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はァん?
まァ、手前ェ様のご希望なんざオレッチ様にとっちゃァ全然まったくこれっぽっちも知ったこっちゃァねぇんだが。
作りてェモンがあンならぜひとも作れ。
ヒヒヒッ。
出来がいいほどぶち壊し甲斐もあるってモンだからなァ。
お前ェがなんか作ってる間くらいはブチ壊すの待ってやってもいいぞ?
[ごりごりと顎をさする。その表情は、目の前の青年が作り上げた精緻なAIを破壊する瞬間を思い描いているのか、期待にニヤニヤと歪んでいた]
ハッ!
簡ッ単に勝負決めたって詰まんねェだけなんだよこのド馬鹿様め。
強ェやつがカッコヨク向かってきたのを、真ッ正面からブチ潰すのが最高に楽しいんだろーが。
なんもできねェドカスごときブチ壊すだけならわざわざ手前ェに“使い方”教えたりなンざしねェっつぅンだよ。
分かったらオラ。さっさとあがいて見せろ。
ヒャハッ
オレッチ様がソイツごとブッ壊してやっからよォッ!
ひひッ ヒャハはハハハッ!!
[男が笑う。その頭上に、黒のグリッドが降り注ぐ。男が煽るまでもなく、黒衣の青年の攻撃は再開していた。
男は、ただ右手を上に掲げ、それを迎え入れた。走るノイズ]
(ザッ!ザザザッ!!)
そォーだよ、できンじゃねェか!
ヒャハァッ
楽しい!楽しいなァオイ!?
(ヂヂヂヂヂヂッッッ!!)
[次々と襲い掛かる黒のキューブを一つ一つ破壊し、分解し、ノイズへと変えていく。そのざらざらとした音だけが、しばしの間、響いていた]
あァン?
[その音が、不意に止まる。男は何かに―――傍らのひび割れから聞こえた音に気を取られたように、動きを止めていた。とたん、殺到する無数のキューブ。
男は、その存在する空間を埋め尽くされ、キューブの中に消えた]
ひひッ
なンだァ。向こうはいよいよ面白ェことンなってるじゃねェか。
[そんな声が、キューブの外から響く。そちらに目を向ければ、たった今潰されたはずの男が、なにごともなかったように自らの作ったひび割れを覗き込んでいる。ヒビから聞こえる、一つの世界が壊れようとする音。
それに耳を傾けていた男が、おもむろにそこへ手を伸ばした]
ひひッ!ヒャハハッ!クソッ!ああ、クソッタレめ!!
なァんでオレッチ様ァあそこにいねェんだろうなァ
(バヂィッ!!)
[たった今まで対峙していた青年の存在さえ忘れ去ったようにヒビを覗き込みながら、その腕に、体に、ノイズが走る]
アイツも!
[いつか塔の中で見た、妖精を引き連れた女を見る]
アイツも、アイツも!!
[気まぐれで自らが起動させたAIと、それに寄り添う、仇敵だった塊の…今は男の姿をなしたAIを見る]
どいつもこいつも、オレッチ様がブチ壊すはずだったのになァ!!
[果たして、本当にあの場に残っていたとして、それが叶ったかどうか。
そんなことは構わずに、男はヒビへとノイズを叩きつける。あちらとこちらを隔てる境界を破壊しようとするように。男自身の体が破壊され、ノイズとなって溶けることさえ構いもせずに]
なァ、オイ。
なんでオレはそこにいなかったんだろうなァ。
えぇ。オイ。こら。聞いてンのか?オイ。
シャーロットッ!!!
[そうして、男は。この塔の中で、ただ一人、たったひとつのAIを、“個”を示す名前で叫んだ**]
母、か……参ったなこれは。
私がECLATANTに向ける感情は、姉が妹に向けるそれに近いと思うのだがな。
/*
もしくはどこかのおねーさんが近所の子供に向けるそれ。
[ 青い光の奔流が、かつて2Fだった場所を駆ける翔ける。
全ては青白く染まる。
閉鎖領域ごと壊れてしまえば、出る事は出来ない。電脳世界だけでなく、もし現実世界で物理的に切り離されているなら、尚更だった。
mori。
’Dione-System’へ向かうプログラム。]
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