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>>85
――……ギャウンッ
[ベルナルトに爪がかかったか否か。
その刹那、轟音とともにその背中に弾丸が命中する。
小さいが、確かに凶器のそれは、獣の中に突き刺さり、その体内で止まった。]
――…・・・グ……ガァアアアア
[獣は動きを止め、その背から、自らの赤黒い血を噴出しはじめる。]
やだやだやだやだぁっ!!
[すでに狼の方も、カチューシャの方も、見ていなかった。ただただロランの銃を奪おうとする動き。]
あっ!
[胸元の傷の痛みに、一瞬腕が引き攣る。その隙を見逃さず、ロランが抜け出す。]
ロラン!!
[銃が構えられるのが見えた。手を伸ばす。引き金に駆けられた指。とっさの思考はとても単純。]
う、あ、あ……
[銃の前に体を投げ出した。けれどそれは腕をかすめただけ。血は流れても、威力は殺せず。
……獣の、悲鳴が聞こえた。]
[大きな獣の体越し、サーシャとロランが視界に入る。
獣を前に揉み合いをしているのはどういうことだろうか。状況を把握しかね、奥歯を噛み締める。
開いたクローゼット。壁に残るのは、弾痕――?]
――――っ!
[振り上げられた人狼の前脚、身を翻し押さえ込もうと咄嗟に腕を前へと伸ばす。
力が適う筈もない。まともに受けるのは愚策だ。
しかし避ければその爪はカチューシャを容赦なく襲うだろう。]
[獣の爪が肩を貫くとほぼ同時か。
正面から、白い閃光が迸るのを見た。]
……おーかみ、さま?
[苦しそうな声。吹き出す血。何が起こったのか……理解はゆっくりと。]
う……ああああああああああああああああああああ!!!!!!
[たたきつけるような叫び。倒れたロランに駆け寄り、その真っ白な首に手をかけた。]
ぐ……
[そして、獣化が微かに解ける。
もちろん、完全ではなく、上身のみ、顔も獣と人の間のような姿になっていく。]
……おま……え……
[その背からはやはり血が流れるが、弾丸は貫通しておらず、身体の中の鉛に眼が赤に黒に点滅した。]
――……ぐ……
[そして、一転後ずさると、窓まで背を向け、肘でその窓を割った。
とたん、吹き込む、夜の冷たい雪と風…。]
−回想つづき−
え、どうして…?
[呆然と咆哮が聞こえた先を見つめた。杳として様子が知れないが。
2度目の咆哮が届いた頃、]
あ、こっちに来る…!?
[まだ傍にいればダニール、そしてシュテファンの遺体に視線を向けた。
表情は強張らせたままー*]
[そして、一気に車内に入り込む雪と風、
それは瞬時、そこにいる面々の視界を真っ白に染めるだろう。
その強風が収まった時、
そこに獣の姿はなかった。*]
――……ミハイ ル……
[指先はトリガーに引っかかったまま、
凍ったように動かない、ずるずると肘をついて立ち上がれば、彼へと伸ばした片手が落ちる]
………ッ、
[咄嗟のことに何が起きたのかもわからぬまま。
訪れた窒息感、喘ごうにも呼吸は塞がれて、
ただ苦しげに眉根を寄せる]
[振り返り、呆然とその光景を見ていました。
身を挺して自分をかばってくれたべるにーさん。
必死に止めようとした、ローラお兄さん。
銃を奪おうとする、こわいおにーさん。
そして、窓から落ちようとしている…ミハイルおじさんを。
少女はただ、見つめていました。]
[誰も、その列車を外から見るものはいないだろうが、
その車体の上に、黒い影が張り付いている。
それは蠢いて、列車の上を這いずりながら移動していく…。**]
[意識を霞んでゆくのを感じていれば、
ふと、涼しげな風、冷気は何故か心地よく]
――…… 、
[口唇が何か言葉を発するように動いたけれど、
当然、それは淡い音にもならなかった]
なんで、なんで……!!
[泣く寸前のような、喉にひっかかった声。]
おおかみさま、なのに。
……ミハイル、なのに……!!
[つい先刻まで、よく話していた相手なのに。
腕に力を込めようとするけれど、かすめた弾丸と開いた傷のせいでまったく力は入らずに。
……その二つを言い訳にしていたのかも知れないけれど。]
ぐ、う……ッ、
[激しい痛みに息が止まる。
骨が砕かれるような衝撃、肉の裂ける嫌な感触。
血が噴き出し、体が僅かに前に傾いだ。]
………は………
[獣の動きが止まった。ぼんやりと霞がかかったような瞳で、赤色の点々と散る床に視線を落とす。
銃弾が狼に傷を負わせたこと、獣化の僅かに解けたその顔が誰の物だったのかも、真っ白に歪む意識の中では気づくことが出来たかどうか―――]
[割れた窓から、冷たい風が吹き込んできます。
血と硝煙と冷たさで満たされた部屋の中で、自分を守ってくれたお兄さんと、自分を殺す手伝いをしようとしたおにーさんが争っていました。
少女は縋るよう、助けを求めるように、べるおにーさんの方を見上げます。]
[サーシャが何か叫んでいる。
ロランの首に手が掛かる。
カチューシャは逃げ出せただろうか。
あの獣の名は―――
どれも確かめることの出来ぬまま床に頽れ、意識を手放した。*]
[けれども誰も助けてくれません。
元よりヒーローなんてものがこの世に存在しているなら、少女の家族は誰も死なずにすんだのですから。
ヒーローは、どこにもいません。
だから少女はよろよろと立ち上がり、ぽてりと羊さんを取り落とし、両手で部屋に備え付けられた水差しを持ち上げ、そして…]
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