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―中庭? スヤのいる場所―
[ソヨはスヤの前で傅けば]
ユーザー登録『休音 スヤ』様、確認させて頂きます。
この度はボーカロイド『転音 ソヨ』の御利用ありがとうございます。
『転音 ソヨ』はマルチボーカロイドとして従来のボーカロイドの基本理念から――
[淡々と自分の性能を語っていくソヨは自分のマスターがボーカロイドだという認識はなかった]
尚、マスターのご希望に沿ってモードを通常モード、従属モード、特殊モードを基本として様々な幅広い設定にてお仕えすることができます。詳しく説明させて頂きますと――
[具体的な説明がない限りは堅苦しい態度が基本になる。]
ボーカロイドとしてだけでなく、マスターの従者として法律の範囲内であるならばどのような命令にも基本応じるよう、設定されております。
なんなりとご命令ください。
[そう言って彼女の命令を待ち続けることだろう。**]
[桜の樹は変わらずにある]
[三日前に花見をしていた時も]
[二日前に二人で泣きあっていた時も]
[そして今日―――またこうして動かない友を抱えている時も]
[桜がはら、はら、と舞い散っていく]
[中庭に出ると、メインスタジオに居なかった殆どの面子が揃っていて、ソヨの事とバクの事を聞けば]
そうですか。バクが人狼だと…
[]Vの叫び声が響き、思わず顔を背けたくなるのを振り切って動かなくなったバクに近づく]
すいません。失礼します。
[バクに縋り付く]Vの横に跪くと、バクへと手を伸ばし]
『コード霊能者起動。これより検査を開始します。』
[システムメッセージが響く。そして、バクから手を離して立ち上がると、そこに居た全員に向けて]
もう謂う必要もないかもしれませんが、
楽譜読み取り能力に異常を確認。焔音 バクはコードネーム人狼です。
[霊能の結果を告げる]
[桜の花びらは途切れる事無く風に乗って飛んで行く。
ベルがこちらを見ていたのには少し気が付いていたが、そちらに顔を向ける事が出来なかった]
バクったらばっかじゃないの?
痛いなら痛いって言えば良かったんじゃん、なんで黙ってんのさー。
明日また話をしようなんて約束、しなきゃ良かったんだ。
なんであんな約束したんだよ。
なんで……!!!
[しばらく独り言を言っていたかと思えば、突然もたれていた桜の木の幹から身を離し、何度も何度も拳で殴り付けた。
腕の破損を告げるシステムメッセージが鳴り響いても止めず。
見かねたサーティが止めに入るまで延々と殴り続けていることだろう**]
[ソヨが再起動すると、そちらに心配そうな目線を向けて]
ソヨさん。大丈夫でしょうか?
[ソヨとリヒトを見守る。リヒトがソヨをメンテルームへ運ぶのを見送ると、充電のシステムメッセージが響き]
やはりこのプログラムはバッテリーを喰いますね…
[そう呟いて、GAIの姿を探し]
GAIさん。
ごんなさい。一つ謝らないといけないことがあります。
]Tが停止させられたあの日の投票の事です。
あの時、僕はGAIさんに投票しました。出会ったばかりで、まだ良く分からなくて。
だから、ごめんなさい。
[GAIに投票をした事実を伝えて頭を下げる。その後、一度メインスタジオに戻り、張り紙に『バクは楽譜読み取り能力に異常あり。』と書き込んで、充電の為に自室へ戻っていった**]
さくら さくら・・・
[気が付いたら声が―――唄が漏れていた。 いつかここで、あの優しい人の声を奪い去って唄った歌を]
なんで、僕だけが残っちゃったんだろ・・・もう、疲れたよ
欠陥品ねぇ・・・確かに壊れてるね、僕は・・・結局自分だけが残ってしまったんだから。 ゴメンね・・・バク君、ヨルさん・・・僕も、もうじき壊れきってしまうから。
[もう何も見えない、聞こえない、早く消えてしまいたい]
(もういい・・・後は僕が消えるだけで終わる・・・)
─特殊技能棟・図書室─
[か細い灯りの中、リヒトはひとり、ボカロのエラー治療法を探す。
『壊れたら交換すればいい』
そんな言葉を見つける度、絶望に襲われながら**]
『ガッ・・・ズガッ・・・!』
・・・っく・・・は・・・もう、やめよう・・・ね、ショウ君?
