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―回想・教会前〜拠点へ―
先程はすみれに挨拶をしに行ったはずが、
慌ただしくバタバタしてしまいまし、
……しまったからね
[口をつきそうになる敬語を抑えつつ。
巡る魔力の具合を、指すり合わせて確かめる]
― 1F北・オフィス街(ホテル駐車場) ―
[ホテルの駐車場に辿り着けば、ランサーは実体化し、軽トラックの鍵を開く。]
結果のみを見ればそうなりますな。
彼は与えられた不死性、そして半ばの命に神を宿すその出自より、万夫不当と呼ぶに相応しい英雄だった。彼の武人めいた物言いに、或いはその実力に心酔し、一度は袂を別ちながらも、我々の軍勢は多くの者が『彼ならば』と信じ続けていた。
――だが彼は。自身の道を信じ、自らの在り様を示すばかりで、他者の道を理解し、他者の在り様を許すことをしようとしなかった。
……それは戦局という意味に於いて何の意義もなく、どれほどの影響も与えないものではあったが。結果として――他者の心を知ろうとしなかった彼は、怒りを買い、その身を破滅へと墜としたのです。
[興味がおありであれば自ら調べられよ、と付け足して。運転席へ乗り込み、鍵を挿し込む。]
……貴君は、先日のアヴェンジャーとそのマスターに如何なる心を見出したのか。如何なる関係性を見出したのか――詳しくは聞きませんが。
……自らの理のみを優先し、他者の在り様を理解せず、そして知らずの内に他社の尊厳を迫害する者は、いずれその死を以って理解することになる。
覚えておいて、損は無いでしょう。
[淡々と告げる表情に、如何なる変化も無い。
怒りも、憎しみも、嫌悪も、まるで身に纏う灰色の石のように。
それ以上を付け足すことはせず。教会へ向けて、アクセルを*踏んだ。*]
貴様は私がアキレウスと同じ過ちを犯すというのだな。
時代、立場、環境と違いはあれど参考にさせてもらう。
[ここ数日の付き合いで理解した従者の人物像からして、
皮肉等ではなく本心からのアドバイスには違いない。
ならば受け入れざるを得なかった。]
アヴェンジャーとマスターの関係性は知らぬな。
切り分けれなかった事は無念としかいえぬ。
ただ、絆はあったのであろう。
でなければ貴様との戦いの最中でマスターを転送などするまい。
一般的な人間としては貴様が正しいのであろう。
だが、私は魔術師でありその理は絶対である。
ならば、世界を切り分けて見せよう。
私の理と周りとが両方いきて生けるようにな。
ふん、つまらぬ話をしたな。
さっさと教会にいくぞ。
[激しく発射する車の勢いに負けぬように踏ん張る。
そして教会への到着を待った。]
―教会前―
[荒い運転のおかげで速度が出たのだろう。
教会へは思ったより早く到着した。]
さて、貴様聞きたい事があるんだったな。
ならば、霊体ではなく其の侭でいろ。
[歩きながら告げる。
そして周りに誰かいないかを探る。
己の魔術回路と令呪へ意識を集中させながら]
−3F−
───まぶしい。
[思わず口からこぼれた言葉だった。
力と力が激しくぶつかって、それはまるで最近理科の授業で教わったマグネシウムリボンを燃やしたときの強い光を思い出す。
あそこには先ほどまで着物を着た英霊がいたのに、光が消えてなくなったらそこにはだあれもいなかった]
…?
[ぱちぱちと、渡り廊下から見下ろしてもそこにいるのは図書館で見かけた鎧の英霊と男がひとり。
少しばかり首をかしげて、あれもまた戦いなのだと学ぶ。
本当は、まだたけのこは気になっていたけれど流石に今はみちるもたけのこを気にしている場合ではないとわかっていた]
…おじさん、かえろ。
[自分がここに来たことで、キャスターが余計な魔力を使ったことも、なんとなく理解できていた]
−南ブロック・古びた洋館−
[こうして、朝起きたみちるは考える。
パンを焼いているときも。
ベーコンを焼いている間も。
自分は、英霊をよんだときどんなことをしていたのか。
思い出す。思い出そうとする。
そうしたら、うっかり卵をフライパンの上で砕いてしまった]
…あらら。
[目玉焼きになる予定だった気味は、形を崩している]
― 回想・システィーナ礼拝堂にて ―
[魅了と武の英霊の戦いを上から見ていた。
格マスターの姿も視界には入れてはいたが、
途中からは英霊たちの戦いを静かに見ていた気がする。
セイバー、アーチャーとの一件を見られる事はあっても
他の英霊の戦闘を見るのはこれが始めての事。
礼拝堂には若干に合わない竹が時折迫ってくれば、
風を薙いでそれを払うを繰り返す。
みちるから、竹の情報>>3:404を得たので容易だった。]
[自らの宝具――《アトラス》と名をつけたのはメルカトル本人。
ギリシア神話から引用した神の名を、と、言い遺した。
故に、ランサーの宝具の名が聞こえれば視線は奪われる。
蒼い炎越しに見た笑みを浮かべた男の顔が、目に焼き付いた。
胸の奥が熱く、湧き上がる何かを感じた。
決してそれは恋心とかではない。断じて違う。
―――、かぐや、と呼ばれた魅了の英霊。
さいごの最期まで、女性らしく美しさと気品を感じるその振る舞い。
そして自らの力を持って、マスターを神輿に乗せるのを見届けた。]
…、お見事です。
[勝利をおさめ、霊体化するランサーに向けた言葉はひと言のみ。
彼がアーチャーとの戦で手を出さずにいてくれたのは感じていたから、こちらが今、ランサーやそのマスターに何かするつもりはなかった。]
…はい。
