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― 10/9 放課後 ―
[突き出した手>>279を押し返された時は、顔をゆがめていたのだろう。
胸元に倒れこむよう恵奈乃をきたとき、手の中から櫛を落として、抱き止めていたからその表情は伺えなかっただろう。
震える肩>>281を撫でることはできたのは、ほぼ無意識であって。]
そうか……そうだな。
[落ち着かせるようにして、ぎゅっと抱きしめながら、少し諦めたような声が零れる。]
悪くない。受け取らなくてもよかったんだけどさ。
[おどけるように微笑む恵奈乃>>282を見つめて、そのわざとらしそうな表情を取らせているのが自分であることも理解する]
ただ、ひでぇな。って思うよ
[突き返されたこととは違う。保留されたことでもなく]
意地とか張らせてほしかったし、かっこつけさせて欲しかったんだけどな。
[自己の内において、張れない意地とか、貫き通せないプライドに意味を見出せないのだが―――恵奈乃は気づいたのだろうか聞きたい気持ちもあった。
いつものように、どこか強引に渡すようなことをせず、選択を委ねたことを。
キャンプファイアー>>0:2745の時の、おみくじの時>>1:366いったように、言葉で何度も伝えるということをしなかったことを。
チョーカーと同様に、櫛を贈るのは、一生生きていこう。という意味の反面、嫌になったら投げ返してしまう。という様式も含んでいることを―――多分考えていないのだろうな。考えずに、言ったのだろうな。と思えば胸が辛かった]
[真っ直ぐで、惹かれた想いと、陰る表情は痛々しさしかなかったし。でも無理に笑うな。とも言えなかった。]
意地なんて張る必要、なかったのかもな。
[好き。とは口にしたが、その次の言葉は口にしなかった。
真っ直ぐな彼女に惹かれた自分―――惹かれていたのは、外に安住を作った自分と、内に安住があった恵奈乃の差なのだろう。
恵奈乃が愛しくもあったが、返したくて返せなくて、結局言葉を選べなかった。選べずに恵奈乃を悲しませた自分がいた。]
……恵奈乃。
[潜めたわけでもなく、弱ったような困ったような声音で名前を呼ぶ]
/*
専攻は日本文学とか、日本の文化を学ぶこと。
色々考えた結果、これになりそう。
大学で興味あることを勉強しつつ、裏でバスケのこと、運動選手の身体や健康、食事について勉強する。
……かな。
わからない、わからねーけど……
[結局隅々まで壊すのは、熱烈な愛でもなく、愛しい人の悲しませてしまってる事柄だったのだろう。気づけたのは今だけど]
でも、今なら不誠実じゃねーと思うから、言うな。
次、いうの、いつになるかわからねーから。そうそうかっこ悪くなりたくねーし。さ。
[ぎゅっと抱き寄せた。]
ずっと離したくない。全部愛してる。いつまでも傍にいろ。
[ギリギリすらなくして、言葉を弄することも忘れて、ただ端的に告げた*]
――卒業式の帰り道――
[三年通った学校からの、帰り道。
もうずいぶんと通いなれた、神社までの道。
手を繋いで、その道を歩く。
こんな穏やかな時間が、ずっと続けばいいけれど。
桜が咲けば、しばらくはそんな時間ともお別れ。]
あー、キャンプ憂鬱だ。
北海道だってよ……
[溜息。
行くのはいいけれど、手が冷えてボールがまともに扱える気がしない。]
[三年のインターハイが終わってから、いくつかの進路の誘いが来た。
奨学金を出してくれるという大学も、いくつかあった。
大学タイトルを取っている強豪校からも、ありがたいことに誘われた。
―――全部断った。]
離れたくないからこっちの道にしたのにいきなりだもんな。
……ごめんな?
[どれもこれも、美琴と一緒に暮らせない場所だったから。
バスケは大事だ。俺が一生追い続ける道だ。
けれど、その道には、隣で手を繋いでくれる人が、必要なんだよ。]
やっぱプロって厳しいなあ。わかってたけどよ。
[変わりに選んだのは、社会に出る道。]
[最初から、選択肢にはあった。
覚悟が、決まりさえすれば。自分が、何があっても投げ出さないって決められれば。
プロリーグのトライアウト。
高卒でプロになる奴は大勢いる。そして大勢が諦めていく。
そいつを、乗り越えることができるのか。
―――できるさ。となりのひとさえいれば。]
[分かれ道に差し掛かる。最初に一緒に歩いたときは、ここで別れた、そんな場所。
さて、今日は。]
美琴、ちょっと寄ってっていいか?
もうちょっと一緒にいたいわ。
[覗き込んで、きっと同じ道を歩けると*]
[ 余一が着くころ、自宅の門前で一葉は待っていた ]
やっぱ、ダメだったわ。
[ そう言って笑った。比較的明るい顔つき ]
補欠もあるとは聞いてるから、それ待ちかな。
入るか?
[ そう言って、家の中に導いた* ]
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