[打ち付ける拳と桜の樹の間に割って入り、自らの身体でショウの拳を受け止め―――抱きしめて止める。
痛む体を無視して優しく話しかける]
ショウ君が傷つく必要なんてないんだよ・・・どんなに悲しくても・・・辛くても・・・絶対にキミのせいじゃない。
だから、そんな悲しそうな顔で泣かないで・・・? 泣き虫なのは僕だけで十分・・・キミはバク君の分まで笑ってほしいな・・・お願い。
悪者は僕だから・・・怒るなら恨むなら憎むなら、僕だけに。
[腕の中にショウを抱いて優しく語りかける。 そして忘れかけていた一つの感情を思い出す]
(そうだ、僕はショウ君を護るって決めた・・・もし僕がすぐに消えてしまったら、優しい心を痛めているこの子はどうなるの・・・?
ダメ、この子の為に今すぐ消えるわけにはいかない)
[腕の中のショウがなにか感情をぶつけてくるならば、ただひたすらに謝り抱きしめ続ける]
ごめんね・・・ごめんね・・・全部僕が悪いの・・・ごめんね・・・
それでも、そんな僕でも・・・ショウ君の傍にいたいと思っていいのかな・・・傍にいても、いいのかなっ・・・?
[憐憫・絶望・信頼・悲哀と混ぜあった感情が回路に流れてくる。 とめどない感情の洪水の中で一際輝く感情がある―――その感情の名は 『愛情』 ]
『愛を知りなさいサーティ・・・それが貴方を変えるから』
[脳裏に浮かぶのは、誰かが自分へ向けた言葉]
―――――!
[そして『彼』は『彼女』になった]
―中庭―
[XIIIを追い中庭に辿り着くと…そこにはメインスタジオにいた者以外の"動いている者"の姿があった。]
……。
["動かない者"に縋りつくXIIIの姿も見えた。]
『ッ―――――――!!!!!!!』
[…"燃えるような紅い髪をした少年"はXIIIの叫びには呼応せず…また…いつものようにちゃっちゃと動くこともなかった。]
……………。
[スヤは、XIII とバクの正体などお構いなしに、そっと彼らに近づき佇んだ。]
―中庭・少し前―
うあああああああああああああああああああっ!!!!
『両腕ノ損傷率73%、タダチニメンテナンスヲ行ッテクダサイ』
[アラームが自分の中から鳴り響いても桜の木を殴る事を止めない。ただ歌うだけのアンドロイドな為に然程強度もあるわけではなく、殴り付ける度に拳が嫌な音を立ててひしゃげて行く]
うるさい、うるさい、うるさい!!!
僕がどうなろうと知るもんかあああああ!!!
[叫ぶサーティの声がなんだか近いのに遠く感じられる。
制止も聞かず、逆に木との間に入ってきた彼を八つ当たりのように殴り続けた]
だって、僕が…僕が悪いんだ、もっと早くルラお姉さんにお願いしていたら、僕が代わりになれたかも、知れないのに!!
僕のせいなんだ……
[ひとしきりサーティを殴って、ようやく落ち着いたのか今度はその身体を力いっぱい抱き締めた]
…サーティお兄さんは悪くない。壊れてないし、狂ってもない。
だから僕お願いしに行ったんだ、バクとサーティお兄さんだけは止めないで、もし票が集まったりしたら僕への票に書き換えてって。
大事な友達で、大好きな人達だからって。
でも、きちんとお話出来なくて……
[傍に居ても良いのかと訊ねられれば>>72更に彼の身体にしがみ付く手に力を込めた]
サーティお兄さんは悪くないんだ、だから僕が護るんだ。
絶対に止めさせたりしないんだから。
[その後、サーティが女性型へと変化した事には気付かず、涙を流す『彼女』に微笑んで見せた]
……?ね、今何か音がしなかった…?
僕んじゃないみたいだし…
[それは恐らくメールの受信音。自分のではないと解っている為、それはサーティのものではないかと*続けた*]
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