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―現在・ドゥヴァン・支部―
[駆け込んだ建物の内部。扉の側にいたフィロが、そのまま床へと座り込む。
その声は、讃辞を自分達に向けるが、笑顔が強ばっている。…無理もない。]
……無茶、するから……。
『ゲート』で逃げる訳には、行かなかったのかい?
[そう、さっきは必死で思いつきもしなかったことを、改めて聞く。そして、自分への讃辞には]
…二人のお陰だよ。
[そう、答えた。……その時、気付く。魔術の新たな力が、己の中に満ちていることに。]
……スー。
やくそく、わからない、なった。
……ナカジマ。
かえる、わからない、なった。
[まどろみに似た感覚に襲われる。青年の声に応えようと思った。しかし、喉が締め付けられているように思うように声が出ない。舌が絡みつくようにうねる。何とか絞り出した声は、その場にいない者のための言葉だった。次第にぼやけていく視界の中で、青年が勇敢に巨像に向けて剣を振るう姿が見えた。「正義の味方」とはこういうものだっただろうかと、場違いな考えが頭を巡る。スーやJ・Qに教えてもらわなくては。「生きたい」という意思だけは残ったまま、青年と巨像の戦いを、地上からただじっと見つめていた]
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