[>>31みちるに言われる侭、下の階層――拠点としている洋館に戻るわけだが、キャスターの本やらスナック菓子やら詰め込まれている袋の中に、みちるがおいしい、と言っていたタケノコが数本忍んでいた。**]
― 古びた洋館 ―
[ぱり、
ぱり、ぱりぱりぱりぱり。
ポテトチップスを食べる音が静かな空間に響き渡る。
図書館で借りてきた本を眠る事無く読みふけり、
読みながら手は動くものだから、また勝手に
洋館の中から発掘したもので道具を作成していた。
それは朝になっても終わらず、朝食は菓子で十分だと追い返す。
部屋の前には袋の中に入っていたタケノコが数本置いていた。]
…随分と、幾何学も、技術も、学問も、全て進化しましたね。
実に興味深い文献ばかり…ぶつぶつ。
[ぱりぱり、ぽりぽり。]
[朝ごはんは、呼びにいってもだめだった]
…おじさんなんか、おでぶさんになっちゃえばいいんだ。
[お菓子ばっかりたべていると、そうなっちゃうんだ。
そんなことをぶつくさ言いながら、一枚多く焼いてしまったパンにマーガリンを塗る。
外に出かけたときにおなかがすいたらこれを食べるつもりらしく、サラダをはさみ、ベーコンをはさみ、パンでふたをする。
半分に切って、アルミホイルでぐるぐる巻きにして、かばんにつめこんだ]
…おじさん、まだ本よむのかなぁ…。
[みちるとチルチルのでかける準備は済んでいる。
このまま家の中でくすぶっていても仕方ない。
たけのこを茹でるのに必要な糠もない]
…いいもん。
みちるだって、ときどきひとりになりたいもん。
[べぇ、と、ポテトチップスを消費する音だけが響く扉に向かって舌を出した後は抜き足差し足忍び足。
そーっとそーっと、家を出ることにした。
糠を買わなくてはならないのはわかったのだが、それだけで帰ってくるつもりはもちろんない。
机の上には出かけてきますのメモだけがのこる]
[がれきの中に倒れていた。
体中が痛みを訴えている。どこからか出血したのか、服が赤黒く染まっている。力が入らず、何か言おうとして、かすれた息を吐いた。
片翼の圧倒的な魔力。
セイバーの宝具はそれを斬り裂いたが、それでも余波は自分を襲った。それだけでこの有様だった。
英霊同士の戦いに身を投じることは、ここまで危険であったのか]
…………ッ。
[魔力のパスを確認する。セイバーとはまだ繋がっている。
令呪の反応はもはやない。あの片翼と……もう一つ、おそらく片翼のマスターの反応は消えている。
生き残った。
そう理解して、痛みに耐えながらゆっくりと首を動かした。
揺れてぼやける視界に、すみれの花が見えて―――意識を失う]
ー???ー
『……兄上。』
[冷たい声がした。弟だ。自分はと言えば、自室で筆を手に、地蔵の絵を描いていた。そうしている間は、何も考えずに済んだからだ]
『土岐頼遠の首を切らぬと聞きました。耳を疑いましたが、聞き違いではありますまいな?奴は上皇の車に矢を撃って車から落としたのですよ!道を譲るのが面倒だという理由で!奴は院のなんたるかもわきまえておらぬのだ!
師直もそうです!奴が都の娘を何人孕ませたか、兄上もご存じのはずだ!流罪先で酒盛りをして戻ってきた者までいる…これで鎌倉のような幕府と呼べますか!』
………お前は、なぜわしらが幕府を開いていると思う。
勝っているからだ。勝つのは、奴らのようなバサラがいるからだ。わしは奴らに気前よく褒美をやる。だから奴らは大人しくわしに従っている。それを人徳と呼ぶものもいるが、ただそれだけのことだ。
…それが気に障るなら、土岐は死罪としよう。
それで良いのだろう?
―回想・教会前〜2F菫の場所へ―
[果たして、予感は当たっていた。
瓦礫共々粉々の中、菫を守るように倒れ込んでいたリリンとセイバーの姿があった。]
レティ!大変!!
早く運ばなくちゃ…
[英霊とは言え、およそ力仕事向きとは言えないレティと
僕では二人を移動させることなど到底出来るはずもなく…]
いいや!レティこのまま拠点まで移動しよう。
その砲が治療もしやすいし、この二人なら拠点がばれても構わない。
[言うが早いか、セイバーリリン、レティと三人の手を繋ぎあわせ拠点をイメージした。]
―回想・教会前〜拠点へ―
――、……
ええ、わかりま――、
わかったよ、ヒイラギ。
行こう。
[ 袖引かれるまま、頷いて。
主に従って、そのすがたを転移させ―― ]
さあ、戻れ。わしは今、何も考えとうないのだ。
わしは……忙しい。
[そういう物言いを、弟が見逃してくれるはずもなかった]
『兄上の言う忙しいとは、地蔵の絵を描くことですか。兄上はいつでも世の中を厭うている。兄上!師直を排しなさい!それで政はうまくゆくのです!』
……それよ。
お前はそう言うが。わしはお前のいう通りに、何もかも排してきたぞ。北条も、親王も、三木一草も、北畠も、新田も、全て殺してきた。先帝以外は全てだ。
ところがどうした。これだけ殺して、まだ世が治まらん。
昨日は師直がお前のやり方は古い、お前を遠ざけよと言うてきた。今日はお前が師直を排せよと言う。わしは後どれだけ殺せば良いのだ。それでいて、国師は禅を修めよと言う。
人を殺して、浄土も見なければならぬ。
忙しい。わしは……忙しい。
『それが兄上の言葉ですか。…仕方のない方だ。良いでしょう、好きになさると良い。』
[師直と弟が幕府を二つに割って争い始めるまでに、時間はかからなかった。]
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