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ニイナ……あんた、これからなのに。
早くお兄ちゃん子、卒業してイイ男見付けなよ。
[頭の傷以外は綺麗なその顔の血を落とすと、
自分の真珠の耳飾りを彼女に付けて、口紅を塗ってやる。]
ほら、あたしほどじゃないけど綺麗になった。
それあげるよ。
あたしはもう酒場の女将じゃ無い。
結社員……占い師だよ。
[物言わぬニイナに過去との決別を告げると、
もう一度その髪を撫でた。]
アップルパイ……食べて欲しかったね。
あんたと一緒に作りたかったよ。
[そう未練だけを告げた後は、振り返らずに自室へ。]
− 夢の中 −
[肩の傷の痛みで夢はおろか、
眠りに就く事も出来ないのではと思っていたが、
ベッドに横になると泥に沈む様に意識は無くなった。]
ねぇ、あんた。
あたしの子供、知らないかい?
[連続で視る夢。
今回は何故か夢の中だと気付いていた。
そして自分が声を掛けている相手が誰かも。]
ねぇ、あたしの子供知らないかい?
……ランス。
[湖の水は赤黒く染まっている。
判っている。
あの子が「おにいちゃん」と呼べるのは。」
ランス……あんたは最初からランスだったのかい?
それとも、牧師様から、
いやそれ以前から変わってたのかい?
[差し出された赤ん坊は
血に染まった牙をこちらに向けていた。]
……ランス……。
[肩の痛みで飛び起きる事は出来なかった。
いや、驚いて起きる必要はなかった。
答えは多分判っていた気がしたから。]
本当に……終わりにしないと、ね。
[ランスはまだランスだろうか。
今日も犠牲者がいるとすれば。
どちらかが化け物だ。]
あたしは、あたしは……。
[普通に生きたかった。
マイダに漏らした望みをもう一度声にする。
声にする事で、それが叶わぬ事だと認識した。]
あたしは……生きる。
[ここに閉じ籠っていても、通り過ぎてはくれない。
案の定熱を持ち、身体を苛み出した肩を押さえ、
ふらつきながらも閉じ籠る事を止めた。]
朝食、作らないとね。
[もうニイナはいない。
窓の外ではこの騒動を見守る様に嵐が風と雨の腕で
建物を包み続けていた。
まだこの中にいるだろう狼と、人の為に、
食事を作ろうと重い足取りで食堂へと向かった**]
嫌なんかじゃ……。
……。
結局、あの男の言う通りですね。
俺は自分の事ばっかりで。
貴女をこうして引きずり込もうとしている。
俺は。
貴女に共にと願われるほどの男じゃない。
/*
ウッ……胃が痛くなってきた……
最終日ってほんとこう、綺麗に締められるかとかプレッシャーが_(:3 」∠)_
おまけにこんな少人数での最終日ってはじめてで_(:3 」∠)_
シリアス系の村で生存したときは大抵6〜7人おったから……
/*
そういえば今回は結社の扱いどうなんでしょうね
憑狼の存在を知ってしまった口封じに殺しにきたりはしないんでしょうか
するにしてもその情報を知ってないから動けないっていう。。。
― 資料室 ―
[早朝――『マイダ』の姿は資料室にあった。
以前にも何度かこの部屋を訪れているらしい。
ヤーニカは深手を負っていたようだが、彼女や、その介抱をしていたクリスタはもう起きているのだろうか]
[昨日、血を流しながらもヤーニカが戻ってきたとき。>>24
ニイナの死体にシーツを、と頼まれると、驚いたふりをしつつさすがに目を逸らした。
罪悪感があったわけではない。
ただ、食堂にいた自分が既に事の顛末を知っているということが、表情に出るのを怖れた。
その後礼拝室で遺体にニイナの部屋からとってきたシーツを掛けながら、もっと悔しさと悲しみを装うべきだったか、と今更になって思った。
とはいえ、全く後悔がなかったわけではないので、まああえて言い訳しなくとも構わないか、と思い直した。
彼女は察しているのだろうか。
そうだとすれば、新たな姿に成り代わったのは正解だったか。
いや、むしろそのままでいるべきだったか]
[そんなことを考えながら、年代別に並べられた資料の背をなぞっていた指先が、12年前で止まる。
娘の手にはややあまるかというその分厚い本を棚から引っ張り出し、机の上に広げた。
経年劣化しつつある紙を破らぬよう、慎重に頁をめくっていく。
人狼の目撃証言。
結社による封鎖と、その後の顛末。
生存者と犠牲者の数。
結社の名を背負い渦中へ向かった者と、戻ってきた者の数。
収められているのは、結社によるあらゆる活動の記録。
全体の中ほどまできたところで、はたと手が止まる。
開かれているのは、当時行われたある抑止措置の顛末の記録]
種別:駆除
経緯:
××地域より狼による襲撃被害が報告される。夜間に2名の犠牲者が出たとのこと(いずれも男/子供)。
30km圏内で過去10年に人狼騒動2件(通番号…および…)
対応:
検死を行うも、人狼によるものと確定は出来ず。
付近を捜索、山中に狼の巣穴を発見。念のため、地域住民の協力のもと巣穴に火を放つ。
6ヵ月経緯観察、異変は無し。
結果:完了
S. J.
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