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ここにいたら、殺されます!
逃げましょう!
わ、わたし、少ないけど貯金もあります。家事は得意ですし、野菜くらいなら、見よう見まねで作れます。
だから……夜の間に、溝辺まで降りて、どこか……どこかへ!!
[夜なのにうっすら汗ばむわたしの手。対して、衣服越しにも氷のように冷たい神威さんの手]
[引き倒される男性と、振り下ろされる杭]
[山入りの無残な遺骸]
[病院の窓口に座る神威さん]
[先生と一緒に、村へ繰り出す男宗]
[星、満天の星]
[わたしの頭は、筋道だててひとつのことを考える仕事を、忘れてしまったようだ。
ただ、いくつもの映像が、バラバラに思い浮かぶ]
[桜子をじっと見つめる。桜子は気が付いてしまった。気が付かれてしまった。己が屍鬼であるという事を。叫ばれるかもしれない、と思った。逃げ出されるかもしれない、と思った。化け物と、罵られるかもしれないと思った。
桜子の反応は、予期したどれとも違っていた。男は瞬き、僅かに嬉しそうに笑んで、やはり悲しげな表情を作った]
……桜子ちゃん。
駄目だよ。私といたら……私が屍鬼だとばれたら……
きっと、君も酷い目に遭う。殺されてしまうかもしれない。
[今まで見てきた屍鬼狩りの様相を思えば、桜子も殺されてしまうかもしれないというのは、言い過ぎではないだろうと思えた]
村から逃げられたとしても、私は……
……化け物、なんだから。
血を吸わなければ、人を犠牲にしなければ……
いられないんだ。
そうじゃないと、とても……
とても、お腹が空くんだよ。……
[ぽつりぽつりと、呟く。抱える憔悴が一時露になって]
一旦戻りました…。ええ、先生の言うとおり、僕らの中でも現実になりましたよ。
どうしたのって言われましても、いや単に消毒だよ。ちょっと赤いのさ。それより御飯をくれないか、いや大丈夫、戻すなんて真似は1順巡ったよ。
[神社に戻った一行を、どんな目で見ていただろう。全員が、まるで手術後の医者のようだっただろうか、知恵の回る仲間が、アイデアを出したか。
午後の消毒は、>>4:32先生の指示で水道の修理に出向く事になった。午前のメンバーと多少入れ替えて向かった。]
……私はもう、罪を犯してしまったんだ。
救われたいだなんて、望めない。
救いなんて、ないんだ。此処にこうしてある限り。
死者は……死者でいるべきなんだ。
屍鬼は、墓に還るべきなんだ。
……私は……
私は、……
……なんで、こんな身に、なってしまったのか……
[男の口から、弱さが零れ落ちる。その目から、涙が零れ落ちる。温度のない、水のような涙。拭う事もなく、佇んで]
こっ、これは―。
[破損箇所を見て愕然とした。
周囲がどうした直せないか?と心配そうにしている。]
―はは、これなら十分お釣りが来るくらい直せる。
心配しなくていい、専門職にまかせなよ。
[軽口が強くなる。
水道の破損は、破壊ではなく、解体されていたことが下人だった。解体とは、知識が無ければ出来ないもの―。]
社長―!
生きていてください…。
[只の解体であるなら、構築もまた早くできる。修理の最中数日見かけぬ敬うべき上司の姿を思い浮かべ、臍を噛んだ。]
こっ、これは―。
[破損箇所を見て愕然とした。
周囲がどうした直せないか?と心配そうにしている。]
―はは、これなら十分お釣りが来るくらい直せる。
心配しなくていい、専門職にまかせなよ。
[軽口が強くなる。
水道の破損は、破壊ではなく、解体されていたことが原因だった。解体とは、専門的な知識が無ければ出来ないもの―。]
社長―!
頼むから、生きていてください…。
[只の解体であるなら、構築もまた早くできる。修理の最中数日見かけぬ敬うべき上司の姿を思い浮かべ、臍を噛んだ。]
[黙って首を横に振る。指で涙を拭い]
……駄目なんだ。
どうにか出来るものなら……人間と屍鬼が共存出来るものなら。
先生は、その道を探ってくれるだろう。
でも、そうじゃないから……こうなってしまったんだよ。
先生も……私が屍鬼になったと知ったら、私を殺すと思うよ。
すぐでなくとも、直接でもなくとも……
それは覚悟の上で、先生に会おうと思っていたんだ。
いや。思っている……のかな。
[神社がある、高瀬がいるだろう方向を見やりながら]
母さんは、私が死んでいるなんて思っていないだろうね。
生きていると、信じてくれているんだろう。
……とんだ親不孝を、してしまったよ。
[今度は自宅がある方を見やって。それから]
……怖い。
[また呟くように言った]
私は、怖いよ。
村で屍鬼狩りが起こっている……皆が変わってしまっている事が。
きっと知っている人達から、化け物と罵られる事が。
この胸に杭を打ち付けられる苦痛が。
二度目の死が。
でも、何より怖いのは……
生死の理から外れて、異形として存在している事なんだ。
誰かをまた襲って、殺してしまうだろうという事なんだ。……
もし、ここを捨てる事態になったら……。
私の存在を、"消して"欲しいの、貴方の手で。
[不要な物は全て消して来た。
今までも、きっとこれからも。
足手まといにしかならない自分は"不要な物"だから自分で"消す"つもりで居たのに……
どうしても紫苑の手で"消されたい"、そう願った。
自分は血を吸われても起き上がる事は叶わない。
彼に血を吸われて"消える"
それは彼自身に自分が不要な物として扱われ、
未練を残さずに消える為だけの、
ささやかな*我侭*]
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