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[――夢を、見ていたような気がする]
……。
[目を開けると、白い天井と、“あいつ”の顔があった]
「……ウル。」
[顔を真っ赤にして、ぽろぽろと涙を零しながらこちらの名前を呼ぶ。
―――ああ、またそんな顔をして]
……泣くなよ、って痛てっ!?
「ばか! ばかばかばかっ!!ばかぁ!!」
[手を差し出そうとすると、
ぽかぽかと顔を真っ赤にしてこちらに殴りかかってくる。
いつもなら大したことはないんだが、流石に起き抜けにこれは痛い。
近くにいた看護婦が慌ててあいだに入ってくれた…看護婦?]
……。
(……ああ、そうか)
[思い出した。
どうして自分が、ここにいるのか]
……ユイ。
[両手で顔を覆って泣きじゃくる彼女の名前を呼ぶと、
再度手を差しのべる。
なんとか肩に手が届いたので、そのままこちらへと引き寄せた]
…わりぃ、ただいま。
[ぽん、と落ち着かせるように頭を撫でたあと、彼女の耳許で囁く。
嗚咽が治まるのを待ちながら背中を撫でていると、
やがてごしごしと手の甲で目元を擦ってからこちらに顔を向けた]
[赤くなった目に大粒の涙をためてはいるけれど、まっすぐに“俺”を見上げて]
「…おかえりなさい」
[少しむすっとした、それでいて嬉しそうな、
泣き顔とも笑顔ともつかない表情でそう、返事を返してきた*]
ー姉を見送ってー
・・・これで、よかった・・・
[鼓動を感じなくなった胸元。
ポケットごしにボタンを握りしめ、言い聞かせるように呟く。]
・・・さよなら、おねえちゃん。
[ウルに言ったように、“またね”とは言えなかった。
強い絆で結ばれた、双子の姉妹。
“またね”があれば、再び姉の中に戻ってしまうかもしれない。
今度こそ、姉を“殺して”しまうかもしれない。
だから、もう会えない。
今は、“さよなら”で、いい。]*
─いつかの、夏祭りの日─
[遠くから、祭囃子の音が聞こえる。
川縁には縁日の屋台が並び、色とりどりの飴玉や駄菓子、それに、お面やビーズ飾りや銀弾鉄砲といったものが電灯のあかりを受けて、まるで宝石箱のようにきらきらと輝いていた。
その喧噪から離れた川下の岸部に、一組の親子の姿があった。幼い男の子と、その手を引く若い母親。
彼女のもう一方の手には、白い山梔子(くちなし)の花があった]
「ママ、今年も川にお祈りするの?」
「ええ。ここにはね、ママが子供の頃に助けてくれた、ママの大切な人が眠っているのよ」
「ここに?」
「……そう。ずっとずっと、ここにいるの」
[もう、どのくらい昔のことになるか。
増水した川に転落した妹を助けた兄は流され、その遺体も遺留品も、未だ、その一部すら見つかっていない。
母親が山梔子の花を川面に置くと、ゆるゆると滑るようにして花が流れ、やがて水に飲まれて見えなくなる。
あの日とは違う穏やかな川面に、空を流れる白く大きな川を映して。
――山梔子。
その花言葉は『私はとても幸せです』**]
[どれくらい時間が経ったのかわからない
未だ止まらない“マイ”と私の涙
もしかして私は、マイに「忘れてほしくない」って思ってる?
そんな願いなんて、まるで悪魔みたい。“マイ”を縛りつけちゃいけない
でも、泣き止むことのないマイを見て、ふっ、と降りてきた、こと
──もしかして彼女も、私のことを忘れたくないって思ってる?
思い上がりかもしれない、都合の良いことを考えているだけかもしれない
でも、もしそうなら
マイも、私のことを大切に思ってくれていたんだ───]
…あは…っ
[「しあわせ」というものは、見えないけれど、本当はすぐ側にあって]
[ごしごし涙を拭って、私は思う
マイ、テツヤくん
私のことを背負わせてごめんね
泣いて泣いて泣いても、きっといつかは晴れる日がくるから
だからそれまで、私はこの星空の上でずっと見守っているから
二人が幸せになれることを願っているから
そのときは、ときどき私のことも思い出して、笑ってほしいな
ああ、もし転生なんてものがあるなら、マイとテツヤくんの子どもに生まれるのも良いなあ…
なーんて、ね!]
