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[不意に身体が浮いたように錯覚する。
……いや、錯覚ではない。身体に伝わる微かな体温が、今誰かが私を持ち上げて、そしてさっきまでいたベッドに戻そうとしているのだ。]
ぃや……
[抱え上げる手から逃れようと手足を動かす。
……ばたばたと。
私にとっても多大な苦労だったものが泡沫に帰す。
元より那由他が如き離れていようと行こうとした場所。
それだけ強固に渇望した想いだった。
夢のセカイの私ならば、その飛び逝く翼めがけて一億の夜をも越えていこうと。
それほどに焦がれた想いであった]
[だが……これは夢のの話ではない。
あくまで現実
幻想世界で己が欲望に浸り溺れていた代償は
現実で重く重くのしかかる。
……抗い逃れようと振り絞った力は、いとも容易く防がれる]
やらぁ…!
……ぁましないれぇ!
[抱え上げる腕をふりほどこうと、まとわりつく腕に爪を立てる。
食いちぎろうと歯を立てる。
その者は当然自身の身を案じて籠の中へ戻そうとしていたのだろう。
取り乱しさえしていなければ、きっとわかったことだ。
その者は現実を知る者なのだから。
けれど、その時の私は現実をまだ理解してはいなかった。
だから暴れた。渾身の力を振り絞って逃れようと殴りつけようとした。
自らの行動を阻害しようとする名も顔も知らぬ邪魔者へ──]
ぁして! ぇいへんのぉこいぐのぉ!
[──現実は現実だ。
息の根すら止めてやるつもりで殴った拳は、ただ弱々しく彼女の胸をぽすぽすと叩いただけ。
骨まで砕くつもりで噛みついた歯は、ただあむあむと彼女の皮膚を甘噛みしただけ。
懸命に這った足跡も距離にすればたかが知れてるだろう。
健常者ならば一歩、二歩と闊歩とすら言えぬ距離でしかなかったはずだ。
この距離を進むのにいったいどれほどの時間を費やしたことだろう。
これが現実、これが身の程]
[その、常の者からすればささやかで、けれどうざったい抵抗は
そう、腕や足を縛り付けられるか、弱り切った身体が生命の危機を察知し脳との伝達を遮断して強制的に眠りにつかせるまで続いた。
だから、目の包帯を外され>>20語りかけてくる彼女の声>>21を感知したのはあれからしばらく経った後のこと。
落ちたときの衝撃で、腕の骨と…あとは肋骨もやられたか?
全身を強烈な痛みが駆けめぐる。
病み上がりどころか病んだままの身体が、その無理な行動によってオーバーヒートする。
そんな鬱屈とした熱……熱と痛みを歯を食いしばって耐えながら……
私は“身の程”を知ったのだった。]
……あなたは だれ?
[解かれようとする包帯。その箇所は私の責であり恥部でもあった。
解かれていく感触に、羞恥と恐怖で身を強ばれば、そんなことなどお構いなしに包帯の感触は消えていった。
触れてくる外気がやけに冷たい。
解いたということは目をあけろということだろうか?
私はおそるおそる瞼をあけようとする。
──霞む白、ただ白い霧が眼前に広がっていた。
いや、右目は漆黒の中だ。そこには元からもうないものしかないのだから。
では左目は? 思い起こすのは閃光……翻る光と染め上げられる赤の世界。
けれど、今は…ただ白の世界が横たわるだけだ。
嗚呼……見えない。何も見えない。
見て良いと言ってくれたのに、皆を見てと言ってくれたのに。
その術を私は持てず……おめおめと現実に横たわる]
ぅう……
[悔しさでこみ上げてくる涙を必死に堪えながら、それでも私は声の方へ顔を向け、そんも声に向かってひとつを尋ねる]
『ぐれいへんはどこか』……と*
[幼い頃からの病院暮らし、
だれかがだれかの死を嘆く光景なんていくつも見た。
夜空のお星様になって行ったこどもは
そう珍しいものじゃない。
次は自分の番かと怯えることはあっても、
こどもたちの死を嘆き想い弔い
いちいち涙を流すことなんて、美月はしないのに]
………っ、 ひぅっ、
はぁっ、はぁ、 ふぅ……ひぅっ………
[酸素マスクが不規則な呼吸で曇る。
胸が苦しい――苦しくて、詰まりそうで、
動かない腕を動かし動かない身を捩り苦しさを堪える]
[
まっ白なつばさの天使さま
わたしのゆめの天使さま きこえますか
まただれかが死んでしまったようです
どうかどうか、その子を
つれて行ってあげてください
しあわせの空へ
お星さま「とおひさまとおつきさまの近くへ
おねがいします
みんながいる星空へ つれて行ってください ]
[握り締めた右手に左手を重ねて、
重ねた手をぎゅっと握り締める。
夢の中で「天使さま」と繋いだ手を
守るように、祈るように
美月は、ちいさくちいさく身を*丸めた*]
[いや、と小さい…いや、大声を出しているつもりなのだろう声が、胸の中でする>>27。
それを物ともせず、白いシーツへと寝かせる。
……が、それでおとなしくなるはずもなく。
ただ、叩かれる拳は白衣にわずかな皺を作るのみ。
噛まれる腕には、あとひとつ残らない。
いやだ、はなして、じゃましないで。ちくしょう。
そんなことを言いたいのだろう音が、暴れる体の奥から聞こえてくる。
鎮静剤でも持ってくればよかったか、と考えて。
結局のところ、ひとまず手を手近にあった包帯で縛る。
こういったことは好きではないが、
そうでもしないと彼女―リヴリアにとって、危険だった]
[一つ、その中で気になることがあった。
えいへん、と聞こえる発音。
グレイヘン、グレートヒェンとつなげるまで時間はかからない。
彼女もまた、夢のなかにいた一人だ、知らないはずもあるまい。
そんな話は聞いていたのだから。
……ただ、目の前の包帯だらけの少女が、ない力を振り絞ってまで自分に抵抗し、
グレイヘンの名を呼び動こうとしたのか、
…それだけが分からなかった]
[縛り付け、しばしおとなしくなってから。
ふう、と一息、ついた。
……どこにその力があったのだろう、と疑問に思いながら、とんとんと腰をたたく。
そうして外した包帯。
右目はきっと見えないだろう。
左目はまだわからない、が。
苦痛に歪ませながらも、うっすらと開く瞳を覗きこむ]
……ぐれいへんは。
[どう答えるべきか、考えあぐねていた。
死んでしまった。
そう答えるのは、簡単ではあるけれど]
ここには、いないわ。
[まだ身体はあるけれど。
そう答えるしか、なかった]
――さっき落ちた時に、どこか痛めているでしょう?
すこし、触るわね。
[話を変えるように、彼女の身体に触れる。
表情をみながら、歪むところをだいたい把握して、
一旦カルテに記入した。
……入院してるのであるから、その治療は通常に比べて楽であるけれど、
体力のなさと栄養不足が問題となるだろう。
おとなしくしなさいとばかりに、髪を手で梳いた]
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