情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
『次は、終着駅、サウザンクロス。サウザンクロス。
まもなく発車致します。閉まる扉にご注意ください』
[列車は再び走り出す。名前もない、小さな停車場は通過して。
勇ましい射手に、巨大な魚、蛇の近くで寄り添う双子、そして、赤く燃える蠍――。
ひとつ、ひとつ、窓の外を流れていくそれらの先にある、南の十字架を目指す]
[ふ、とほんの一瞬、目元を曇らせる]
……元気かな。
[それは、シャロに宛てたものではなく、置いてきてしまった、同じくらいの年格好だった
――妹への**]
[あの日、『ウル』が事故に巻き込まれたと真っ青な顔で妹が告げてきた。
自分のいる病院に向かう途中でのことだった]
「どうしよう、どうして…!」
[そう言って泣き縋る妹の身体が震えていたことも覚えてる。
けど、あのとき自分は何もしてやれなかった。
あの頃にはもう、僕の身体は殆ど動けなくなっていたから]
[物心ついたときから、僕は身体が弱かった。
よく体調を崩しては、病院を出たり入ったりを繰り返す日々。
両親は僕に殆どかかりっきりで…気がつけば、妹は親戚の家に預けられることが多くなっていた。
あの頃の、僕を見る妹の目は忘れていない。
羨望とか嫉妬とか、そういう、自分に向けられるはずだったものを奪ったものに対する眼差し]
[――そんな僕らの関係が変わったのは、隣の家にあいつが越してきてからで]
[僕と同じ年の、癖のある赤い髪をした少年は僕と同じ『ウル』という名前だった。
名前がきっかけで僕らは少しずつ親しくなり、そのうち、そこに妹も一緒に混じるようになった]
(……あの頃は、楽しかったな)
[快活で明るくて、僕と正反対の『ウル』に妹もよく懐いていた。
あの数年間は、本当に楽しかった]
[それから少しずつ、僕の病気は進行していった。
学校には結局小学校と、中学校の入学式に少しだけ。
制服にはほんの数回袖を通しただけで、結局彼らと一緒に学校に通うことはできなかった]
[――少しずつ、少しずつ。
日を追うごとに自分にできることが少なくなっていく。
一昨日できていたことが昨日にはできなくなり、
昨日できていたことが、今日はできなくなる。
気がつけば、そんなことが日常になっていった。
そんななかでもあいつはよく見舞いに来てくれて。
妹も、そんなあいつと一緒にいるときはよく笑っていた]
[――あいつが事故に巻き込まれたあの日は、妹の誕生日だった]
[それから数日が経っても、あいつが目を開けることはなかった]
[自分のせいだと、そう責める妹に何もしてやれなくて。
僕はただ、違うよ、と目で訴えることくらいしかできなかった。
“発作”を起こしたのは、そんなある夜のことだった]
[何も見えない、どんなに目を凝らしても一向に視点が像を結ばない真っ暗な闇の中。
ただ、自分の呼吸音だけが、よく聞こえていた。
遠くで誰かの声が聞こえるような気もしたけれど、よく聞き取れない]
[―――ああ、これが最期なのかな、と。
ぼんやりした思考の中で考えた。
不思議と苦しいとか、そういう気持ちは起こらなくて。
……暗闇の中で、ただ、思ったのはあいつと妹のこと]
[今までずっと、兄らしいことは何もしてあげられなかった]
[奪われるだけの人生だと思ってきた。
自分と同じ年の子が当たり前のように持っているものをただ奪われていくだけの人生なのだと。
だけど僕はそれ以上に妹から、本来彼女が与えられるはずのものを奪ってきた。
両親の関心や愛情、あの子が普通の女の子として友達や他の誰かと過ごす時間。
そういうものを、ずっと長い間、彼女から奪って生きてきた]
(……だから)
[――どうかこれ以上、あの子から何かを奪わないで。
あいつをあの子の許に連れ戻してあげられるのなら、この命なんて惜しくはないから。…だから。
ただただ、そう祈った]
[グラスに注がれたサイダーは気泡が弾け、ストローで喉へと流せば弾けた気泡が喉を刺激する。
まだ、走り回って遊んでた頃、おうちの近くのお祭りで買ってもらったラムネ。
中のビー玉が欲しくて堪らなかった。
お祭りで会ったのは、仲良くしてた女の子。そして、元気な男の子。
公園でも一緒に遊んだ、二人の子。
でも次の記憶は、……白い部屋。
なのに、あの子たちにはもう一度どこかで会った気がして。]
[頭を小さく振ると、クノーの手をくい、と引く。]
ねぇ、クノー。
その鞄、何が入ってるの?
[常に鞄を持ち歩くクノーの、その鞄が少しだけ気になって、不意に尋ねる。**]
[『ベニ!ベニ!?』
時折、ベニのことを呼ぶ声が頭に響いてくる。
その声はどこか懐かしいような…でも誰かはわからなくて。
声の主を探して周りを見回すけれど、姿は見えず。
不思議に感じながらも、その度に頭を小さく振ると、再びクノーの顔を見上げ、話に耳を傾ける。**]
……さっきの話の続きになるけど。
ボクが、ベニよりももう少し大きくなった頃。
兄が……兄さんが、亡くなってね。
[あの日、無機質な黒服が差し出した書面も、こんな簡素な物だったろうか。]
その知らせが来ると同時に、父の使いが来たんだ。
跡継ぎが死んだからクノーを引き取る、支度をさせるように。
……って、ね。
[自分を手放すまいと最後まで食って掛かった母親は、一枚の書面を突き付けられ、黙りこんだ。
……その書面が何だったのかは、結局、解らずじまい。]
ボクは、“父の”子供になった。
……産みの母と別れて、父の元で暮らして、死んだ兄の遺した物をそのまま受け継いで。
そうして。父親の奥さんを、“お母さん”と呼ぶようになったんだ。
[その日から、自分の生活は一変した。
金銭に不自由の無い生活、恵まれた学習環境、家柄も心も豊かな友人たち。
…………それに、“優しい”養母。
穏やかな人だった、とは、思う。
ただ。時折、死んだ兄と自分とを比べては、酷く冷たい瞳をして。
そのくせ、何か物言いたげに言葉を紡ぎかけては、ため息を吐く。
……その、繰返し。]
[1]
[2]
[3]
[4]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新