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[外からぱちぱち景気のいい音と甘い香りがするので覗いてみると、リリーが焚き火をしているのがすぐに見えた。]
だいたいのものは焼けば食べられますから、ねー。
サバイバルの基本、ですー。
[まあ焼かなくても食べられそうなものばかりのようだけれど。
とはいえ、これだけの量で足りるのだろうか。]
[胸元に隠してあった小型端末を起動させれば、装着したコンタクトレンズごしに、あちらの世界を覗き見ることはできる。]
サファイア様……。
[去り際の、幸運を返すという言葉。
レディは胸騒ぎを覚える――見捨てられてしまったかのような。]
[帰って来たときは、機動兵コックピットの中だった。
だが、服装は、ピンク色のままだ。]
――……意外に機能性が高いが、
改良の必要はあるな。
[そんなことをつぶやきながら、
ヘレスの艦に着岸している我が機体から、宇宙を見る。]
[少々探索して、ここが帝国軍の基地でないことは理解した。
人気のないことを幸いに、空き部屋と思わしき場所に隠れながら、小型端末を操作する。]
グノ様、グノ様……?
グノ様もお帰りになっているんですよね……?
[思いきって、端末に向かって氷の女王の名を呼んでみる。
というか、連絡可能なポイントが彼女しかないのだ。
ミスティが、行方不明者同士のホットラインを強化してくれているのか何なのか、原因は定かではないが――]
[こんな場所、こんな事態においてもアイドルとしてのレディの体裁を保つ必要は……いや、余裕はない。
少なくとも、今は混乱の方が大きく、グノの知るレディの体面を守れないでいる。]
グノ様はどちらにいらっしゃいますか?
レディは、……どうやら、解放軍の基地のどこかに漂着してしまったようです。
これから脱出を試みます。
[上官は遠い遠いド田舎惑星、頼れるものは近くにいない。
ひとまず報告だけでも、と、この通信が彼女に聞こえることを願った。**]
またかよ…この眩暈には……まいる。
[>>3:194から帰還した場所は見覚えのある研究所。
出撃要請の無い時の俺の指定席。
肘掛付きの椅子からずり落ちそうなほど身を沈めた格好で、
目の前のモニター>>3:*0、>>3:*1の「ミスティ」の情報を食い入るように見つめた。
要人の転移については各軍上層部も把握しているらしい。
帝国に作られた最先端のAIが、解放軍要人を牛耳れる状況下にあって、両軍の為にだろうか…?「停戦」を示したらしい。
…今はミスティの示す守秘義務とやらに従うしかない。]
わかったっす。
遠い所から侵入お疲れさんっ
[労いの言葉をかけるも、ミスティが解放軍で一番強固な情報セキュリティをくぐり抜けて現れたのにはぞっとしない。
「ミスティ」の創造主は間違いなく天才だった。]
[「見学に来るかい」なんて言ってたサファイアの言葉>>2:134を思い出す。
その場合、帰りの船は本当に用意されるのだろう。
どんな事を考えて「ミスティ」を作ったか、
一度会って話を聞いてみたいな。
既に俺の中でのあの大規模転移プログラムの名前は「ミスティ」になっている。苦笑。
……
様々な事に思考の整理を付けてから、椅子から立ち上がる。
今はとにかく未開の地で撮り損ねたカフェインが欲しいっ]**
― 航宙巡洋艦フライハイト艦 ―
[そして、黒い機体から、ピンクの服装の人物が降り立つ。
やや驚かれた目で見られたが、もう、慣れた様子。
帰還に際し、敬礼には敬礼を。
そして、艦長とジキルの居場所を尋ねるが、両名とも行方不明と連絡を受けた。]
――……そうか。でも、心配ない。
[そして、メディカルチェックの申請を出した。]
[携帯の端末、自衛のための装備を部下が投げてくる。
それを受け取って身に付けながら、艦内部へ。]
――……どこにいっていたか?
知らん。
だから、メディカルチェックを受けるのだ。
[そう問いかけにはきっぱりとボカしをいれ、つかつかと。]
[ライフの隣で、揺れる煙に目を落として語る]
解放軍にいることは、謝るつもりはないのよ。
[戦場で、幾多の帝国機を撃墜したことも]
ただ、あなたに何も言えないまま、国を出てしまったこと。
もしかして、気にしてるんじゃないかって。
……簡単に言うと、初動を誤ったのよ。
帝国のやり方がおかしいって思ったときにね、私、最初に父に話してしまったの。
[ミスティからの通信は人目のないところで、
内容を確認し、その辺境惑星の様子を眺めた。]
――……ジキルも帰っているのか。
ふむ。
[現状はこちらでも休戦だという。
それをたかが一兵が騒ぎ立てるのは愚策だということはわかる。
だから、ただ、おとなしく、事態を見守っている。*]
[兄のように慕っていた従兄には、少女の他愛ない悩みなら、それまでいくつも聞いてもらっていたけれど]
あなたはその頃学生で、近くにもいなかったし。
陛下に働きかけて国を変えるには、父の力を借りる方がいいと思ったから。
でも、父には顔色を変えて怒鳴られたわ。馬鹿なことを言うなって。
そりゃあ、ドレスや旅行のおねだりみたいに、ニコニコ叶えて貰えると思ってたわけじゃないけど。
見たこともない顔だった。
それからすぐに、いつもの優しい父になったけど、家庭教師が総入れ替えになってたわ。
以前は警護さえつければ割と自由に許してもらえた外出も、厳しく制限されるようになった。
あなたへの連絡手段なんて、真っ先に取り上げられたの。
父の目を盗んで、協力してくれる人を探したけど、駄目だった。
自分なりに人脈は持ってるつもりだったのに、結局は父の掌の上だったのね。
……今考えれば、もう少しは上手く立ち回れた気がするんだけど、あの頃はどうしようもなかった。
国を出ることに決めたとき、無事に抜け出せたのは、本当に運が良かったとしか言えないわ。
……ライリーに教わった技術が役立ったこともあるって言ったら、嫌がられるかしら。
あなたに会っておきたかったけど、方法がなかったし、
あなたに余計な疑いがかかることになるよりは、知らないうちにいなくなる方がいいと思ったの。
……今さら、だけど。
心配かけて、ごめんなさい。
[言い終えて、もう一度ライフの顔を見上げた*]
……あ、そうだー。
[いいことを思いついた、とばかりに手をうって。]
ちょっと裏山まで食べ物とりにいってきます、ねー。
[と言って、一度部屋に戻って軽く準備を整えた後、アパートから少し離れた裏山へ一人で向かった。]*
/*
>>3:*1
でね、これは個人的な提案なんだけど。
空間がまだほら、アレになってるから、実はこっそりあのアパートの様子がわかるのよ。
こっちからは何もできないんだけどね。
アパートにいたあなたたちだけね、見られるの。
でね、ほら、やっぱり非常事態って言っても、敵同士が、それに偉い人もいるのに、変に仲良くしたりふざけてたりしたら、怒っちゃう人もいるでしょ?
それでややこしくなってもアレだし、みんな帰ってきて口裏合わせられるようになるまで、向こうのことは内緒にしといた方がいいと思うの。
ああ、みんなとりあえず元気だったわよっていうのは、両方の軍の人たちにも報せてあるわよ。
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