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もう夜間公演しかできなくなるのか……これから大変だな。
この城に地下劇場を作れば解決するか。
そのためにこの地に街ができないといけないな、私がここでしか公演を打たないと発表すれば人は集まってくるか。
……時間だけはあるしな。
[今日の糧よりも、数十年後がまず思い描くのは、吸血鬼として適応はできているのかもしれない。
立ち上がるといろいろ計画を練りながら歩き出した]
[遠目に見たアシュレイと忠興の戦いは、まさに命を賭けた攻防。
その極限まで研ぎ澄まされた美しさは胸が苦しいほどだった。
アルベルトの及びつかぬ高みで舞う魔と狩人。
だが、アルベルトに気づいた忠興の太刀筋は、それまでとは様相を変える。
殺すための剣から、護り、救うための剣へと──
急所を外して行われる攻撃は、忠興の負担となっている。
だから。
二人掛かりかと挑発するアシュレイの声にも感情を乱されることなく、アルベルトは封印の儀式にかかる。]
[風を断つ刃にも似た声で、忠興がアルベルトの名を呼ぶ。
その斬撃によって散るアシュレイの血が、封印の技を発動させる。
忠興と二人。
二人でなければ不可能なこと。]
[そのまま、始祖は憧れの存在とともに消えてしまった…]
フル様…
[あまりにも強大な力。フル様なら大丈夫。そう思うしかなかった]
どうしよう…このままでは、勝てない…
[力の差を思い知り、途方にくれる…]
…そういえば、吸血鬼になるとかどうとかって。
[ふと、始祖の言葉を思い出す。]
[自ら傷つけたアルベルトの腕から滴る血が ゆるり と捩じれてアシュレイへと伸びる。
ほどなく、吸血鬼とアルベルトの間に、血の橋がかかった。
アルベルトは聖印を戴く杖で石床を打つ。]
父と子と魂の絆によって請う。
人の肉体に巣食いし古の闇よ。
とく我がもとへ来たれ。
より深く、より濃く、唯一になるまで この器に宿れかし。
[結ばれた血の澪を通じて、相手の身体から魔の毒素だけを抜き取ってゆく。
水が高きから低きに流れるように、その力に逆らうことは不可能。]
[が、呼び込んだ力は、通常のものではなかった。
混じり合う、ふたつの存在。
アシュレイは、その身のうちに吸血鬼の心臓を、もうひとつ呑んでいるとわかった。
それが、さらなる力を得るためにしたことなのかはわからなかったけれど──]
タダォキ …!
[アルベルトの唇から、急を知らせる悲痛な声が漏れる。]
[アシュレイに封印を施せば、人に戻った身体を、体内に残った吸血鬼の紅柘榴が灼き尽くすだろう。
生まれる前から順応しているならともかく、普通の人間の身体が裡に紅柘榴を宿すことに耐えられるはずもないのだから。
結論。
アルベルトの力でアシュレイの肉体を無事に取り戻すことはできない。]
彼女に封印は ── できません …!
[自らの傷を押さえて血の道を断ち、叫ぶ。
ノスフェラトゥの名を呼び、アシュレイが力を漲らせるのと同時。]
「吸血されたのであろう?二人共に」
…っ!!
[そのとき、首筋に寒気が走る。思わず首筋に触れると…指に血が付着する]
まさか、あの小娘…!?
[このとき、初めて「吸血鬼に吸血された」と認識する]
う、うあああああぁああああぁぁあっぁぁぁぁっぁっ!!
[全身が激しい痙攣を起こす]
ナバールは、アシュレイ を投票先に選びました。
[例の件以降憎悪の対象だった吸血鬼。しかし、その憎むべき、穢れた存在になろうとしている。そう思うと正気でなどいられなかった。]
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
[ただただ叫ぶ。震える手で鞄の中の酒を取り出し、酒瓶に直接口をつけて飲む。酒が体に零れ落ちるが、気にせずに飲む。中型の角瓶に入っている酒が空になった。]
ふーっ…ふーっ…
[震えが止まる。]
あれは…?
[足元にあるのは、鎌のような曲線を描く刀剣]
フル様の…
[あの美しい男が愛用していた剣である。男に想いを巡られる。あいつは「二人とも」と言っていた。]
フル様が危ない…!
[きっとあのお方も血を吸われている。そして、始祖に攫われてしまった。]
フィルだけでなく…フル様までも…奪うの………?
[最愛の存在に、憧れの人。吸血鬼は何もかも奪っていくのであろうか?瞳の奥がちりちりする]
そんなこと…させるもんですかっ!
[前を向く。今は自分が堕ちてしまったことよりも、大切な存在を救う。]
フィル…フル様…どうか私を守ってください。
[男が持っていた刀剣を腰に携え、右手にクロスボウを持つ。フィリップとフル様。大切な二人を近くに感じていれば、怒りで我を忘れることもなかった。]
助けを…
[今のままでは勝てない。誰かの助力が必要不可欠だ。]
ジェフ…
[ふと場内で最初に遭遇した旧友を思い出す。頼りにするのはこの人しかいない。そう考え、男を捜すためにこの場を後にした]
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