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[それでも、この事に関しては、考える事を止める。
逃げたのではない、今更選んだ答えに責任が持てないのはグレンにもセシルにも申し訳ないから。正解なんて無いけれど、この道だと決めた以上は突き進もう、と。そう思う。]
……獣…、一瞬大きな事言って制御出来てねえのかと思ったけど。
今はどうやら大丈夫みてえだ。…悪さはしねえだろうよ。
…根拠はねえけど。なんとなく、そう思うんだ。
[そして、再びノートを、今度はゆっくりと捲りながら。
彼にソレが何かと問われれば、化け物の呪いを解く術式である事を未完成である事と共に率直に話すだろう。
そして何か悪巧みをしているのかも知れないが。
けれどノートの事も併せてだが――今この、獣は。自分に反して抗う事は無いのだろう、となんとなく思えた。その内に語りかける声は、前までの獣に引きずりこもうとする囁きが嘘の様に何も無いが。
身辺整理の語を聞いて、再び荷物を漁り。妖刀は下げた儘、あとはひき出しの本にノート、それから雑多なもの。一度チェックして彼の言葉に頷いた]
…ああ、別に問題ないみてえだ。
[一つ、気にかかるとすれば帝国の自分に対する処遇か。
実際、獣もその辺りの細工をする事はリスクから出来なかった。
裏切りならば――帝国の捧げた忠誠とは裏腹に、今まで自分が背負ってきた事例の様に簡単に処分命令が下されるのだろうか。それでも、現実を。受け入れるしか――無いのだが。]
[能力……魔法と頭脳を見込まれて軍に入った。
忠誠を誓わされ、存分に自身の能力を発揮したつもりだ。
時には駒のように一般兵を扱い、駒が何百何千死のうと作戦遂行のために軍を進めてきた。
顔見知り……同じ孤児院出身の彼らを見るまでは、非情な参謀長補佐官だった。
連合軍へスパイを忍ばせ情報を抜き取り、時には暗殺さえもやらせてきた。
それが出来なくなり、軍の頭脳の一部として動けなくなったのは、何時の話かもう思い出せない。]
……そんな無能に成り果てた僕に何の用かな?
[国境付近、連合側に位置する廃墟に足を踏み入れた瞬間。
視線と殺気がクルークに注がれているのは分かったのだが、気配が読めない。
微かな音でも何でも拾えれば良いのだけれど、と更に建物内へと歩みをゆっくり進める。]
…魔力痕もあんまり感じなくなったわね…
…感じるものと言ったら…
[空間把握で得られる情報。敵が6人ほど。どこの所属かどうかは関係がない。銃をホルダーから取り出す。]
出てこなくていいわよ?撃ち抜いてあげるから
『ディレクトリ・ポート』
おとなしくしてて頂戴…
[放つ。放つ。放つ。6発すべてを脳天に当てる。]
…移動しましょうか…。これ以上この地区にいても無駄だわ。
次は…2(3)
(1.独立組織近くのD地区 2.3勢力の中心部H地区 3.連合近くのC地区)
[背後で微かに靴底を引きずったような音が聞こえる。
そこからは、一瞬の出来事。
背後から槍のひとつきが胸へと突き刺さる。痛みよりも、熱さを感じた。
それでもなんとか、相手の首を雷を溜めた手で容赦なく掴み取る事に成功し、思わず口の端が上がったのを感じる。
腕っぷしは昔から無い。それでも軍人としてはまだ死んでない。]
[クルークを襲撃した男は自分の身内が参謀長補佐官に殺されたと苦しそうに喚く。
自分と違う軍服を着ていた。それならば、きっとコイツは。
自由な片手を力を振り絞り、高く上げる。辺りに響くのは、微かな電気が弾ける音。]
……つかまえた。
[僕はお前に、詫びるつもりは無いと告げニタリと笑う。わらう。
怯えた男の目には血を流しながらも笑う気味の悪い赤毛がうつる。
引きつった悲鳴を上げたのと、赤毛が指を鳴らし、雷が建物に落ちたのは同時。
きっと、同行者はこれが何らかの合図だと、気が付いてくれただろう。]
ー4d・未明ー
[小隊長と作戦やら配置やらをすり合わせ、情報の共有を終えた後。ふと空を見上げると、一羽の鳥がこちらに向かって飛んでくるのが見えた。>>49
腕を差し出せばばさばさと羽を畳みながら止まる。爪を食い込ませるその脚を見れば、丸めた紙が括り付けられている。]
セシル…?…いい、いらない
[鳥を受け取ろうとする兵に首を振り、紙を片手で器用に開く。
書かれていたのは、帝国同盟の人間が独立組織に移動したことと、セシルがもうスパイとして帝国で動けないこと。何があったか詳しくは書かれていないが、聞けば答えてくれるだろうか。]
紙とペン貸して
[紙に簡単な地図を描き、「この辺で落ち合おう」と添える。字も地図もかなり稚拙なものだが、彼女ならきっとわかってくれるだろう。
再度鳥の足にそれを括り付け、飛ばす。小隊長に一言告げて、地図に描いたその場所へ向かう為、地を蹴った。]
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