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キィ=キョウの遺体を…。
[スイ=レンに言われ、一応防護の用意をしてから、医務室に一人になり、キィ=キョウの遺体を丁寧にきれいにしていく。
肌は白いが、急激な症状だったためか、いわゆる病人のそれではない]
キィ=キョウ、綺麗よ…。
[さらに、死に化粧を施し、リアン服ではない、新しい服を着せた。
外で待機してくれていたスイ=レンと共に、睡眠カプセルに安置する。
睡眠ルームでは、ホウ=ビ=ショウが、サ=フラ=ワーの横にいるだろう。
ショウは自分達が横で作業していることに、気がつくだろうか]
[キィ=キョウの安置が終わってから、ヤ=ナギに内線を入れる]
キィ=キョウが先に惑星に降りたわ。
[昨日の今日である。これで、十分に意味は分かってくれるだろうと思った]
[一通り済ませてから、スイ=レンと共に、なんとなく過ごす。食事もするようにと言われるが、ほんの2〜3口だけ。それでもないよりはマシ、と言われるだろう。
やがて、コントロールルームに向かい、KK-102を眺める]
キィ=キョウも…。サ=フラ=ワー、シ=オン、オー=ス=ティンも、皆、あそこで待ってるわ…。
[そう、スイ=レンに呟いた**]
エンジニア キア=ラキ=スイ=レンは、鉱物学者 ディ=オシュ=ホウ=ビ=ショウ を投票先に選びました。
[見えざる神秘の意思……、そんなものをぼんやり考えていたところへ、スイ=レンとローズと、キィ=キョウが入ってきた事に気づいた>>19]
……(終わった…、か)。
[キィ=キョウの死を知って、口の中だけでそう呟いたが、おそらく二人には聞こえなかっただろう]
[二人も無言のままで、キィ=キョウを睡眠カプセルに納めていった。時折、ローズが「クスン」と小さく鼻を鳴らす音だけが聞こえた。
二人が去って言った後、ショウは顔を手で覆うと、大きく一回深呼吸をした]
…これで、いよいよ、時間の問題か。
[……そういう仕草をしてみると、自分でもよく感じ取れる。顔面が熱く高潮している事を。吐く息が熱を持っている事を]
どうやら…、ようやく俺の番が来たか。
そんなに待たずにすんだのは、まあ、幸いだったな。
[そして、左腕に巻いた紅い布地を、右手で腕ごと強く握り締めた]
「あなたは幸せね……『サージャリズム様』のご加護を受けて星を危機から救ったこの私の敵ではないんだから。」
[カホの隣で話をしている同級生、アサミはそう言った。]
へぇー、そうなんですか。それは大変でしたね。
星を救うだなんて、私には出来ませんよ……。
[アサミの話に付き合う。アサミはクラスではそれなりに人気があり明るい性質であったが、何故かカホの前でのみ自分の前世の話をするのだ。
恐らくそれはこの話をしても笑わないだろうとかあるいはカホなら素直に受け取ってくれるだろうとの考えであったが、カホはそれに気が付かなかった。あまりそれには関心が無かったのだ。]
……あの、アサミさん?
何でいつも前世の話なんかするんですか?
[カホにはそれが疑問で疑問で仕方無かった。
そうすると、ため息を付きつつアサミが聞いてくる。]
「じゃあ聞くけど、貴方にとって前世って何?どんな物?」
[暫く考えている。あまりピンと来なかったのだ。]
[ローズからの回線は>>20相当に衝撃的なものであった。
揶揄された言葉の意味は、すぐに通じた。キィ=キョウの亡骸は既に睡眠ルームに安置されたようだった。]
キィ=キョウさん…!
――やはり、無理にでも休ませるべきだったのだ。――休んだからといってこの病気の進行は止められるものではない。――いや、休ませていれば或いは――。
[ナギの中の様々な思いが交差する。ワクチンはどうなったのだろうか。ローズの予言も相俟って絶望的な未来ばかりが見える。
…と、急に胸の辺りに焼けるような熱さを感じて咳き込む。抑えた手の平の中心に、少しだけ赤いものが見えた。]
うーん……。
そもそも私、今こうして生きているんですから前世は何であろうと私は私でアサミさんはアサミさんなんですから、関係無い気もするんですが……。
[そう答えるとアサミは自分の考えを理解してくれない苛立ちからか、哀れみも混じったような目でカホを見る]
「やっぱり貴方はただの人間ね。……貴方に話しても無駄だった事にもっと早く気が付くべきだったわ。
一つだけ忠告するわ。サージャリズム様によると貴方は近いうちに大きな災いに遭うわ。避けようもないからせいぜい気を付ける事ね。」
[言いたい事だけを言ってアサミは去っていった。]
……アサミさん、そんなに前世が好きなんですね……。
[カホには理解の出来ない感覚だった。]
―睡眠ルーム前―
[ショウにサンドイッチと温かい飲み物をと、相変わらず閉ざされた扉をノックする。考えた末に、防護服を着るのをやめた]
ショウさん、ナギです。入ります。
[返事も聞かずに中に入ると、想像と同じような姿でサフラーの横に座るショウが居た。ショウはナギに気がつくだろう。そして何か言葉を発するだろうか?]
ショウさん、食べられそうなら是非。
[と、ショウの傍らにトレーごと置き、するとちょうどカプセルの中のサフラーの顔が見えた。化粧をしてもらったのか、昨日より赤みが差して見える。]
…サフラーさん、美人ですよね。やっぱり。
[サフラーが元気なら、決して本人を目の前にして言えないであろう言葉が自然に口に出る。ショウはどういう態度を取ったろうか。文句を言われたなら、だって本当にそう思うんですから、とナギは構わず続けたろう。]
ショウさん、昨日の植物園、見ましたよね?
サフラーさんが薬草作りに入ってからは時々僕が世話してたんですけど、サフラーさんほど丁寧にはやっぱり行かなくて。…所々元気がなくなってたんですよね。
[苦笑いをして頭を掻く。]
その後…ローズさんのキサナド…で…
[ローズの話題にした所で一旦言葉を止め、ショウの様子を伺う。激高する様子はあるのだろうか。]
…サフラーさんがお世話をしてた頃のように…元気になったみたいでした。
[ショウの隣で、サフラーと目線の近い位置にしゃがむ。]
僕、面白い話を聞きました。キチェスにも色々あって、額の痣が薄かったり、あるいは全く見えない人も居るんだとか。痣の濃度がサーチェスパワーに比例するなんて説も聞いた事があります。
…サフラーさん、案外キチェスの力を授かってたんじゃないかなぁ、なんてふと思いました。
彼女はキチェスの歌と同じ色を作り出してたんですから…。
[ナギはサフラーの生い立ち>>0:218を知らない。勝手な想像を口にしているだけだった。ショウはどう思ったかはわからないがナギはショウを見上げて言った。]
何にしてもショウさんには勿体無い人です。サフラーさんは。
…気が向いたら食事してくださいね。また来ますから。
[アサミは前世ではキチェスという特別な人間であり星を滅亡から救い誰からも感謝されていた、と自称している。
今まではカホもその話を黙って聞いていたが、そこまで前世の自分を強調するアサミに何処と無く違和感を覚えた]
……前世が前世がって、そんなに意味のあることにも思えないんですよね……。
[割と子供っぽい所はありつつも、妙に考え込む所のあるカホであった。]
[隣に居るショウから異様な熱気を感じる。
ショウは、明らかに発病していた。起きていられるのは鍛えられた精神の賜物なのだろう。
ナギはクローゼットから備え付けのクッションと毛布を取り出して黙ってショウの近くに置いた。]
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