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―回想・夜明け前―
[そうして、自分は山中に隠れる場所を探す。
夜明けまで伽耶も紫苑も無事であることを願うしかない…]
[樹のウロの、見難い場所を探し、強引に身を捻じ込んだ**]
─屋敷・2階居間─
[何度目かの発砲の後、ついに弾が切れた。
1階から響き続ける不快な機械音。
しかしそれが何かは自分には分からない。
──ただ思うことは]
(もう……これ以上の抵抗は難しい……わね)
[椅子にもたれ、ゆっくりと項垂れる。
震える手から猟銃が離れ、床にゴトリと音を立てて落ちた。
それを見た数名が、ここぞとばかりに部屋に雪崩れ込む。
恐怖からの開放、戦意を喪失した"弱者"を前に、居間の入り口で様子を窺っていた人間達は、完全に"暴徒"と化していた。
溜りきった恐怖を吐き出すかの如く、女に襲い掛かる──]
[髪を掴まれ、椅子から引きずり下ろされる。
紫苑が施してくれた輸液の管は脆く外れ、刺さったままの針から赤い血が溢れる──
血の抜ける感覚で、一時的に我に返る。
周りで響く怒号、誰かを呼ぶ声、関係無しに当たり構わず破壊する人間。
床に押さえつけられ、誰かは高瀬を呼びに行っただろうか、それとも居間の前まで来て、居間の中の惨状に気が付いただろうか]
しかし困ったな。
今まで落としてきたわたし自身の行動が、すでにお昼頃くらいまでを確定してしまってて……。
「火事騒ぎ」を知らなかったことにするしかないかなあ。
/*
まぁ、実際問題、半日あるわけだし、村に居る屍鬼から、高瀬たちがそろそろ行動を起こしそうだと情報を得て居そうなのだがねぇ。
まぁ、時間も時間なので、日没後に放火でも良いカナぁ、と。
/*
メモにオフって書いたのにオフってない件。
離れられなさすぎ、ヤバイ……マジでちょっと一旦離れないと。
リアル大事に、だよね。大事にしてないっ
ともかく、屋敷に行った先発隊は、疲れと怪我がたまってると思います。
誰か、交代してあげられるグループはありませんか?
連絡クラスのことも、先生に伝えてうまく……、
[そんな話をしていたおりに、「火事だ!」という悲痛な叫びがして、わたしは飛び上がる]
なんですって……誰が……、
[愚問過ぎた。わたしは自分の言葉を自分で補完する]
23グループから後は、消火に回って下さい!
水道が直ってて良かった……!
[肩を掴んでやめさせようとする隣で男達が部屋になだれ込む。
何事かと覗き込めば伽耶が取り押さえられていた。
しかし、男の目に飛び込んだのは輸液パック]
おい、やめろ!!もう戦意喪失してるだろう。
俺達がやるのは殺人じゃないと何度言ったら分かるっ!!
[とりあえず取り押さえている手をどかし、伽耶を椅子に座らせる。
傍らにある猟銃だけ持っていくよう指示を出す]
手荒な真似はしたくなかったんだがね、
消毒させてもらった。
これは…もう役に立たないな。
治療が必要なら神社に行けばなんとかなる。
どうする?
[腕から抜けた針を見て即座に酷い状態なのを悟る。
いくら屍鬼に協力していたとはいえ、伽耶は人間だ。
自分から手を下すのはもってのほかである。
気休めの治療ではあるが受ける気があるかどうか訪ねてみた。]
[火事自体はボヤだったが、放火の犯人は見つからなかった。
逃げたのか、それとも、火事が時限式だったのか]
同じ方法……また使って来るかも知れません。
水道管の分解と同時にされたら……次は消せないかも。
どうしよう……屍鬼を狩って、兼正を捜索して、水道を見張って、村を見張って……そんな人員、絶対にたりないよ!
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