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その方は、生きています。
この村でも、次の場所でも、多くを失いましたが……
……それでも、強く生き続けています。
[場所を教えましょうかと尋ねたけれど、本当に知り合いである保障のない自分に軽々しく教えて良い事ではないのだろうと、男に断られた。]
私も旅の途中なので、ご一緒することはできませんが……
貴方がその方を強く求めれば、きっと、また逢えます。
[礼を言って村を後にした男を、娘は小さく手を振りながら見送った。]
……強く、求めれば……。
[男の姿が見えなくなったあと、娘は酒場の前で少しの間座り込み、ぎゅっと壺を抱いた。
項垂れた娘の表情は誰にも見えないけれど、その背は小刻みに震えていた*]
―旅立ちからひと月―
[ふと気が付くと見知らぬ景色がある。
亡霊というものはぼんやりしているものらしい。
彼女に話しかけられれば、その独り言に相槌を打つし。
無防備な状態の時は、意味がなくともあの雨の日のように見張りもする。
それでも、記憶はどこかぼんやりと途切れ途切れだ。]
[人混みの中、たまに視線を感じる事がある。
誰かはわからない。
霊能者と呼ばれる存在なのかもしれない。
話しかけられる事も、話しかける事もなく、きっとそういうものだと思っている。
憑狼のような『声』はあれから聞いていない。]
[ヤーニカの居たという村を訪れた時もそう思う。
生き残ったあの人を探す旅人を見送って、肩を震わせる彼女を抱き締めることだって出来はしない。]
……。
貴女を、苦しめるばかりですね。
[すいません、久しぶりの謝罪の言葉は亡霊の耳にも音として聞こえなかった。*]
― 森の中 ―
[あれからまた、数ヶ月。
かつての自分の足跡を辿りながら、老いた女性を埋葬した跡を見つけた。]
これ……お返しします。
クリスタさん。
……名前を奪ってしまって、すみませんでした。
ゆっくり、眠ってください……。
[修道服を墓前に置いて、ロザリオを墓標へかけた。
するべき事は終えられた。
同時に、“クリスタ”を返上した娘は。]
……これからの私は、シャルロッテ……
[自分だけの名前。
そしてあのひとへ向けた名前を噛み締めるように呟く。]
― 雪のちらつく季節になって ―
[無人となった村へ、再び足を踏み入れた。
白い吐息は、煙のようだった。]
[今でも鮮明に思い出せる。
自分が殺した人、犠牲になった人の顔を。
怨嗟を。罵声を。叫びを。懇願を。
それでも。]
……貴方が守ってくださっていたから、私……生き抜くことができました。
[人間の手から。人狼の爪牙から。
そしてぶつけられた声から。
直接庇われることはなくとも、自分はひとりきりではないのだと感じられたから。
最後まで折れることなく、生きることができた。]
[あのときは、彼がいた。
視線が交わることはなくとも。
確かに彼は最後までそこにいた。
けれど、今は。]
……どこに、いるのですか、マコト様……。
[雪を踏む音は、ひとりぶん。
一緒に行こうと呼びかけた相手は、今、近くにいるのだろうか。
わからない。
娘にはその存在を見ることも、聞くことも、感じることすら。
いつもいつも、虚空へ向かって呼びかけているようで。
今の自分の言葉だって、単なる独り言に過ぎない気がして。]
応えて……
応えて、ください……!
[村の中心で叫んで、その場に膝をついた。
柔らかな雪が、動こうとしない娘の肩へ積もっていく。]
ヤーニカさんは、一緒に生きようって言ってくれて……
キリクさんだったひとに、自ら命を絶つなって言われて……
……生きようと思った。
貴方が近くにいると思えば、生きられるんじゃないかって……
でも、だめなんです……
私には、貴方の存在がわからなくて……
こうやって話しかけるたびに不安で、逢いたくて……触れたくて。
私は……
あのひとたちの期待に応えられるほど強くないし、優しくもない。
あのひとたちを……貴方を裏切って、死にたいって、ずっと思ってる……
最低な人間なんです……。
どうして貴方は死んでしまったんですか……
どうして死なないといけなかったんですか……
どうして私は生きているんですか……
貴方のところへ行くことを赦されないんですか……
[生きようと思ったのは、騒動の終わりまでで。
それ以上、生きるつもりなんてなかったのに。
死に往くひとのことばが、
生きると決意したひとのことばが、
自分に死ぬことを赦してはくれない。]
……私は、充分貴方に守られました。
でも……貴方がいなくなってまで、守られたくはないんです。
[この呪われた人生も、貴方に出会う為だと思えば幸せなものだ。]
[けれど貴方と別れる為にあったというのなら、やはり私の人生は呪われている。]
[あのとき彼が裂いたものは、彼自身の首筋だけじゃない。
身は守られても、心はずたずただ。]
[空を見上げる。
顔の上へ雪が落ちても、止めどなく頬を伝う熱いものが溶かしていく。]
貴方には今、私の目が見えていますか。
私には……貴方の目が、見えないんです……。
[吸い込まれそうな黒の眸と交わったとき。
その瞬間だけは通じ合えた気がしたのに、すぐに彼は手の届かない場所へ行ってしまった。
視線が交わることも、なくなってしまった。]
……マコト様……。
どこかで見ていてくださっているなら、
私を、連れていってください……。
[浄化が貴方の役目だというのなら、
私は、貴方に抱かれて逝きたい……*]
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