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ああ、そうだ。
全く関係ない質問なんだが……
[再び顔を上げ]
お前さん、元気かい?
[シャーロットが聞きたがっていた、クロノの様子。
脈絡なく質問だけ取り出してみると、甚だ*マヌケだった*]
―― 空 ――
『……堕ちて』
(堕ちろ、堕ちろ堕ちろ堕ちろ!)
(『頼むから』)
[魔導銃の軌跡を私とマリアは祈りと共に追う。
ホーミング弾が黒騎士に着弾。
いけるかと私が息を飲んだのもつかの間]
[ズィルバーンと黒騎士が赤い光に包まれて。
恐怖で目を見開く私を、赤い光が包む]
[怖くて、恐慌状態になる。
大きな悲鳴をあげたような気もするが、2人への固有回線のスイッチは入れなかった。オープン回線のスイッチは、ナノマシンが自動で切断する]
嫌だ、いやだいやいやいやいや
いやぁああああああアァあぁあアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアア
[音もなくコアが停止して。
コアから私に供給されていた無限のエネルギーが失われる。
脳髄が肉塊へと次々に戻っていく]
[私は、は、は、は、じじじじじ自分の落下やい
.
―― MiddanEden ブース ――
【ほれ見ろ、俺の勝ちだ。さっさとチップをよこしな】
【けっ ウィルアトゥワの糞ッたれめが。
さっさと弾幕乱射しとけってんだ。金玉ついてんだろが。
―― ほらよ、もってけドロボウ】
【マリアにゃついてねーよそんなモン】
[整備ブース、リアルタイムで配信される映像の前。
白衣眼鏡妖精や、人型兎、人型鼠たちがぎゃあぎゃあたむろしている]
[映し出された映像には、水晶の竜と水晶の騎士が遥か高空から、まっすぐ動きを止めて落下していた]
[映像のホログラフ横に浮かぶのは、マリアやウィルアトゥワを巡るナノマシンの各種データ。
ウィルアトゥワの停止と同時、マリアに仕込まれていた新しいナノマシンプログラムが目覚めたのが、はっきり示されている]
[画面の中で、マリアに絡み付いていたウィルアトゥワの鱗がぱらぱらと剥がれ落ち、マリアと竜は別々に落下していく。
やがて、空に大きな金の花火が2つ、上がった]
[画面の中のマリアは、衝撃をものともせず動かない相棒に手を伸ばし、涙を流す。喉を大きく震わせて、慟哭を演じる。予め定められていたシナリオ通りに]
―― MiddanEden ブース ――
[マリア=カリラは救護室の利用を断った。
マリア=カリラの肉体やナノマシンのデータをMiddanEden外に渡すわけにはいかないからだ。それに、MiddanEdenのバイオ技術の方があるベクトルにおいては進んでいるからでもある]
[マリア=カリラとウィルアトゥワは嘆くファンの目の前を通って、自社のブースに運び込まれた。もし、彼らを訪ねるものがいるならば、それが単なるファンでない限りは通される]
[水晶の娘は、透明な液体で満たされた巨大な修復装置の中、背中に様々な触腕を挿入してのんびりとたゆたっていた。お約束どおり、絶妙に計算されたバブルが彼女を生まれたままの姿から隠してはいるが**]
[出て行く幼い二人を見送って、しばし目を閉じる。
薬が効いているのか痛みは薄いが、生身の脆弱な身体は休息を欲しているようだった。]
…道具に心は宿るや否や、か。
[魂がこもっている。
そうかつて遠い昔、東国の島国では大切な道具をそう評したらしい。
作ったもの、使ったものの思いが宿るとか。
例えば人とそっくりに作られた人形が、人の動きをトレースして踊り、歌う。
その姿を見て、まるで人のようだと人はいう。
そんなものはまやかしの錯覚に過ぎないと、道具に共感できない自分は思ってしまうのだけれど。
高度なAI、自律するシステム。
そこにこころは、ありやなしや…?]
/*
少女ルート構築中。
ふむ、たとえばダイアナの記憶がコアに封じ……いやニュアンス違う。
「コアがダイアナの記憶を共有し(て保存し)た」ルートはありかな。
ダイアナの記憶は二年前に一部パーンしたが《Indigo Bird》のコアに、共有した彼女の記憶は残った。無論兵装ロック解除コードも。
それでまあダイアナの決意に呼応して名前(コード)を響かせるんだけどダイアナにはコアの声が聞こえない! 通訳してロジャー!
