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[先手はメイド姿。
何かを叫んだかと思うと手元が一閃、構えた鎚に何かが絡みつく。]
うわっ!?
[思わず声を上げて振り払おうとするが、鞭がぴんと張って初速を与えられずに固まる。
強く握りしめて武器を取られまいと構える。
――そして十数秒、二人して固まった。]
えーと……これ、凄く重いんだよね。
[慰めるように呟くと、今にも千切れそうな鞭と同様に、女の顔も怒りにぶるぶると震えた。
何かを絶叫して鞭が思い切り引かれ、とうとう鎚ごと宙へと飛ばされた。]
うわ! わわわッ!
[鞭を振り回してすメイド姿。
振り回される自身と勝ちを確信したであろうメイド姿の間から不吉な音が響く。
釣り下げた質量の大きさと回転速度。それが鞭を真ん中から真っ二つにした。]
[囁きへの返答>>190に、微か顎を引いて了解の返事とする]
[吸血鬼――ナバール、だろうか――とアレクトーの間で銀色の軌跡が走った。舞う狼の双剣。
極接近戦の様相、狭いここでシェリーを護りながらの共闘はやはり難しい。
じり、と位置を変え、吸血鬼の背後に回り込む隙を探す]
致命傷は必要ない。
狙うなら的の大きい胴を――くれぐれも、アレクトーに当たらないよう
[あらためて確認するように、囁きで伝えた]
[刹那、彼が見せた視線に心が揺れる。
それは、彼女の繰り出す剣の太刀筋にも影響を与えただろう。
かわされた刃が、彼の頬を掠めた。
こんな時に、激を飛ばしてくれる声は、もう無い。]
とばっちり?
ほぅ、狩人が来ているのか。
[ナバールが振り向いた先を見やる。
気配は察知できなかったが、仕草からだいたいわかった。
彼の勧めでは今のうちに逃げろということだが]
……私が知る脚本では、たいていそういう台詞を当てられた役は死ぬことになっている。
仮にも同族なのだろう? 厳しい状況になるなら手を貸そう。
得物はなくしてしまったが、美しく舞い、戦うことはできる。
何を持って戦っても、持たずも美しさには変わりない。
[でもいったんは引き下がった。
この脚本では自分は最初から舞台に登場している必要でも場面でもない――と判断したからだ]
[ジェフのささやきにこくりと頷く。…とはいえ、激しい鍔迫り合いをしている両者。狙いを定めるのは簡単ではなかった。敵に気づかれないよう、物陰に隠れ発射のすきを窺う]
[静かな黒い瞳に滴り落ちようとする血を額の布が受け止める。
己の血であるのか、女の血であるのか。
それすらも分からない。
戦いの最中混じりあった呼吸と血と、交差した力と――心。
>>175倒れこむその女を受け止めて。その場に膝を折る。
その腕に抱え込むようにして、目の前の、エメラルドの瞳に>>174語りかけた]
[ナバールは、接近格闘を得意とする様に見えた。
間合いに入られてはいけない。
バックステップで一旦距離を外すと、ゆらりと剣を持つ両の手を下げ、ゆらりと揺らした。
首は、傾いでいる。
ふらりと一度身体を揺らすと、一気にナバールとの距離を詰める。
その時々によって、合わないピント。
クラウスは、彼女にその欠点を生かせと言った。
大きく踏み、右手で切り上げる。
動きの読めない太刀筋は、型を習う剣士のそれとは大きく違い、彼を惑わせる事になっただろうか。]
[封印できない、との宣言に忠興は舌打ちすることもなく、その刃は内側に輝きを宿す。
立ち向かうアシュレイは朱をまといながらも可憐で──
互いの身体を交錯させるような一撃の後、
その赤い髪が風を孕んで ふわり 流れたかと思うと、軽い身体が倒れ込むのを見る。
忠興の腰の鞘が床に当たる固い音が 響いた。]
行くよ、マム!
[空中で姿勢を整え、両足と鉄鎚を地に叩きつけるように着地。
威力を相殺する事ができずにぐらりと姿勢が歪む。
何かを大声で叫びながら突っ込んでくるメイド姿目掛けて鉄鎚を振るう。]
ていやッ!
[鉄球は空を切る。ひらりと躱すメイド姿。
何度も鉄球を振るうも簡単に躱され、まるで踊るようなメイド姿。
一度躱す毎に得意げな罵倒の言葉を浴びせてくる。
誘導されている事も知らず、鎚を振り回しながらその後を追う。]
――うわ、なんだこれ!!
[メイド姿へと振り下ろした鉄鎚はまたもや避けられ、今度はそれだけでは済まなかった。
鎚を中心に黒い何かが湧き、それを飲み込もうとする。
慌てて引きぬこうとしたが、鎚と左足は完全に絡め取られ、身動きが取れなくなった。]
……く、そ。
[勝ち誇ったように近付くメイド姿。
その右拳が閃いて頬を捉え、乾いた音を立てた。
一瞬足がぐらつき、その好きに首を頭を押さえつけられ、首筋を曝け出す格好を取らされる。
寸での所で鉄鎚から手を放しメイドの首に手を差し込み抵抗するが、腹への膝蹴り一発で手元が緩んだ。]
――ぐ。
[今度こそ、と勢い良く口を開けて牙を見せつけ、自身の首筋に突っ込ませようとするメイド姿。
とっさに手を出した。右手の人差し指と中指が、血に飢えた獣の両の瞳へと吸い込まれるように突き立った。
ぐずりと柔らかく弾力のあるものに沈む感触、絶叫を上げて飛びすさる姿、緩む黒い束縛。]
[>>178答えは出ていたという女に、頭を振る。]
答えなど……ない。
死ぬことで見つかる「答え」など……
アシュレイ、俺を買い被りすぎだ。
[滲むのは、救えなかった後悔。
生きることにも答えがあると――まだ見つけたわけではないが。
探したいと、探させたいと思ったというのに。
彼には、殺す力しかない]
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