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[それは何処かのマルガレーテという名の少女の話。
かつて眠り病だった母親が、施設にいた頃の夢]
『ママがいた病院にはね、天使様がいたの』
[かつて人魚だったというその母親は、
懐かしそうに古き友人の名を語る。
そして決まって空を見上げるのだ]
ママ、どうしたの?
『ううん、何でもないわ。
こんな天気の良い日は、天使様が飛んできそうな気がして』
天使様、グレイヘンの夢にも来てくれる?
[そう問うと、母親は寂しげに首を振るのだ]
『天使様は、死んでしまったの。
今度、お墓に連れていってあげるわね』
[『見えているか』という問いには悔しそうに首を振る。
右は…そもそもないのだから当然として、左はどうなのだろうか?
全く見えないわけではない。けれど、白く覆い被さった霞は、彼女の言うように一過性のものなのか? 焦燥感だけが募る]
したい……
したいのは ぐれいへんみたいに
なりたいな って
だからせんせ…おしえてほしいの
ぐれいへんがしてきたこと
意志 つぎたいから
[辿々しく紡ぐのは、翼を継いで生きること。
私に羽はないけれど……飛ぶ術
そのためには理を知らねばならない。
この世界の 夢を架ける生き方を]
[呻き声を上げて伸ばした手は、
されど誰にも取られることは無かった。
いまの美月は手を伸ばして、呻くことに必死で、
求める先の少女の心の機微等読み取れない。
やがて、力尽きるようにふっと動きを止める。
白くて細すぎる手からくてりと力が抜けた]
焦るのは、良くないわ。
[表情から焦燥感を読み取ったかのように、頭を撫でる。
目が見えないこと、手も満足に動かせないこと。
すべてがもどかしいのだろう]
グレートヒェンみたいに、なりたいの?
[リヴリアとグレートヒェンの間に何があったのか
女医師は知ることができない。
ただ、なにかが
聞かされていない間に何かが、あったのだろうと推測出来るだけ]
……わかったわ。
すこしずつ、ね。
[教えて欲しいの、その言葉には頷いた。
拒否をすることなど、ない]
いっぺんには、もちろん無理よ。
けれども、グレートヒェンのことは、教えるわ。
彼女がどんな少女だったか、ね。
[安心なさい、と笑う]
[ほんの触れた程度の力。
弱々しいと呼ぶのも生ぬるいような力が、
繋がれたその手をきゅうぅと握り返した]
ふぁあ………。
[口元から小さく息が漏れる。
声にならない小さな声――一度では、通じないだろう。
耳を寄せられたなら、やはりごく小さな声だけれども
ゆっくりゆっくりそっと耳打ちをした。]
― 『いつか』の物語 ―
変わった人もいるんだって、思った
『変わった人……か?』
うん。すごく、変わってた
『というと、どう変わってたんだ?』
お父さん、いまのテレビ観てなかったんだ?
……ばか。
『でも君こそ、お父さんの話よりテレビが大事だったんだろ?』
うっ……。
『それじゃあおあいこだな。
それで? どう変わっていたんだ?』
あ、あのな、 星を探してた!
『星? ああ、そういえば天文台の特集だったか』
『ふむ……美月は、星が好きだったのか』
ちっ……違う! 違うってば!
っていうかばかみたいじゃないかっ、おじいちゃんじゃあるまいし、
あんなに一生懸命星探して空見るなんて
『君はその変わった人を随分好きになったみたいだね』
ばかだって言ってるんだ!
そんなこと、あるわけ―――。
『君の「ばか」はつまり、「好き」だからなぁ』
!?
そんなことない!
ばかばか!お父さんのばーかばーかばーか!
ほんとのほんとにばかだぁぁっ!
『はいはい、分かった分かったから! 落ち着いて』
ぜぇ、はぁ…… あ、あれ、く、苦しい……
『ほら、言わんこっちゃない!
看護婦さん、ちょっとごめんなさい。看護婦さぁん!』
あのね、お月さま。
さっきの話だけど。
すきじゃないけど。
ただ、思っただけ。
あの人、もしかして毎晩
私と同じ空を見上げてるのかな……って
そしたら、いつか……ともだちに、なれるかな って。
いっしょに、星空を見たいんだ。
一緒に笑ったり、泣いたり、
いっぱいけんかもするのかな。
けれど、仲直りもしてみたい。
仲直りの時はきっと同じ空を見上げて、
きれいなお月さま、きらきら輝く星をひとつひとつ辿って
一晩中おしゃべりしてみたい。
夜明けにのこる、最後の星が消えるまで。
ばかみたいだね。
こんなカラダじゃどこにだって行けやしないのに、
ぜんぜん知らない人にあこがれて。
いっちばんばかなのはやっぱり、私だよ。
けどね…… がんばれる気がしたんだ。
この星空の下のどこかで、
あの人もがんばっていると思ったら
キライなあなたのことだって
好きになれるかもしれないって……そう思ったんだよ。
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