とか、そんな感じを、目指すには、どうすればいいんd
*/
――大会会場・屋台通り――
[左腕に焼きそば料理の入ったかごを吊り下げ、右手にコスモスと数種類の季節の花を合わせた花束を持ちながら少女はゆっくりと歩いていた。
ふとピットでの思考をゆっくりと反芻して]
共に立ち向かうもの、か……。
BigFire乗りにとっての自らの機体はこれに当てはまるのかな……。
[人それぞれだとは思う。
自機に特別な思い入れを持つ者もいれば、道具としてのみ見る者もいるから。
ちなみに少女は紛れもない前者側の者だけど、たとえばこの場でもし、BigFireに心が宿るか否かと問われたら、
心を宿らせるのはあくまでも乗り手。
ゆえに、BigFireに自ずから心が――あるいは魂と言い換えてもいいかもしれない――宿るとは思っていない。
そう答えるだろう]
[そう答えるがゆえに。
少女は自らの機体に魂が宿っているとは考えていない。
もし宿っているとしても、それはきっと二年前に滅んだのだ。]
(私が、色々なことを、思い出せなくなってしまったから)
[だけど。
少女は空において孤独を感じたことがなかった。
一人で飛んでいるはずなのに、独りではないという安心感が、いつもどこかにあった。
そう。まるで誰かに見守られているかのような――**]
/*
通訳してロジャー!は無茶にもほどがあった。考え直してみたら。
☆治療室来ちゃった後考えられるルート
1.格納庫について行く
2.クロノの居場所を訊く
3.治療室に残る
4.その他
*/
―大会本部 治療室―
『もしかしたら』
[その頼りないながらも確実に目の前にある可能性を信じて立ち上がり、いざ格納庫へと勢い付いたがカバンの中身を思い出してマシマの方を振り返った。
…視線はやはり恥ずかしそうに斜めを向いているのだが]
あ、あの、私、これを持って来ました…よ、良かったら皆さんで食べて下さいっ…。
それから、少しでも早い回復を祈っています!
[またもや言葉を詰まらせながら、カバンからビスケットの詰め合わせや屋台で購入した菓子類を袋ごと引き摺り出して側の机にそっと置いた。
カバンに残ったビスケットの小袋は、後ひとつ]
ロジャーくん、あの…外で待っていますから、その…着替えを…。
[クランケ衣のままで立っているロジャーに背を向けて、かすみ草の花束を広い上げた]
……。
[顔を上げ、クロノの居たベッドを遠目に見るが不在の様子。しかしシーツがそのままになっているという事はまた戻って来るかも知れない。
ロジャーが構わずその場で着替えを始めるならば慌ててその場を離れるし、そうでなくとも廊下で待つと告げてマシマに頭を下げてその場を離れるだろう]
と、とにかく待ってます!
[早足で2人から離れ、クロノの居たベッドに駆け寄る。
急いでピンク色のかすみ草を生けて、側にビスケットを置いた]
…何も、出来ないけど。
早く元気になりますように…。
[空のベッドに頭を下げ、急いで廊下へと駆けて行った。
ビスケットがクロノの手に渡るか渡らないかは分からないが、せめて花だけでもと願いながら**]
だが不足は認めよう。
解析方法は種々様々だが、
今回に限っては、
システムであるか、別の系であるか、
ウリスの悪戯のようなものであるか、
この目で確かめるまで、
ヲレには分からず、大会前にも分からなかった。
[もう少し時間があれば結果は違ったのだろうか。]
…
【コアを護る力】――だと?
[クロノは眉…というより、目の近くを顰めた。]
護ってどうする?
下らん …
[そう言ってはみたものの、クロノ自身釈然とはしない。言葉にならない苛立ちだ。そんな事を知ってか知らずか、ダグラスはメニューに夢中になっているようだ。
クロノは、顔ごと上を向き、運ばれてきた『水』を、いっきに流し込んだ。]
『ああ、そうだ。
全く関係ない質問なんだが……』
[ふいに声がかかり、クロノは現実に引き戻される。]
『お前さん、元気かい?』
ハァ?
[思わず高い声が出た。]
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