じ、一拍。
直ぐに開いてロールエリアを見詰めた]
[ロールエリアの壁目掛けて投じた2つのダイスが壁に跳ね返されてエリア内を転がる。
表へと現れた数字は]
…【5】ゾロの10。
そちらの手番だ。
[ナチュラル、クラップスは共に発生せず、ポイント10が発生。
手番は後攻の仲介人へと移り、ダイスがその手に握られた。
ロールエリアの中に放られたダイスが弾け、転がる]
「【2】と【6】で8か、残念」
[残念、と言いつつも笑う仲介人。
勝負を楽しんでいるようだった。
リルは勝ちに拘ってしまって気が気でない]
ではこちらの番だ。
[ダイスを拾い上げ、ロールエリアへと投げ込んだ。
転がるダイスを目で追う]
【4】と【4】、8か。
「ははは、残念だったな。
だが良い勝負だ」
[一発で決まる勝負も盛り上がるが、幾度かの攻防もまた盛り上がるもの。
見物人も幾人か増え、ベットはしないものも勝敗予想をする者達まで現れる始末。
個別発生した客同士の勝負も、彼らにとっては娯楽となるようだ]
…どうぞ、そちらの手番だ。
「うむ、どれ」
[仲介人の太い指が2つのダイスを拾い上げる。
間髪入れずロールエリアへとダイスが放られ、壁に当たった1つが角を基点にしてくるくると回りだした]
「1つは【6】か、もう1つは……」
[回転が徐々に弱まり、ダイスがカランと音を立てて転がる。
数度転がり止ったダイスが示した数字は ───]
「──── 【4】だ、これで10。
儂の勝ちだな」
[ポイントと同じ数字。
1勝2敗となり、仲介人に軍配が上がった]
〜〜〜〜〜くっそぅ…。
[テーブルに肘を突き、両手で顔を覆う。
手の下では悔しげな表情が浮かんでいた]
「まー、そんな気はしたよね…」
[ただ一人、ドライだけは納得顔でいたとか]
「さぁて、それじゃあ約束通り商品を買ってもらおうか」
[仲介人はほくほく顔でスーツケースを取り出していた*]
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