・・・大好きな人・・・
[なぜか、ウルの顔が浮かんだ。
胸ポケットからボタンを取り出す。
彼がどうして自分にこれをくれたのか。
その理由は、結局聞けなかった気がする。
でもきっと、自分を特別に思ったからくれたのだろう。
その“特別”が、どんな種類の“特別”なのかはわからないけれど、彼が自分の存在を認めてくれたことは確かで。]
・・・そうか。
もう“持ってる”んだった・・・
[ふっと、顔が綻んだ。
あの列車で出会った人たちは皆、自分を見てくれた。
「ニイナ」と名前を呼んでくれた。
頭を、背中を、撫でてくれた。
存在を、認めてくれた。
自分はすでに、ずっと望んでいたものを、あの列車で手に入れていたのだ。]
じゃあきっと、“次”も大丈夫、だよね。
[納得したように頷いて、ボタンを大事そうに、胸ポケットにしまった。
そして、ふたたび歩き出す。
目指すはあの明るい星。
そこに、“次のしあわせ”があると信じて。]**
―サウザンクロスを出て―
[車内は一気に閑散とした。
先ほどまで聞こえていた他の乗客の声も、ほどんど聞こえない。
それにクノーを見送った後、同じ席にいるのは寂しすぎた。
ルルーを見送り、クノーを見送り、アイスを囲んだ時には4人いた座席に、今は1人。]
(――そういえば、カロラはどこに行ったんだろう…?)
[停車場ではないところで席を離れたカロラ。
もう降りてしまっているのかもしれないけれど、もしかしたら…まだ乗っているのなら。
サウザンクロス遠ざかる窓から視線を外すと、ボストンバッグを肩にかけ、席を立った。]
[カロラの姿もなくなった車内で再びラウンジの元の席に腰を下ろすと、カロラの声がもう一度頭に響いた気がした。>>21]
(しあわせ。…ルルーが言ってた「しあわせ」>>2:74。)
(クノーも「しあわせ」見つけたのかな…?)
[ルルーが座っていた席とクノーが座っていた席を交互に見つめながら、二人に思いをはせる。]
(…ベニにはまだよくわかんないよ。)
(だから、クノーと一緒に降りられなかったのかな…?)
[列車は石炭袋を出ると、スピードを上げて夜空を疾走する。
その揺れは乗客を眠りに誘うようで、いつしかベニも瞼を伏せ、座席に身を沈めていた。**]
[俺が眠っているあいだに、季節はすっかり色を変えていた]
……こないだまで夏だったのになー。
[制服のブレザーに袖を通しながらぼやく。
意識を取り戻した頃には夏も終わりに差し掛かっていて、
病院を出た頃にはとっくに夏休みが終わっていた。]
[玄関先の鏡を見ながらネクタイを直す。
「またネクタイ曲がってる!」とユイの小言を聞くのは嫌だし]
[いつものように互いの家の前で合流して、駅までの道のりを歩く。
――変わらない通学路、変わらない教室、変わらない授業風景。
いつもどおりの平和な日常。]
[変わったのは、ただ、放課後の過ごし方だけで。]
[授業が終わったあと、以前なら病院に向かっていた俺たちは
俺はバイトに、あいつは新しく入った部活に行くようになっていた]
[俺の周りで変わったことは季節ばかりではなくて。
俺が眠っているあいだに、『あいつ』がいなくなっていた。
意識を取り戻した頃にはもう既に葬式も火葬も終わっていて。
『あいつ』の最期を俺は見ていない。
…そのせいだろうか?
今でも俺は、あいつが「死んだ」という実感が持てずにいる]
[やがて秋が深まり、冬が迫ってきたある日のこと]
[その日は珍しくバイトが入ってなくて。
一緒に帰ろう、とユイを誘ってみたら思いのほか素直に頷いた。
ユイの部活が終わるまで、図書館で暇を潰したあと、一緒に駅までの道のりを歩く]
[それからしばらく駅のホームでなんてことのない話をした後、
ようやくやってきた電車に乗り込む。
すでに日は落ちかけて、東の空が藍色に染まりかけていた]
[疲れていたんだろうか?
列車に乗り込むなり、ユイはうとうとと櫓を漕ぎ始めた。
少し呆れたような、なんとも言えない気持ちになりながら、こちらの肩にもたれかかってすやすやと寝息を立てる彼女の肩を抱き寄せた]
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