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誰が、お前なんかと、!
[似たもの同士。言われれば頭に血が上った。
だってだって、扉の向こうの少女は笑っている。自分はこんなに苦しいのに。こんなに悲しいのに。]
え……?
[……ころした。ころされた。かなしい。つらい。
反射的に否定したけれど……「仲間を殺された」という言葉が、しばらくたって脳に染み込む。
……前の村で少女を殺した。その母親は今のサーシャと同じように嘆きわめいていた。イヴァンを殺した。悲鳴が聞こえた。]
……だってだって、そうすればおおかみさまのやくにたてるから。
[誰に向けたともつかない言い訳。ナイフの手元が狂って、狙いとは別の場所に突き刺さった。]
[それを聞き、落ち着いた声で]
なあ、サーシャ。
お前は一体、何がしたいんだ。
誰の味方なんだ。
そのおおかみさまと云うのには、私は含まれないのかな?
まだ生きている、ミハイルと同じような形をした奴は含まれないのかな?
君にとっての仲間とは、殺してしまったあの男は含まれず、ロランだけなのかい?
教えてくれ。どうか教えてくれよサーシャ。
お前のその、狂いきった思考を、私に。
-一等車両→食堂車-
[サーシャを追い掛けて、食堂車へ]
サーシャ?
[音は厨房から聞こえてくる]
何だよ……
俺、此処には……
[まだ、居るんだろ?とイヴァンの方から顔を背ければ…。視界に入る紙。それは、カチューシャの残したモノ]
ミハイル サーシャ……
はぁ?
[厨房から物音は消え、ナイフを手にサーシャは二等車の方へ]
待てよ、サーシャ!
[紙をテーブルにたたき付け、…は彼を追う]
-二等車-
なぁ、止めろって!
[扉に向かってナイフを突き立てる彼の手首を、後ろから掴んで止めさせる]
落ち着け!
[扉から、引き離すように。右手で手首を、左手を彼の脇からさし、半ば羽交い締める形に**]
[誰かが駆け寄って来たのを感じ、口を閉じる。
随分とボロボロになって来た扉を見ながら、少女には似つかわしくない、とてもとても邪悪な笑みを浮かべた。
愉しくて愉しくて仕方が無いと。それはそんな表情だった。
しかしそれは、見る者が見れば彼女に一番似合った顔だと評するだろう。誰も見てないけどね。]
だって、だってっ!
[わからない。考えたこともなかったことを、次々に問われて頭が熱くなる。]
おおかみ、さま……?
[カチューシャが口にしたのは、一番聞きたくなかった言葉。守りたかったロランを、殺したのが、守りたかった狼だと……目をそらそうとしていた可能性を突きつける言葉。]
……イヴァンは、はんにん、さがそうとしたから、じゃま、で、
だって、食べられたの、あのこだけで、だって、ミハイル、もう……
[誰が仲間なのか。何をしたいのか。……わからない。ナイフを振るう力は次第に弱々しく。
――頭をなでる手も、心配する優しい言葉も、生まれて初めてくれたのは狼で。
……それを狼からしか貰えないものだと、幼い精神のまま思いこんだのが狂気の始まり。]
ぁ……
[ユーリーが何か叫びながら羽交い締めにしてくる。それに逆らう気力は残っていなかった。されるがままに扉から引き離される。
……けれど右手は凍り付いたようにナイフを離さずに。少女の顔を見ればその怒りはもう一度だけ弾けるのだろう。
……燃え尽きる寸前の火が、一瞬だけ明るくなるように**]
>>47
やれやれ……煮え切らないな。
そして苛立たしくも在る。
お前も、ミハイルも……な。
欲しいものは欲しい。嫌な事は嫌だ。
それで良いじゃないか。
好きだから? エサだから?
敵だから? 味方だから?
そんな事を云い訳にして、本当に求めているモノから目を背けるから、全てを失うんだよ。
願い、求め、努力し続けない者が、全てを手に入れられる訳無いのにな。愚かしい。
>>48
[ユーリーが来るギリギリまで、扉の向こうにそう話しかける。声を話せぬはずの少女が何かを云っているのを、ユーリーは気付いたかも知れない。]
[...は、冷え切った体を起こしながら、周囲を無防備にも見回す]
あれ…あたし?
[どうして意識を失ったかは、すぐに思い出すことができたけれど、どうして目が覚めたのか判らない。その時、過去の人狼騒ぎで覚えてしまった、香りと気配が周囲に満ちているのに気付いた。・・・・・それは血臭と獣の臭い]
[先刻見た陶然とした瞳とは違う、殺気に澱んだ瞳。
カチューシャとは、夕食時に一人だけ居た少女の事なのだろうと予想は付いていたけれど]
…………知らない。
私たちは彼女に会ってはいないから。
でも、見つけてどうする気だい?
私は何があったか知らないけど、でも、そんな風に子供を追いかけて、何がしたい……!!?
[未だ一等車両内とは言え、列車の廊下の幅など高が知れている。
退路を、或いは進路を塞ぐよう、彼の前に立つ]
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