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[セルマは、男を手伝っただろうか。
例え司祭とギュルスタンについて訊かれたとしても、男は何も答えられなかっただろう。
何も、知らないのだから。
埋葬の作業に、傘を差す余裕はない。
セルマは男に傘を差し掛けただろうか、それとも、共に灰を被りながら作業を進めただろうか。
積もった灰を払うことも、あったかもしれない。
何れにしても――]
帰りますね。
[埋葬を終えて暫し、メモに何かを書き付けていたかと思うと、男はのそりと顔を上げて、呟いた]
春に花の……?
よしきた、ちょいと考えてみよう。
[煙草中毒の語りかけに首を傾け、腕を組んで]
うーん、日の光と地中の養分が充実するから、とかだろうか。
いや、そういうことではないか。
…………。
……………………。
……こーさん。教えてくれるかい?
[両手を軽く挙げ、眉をハの時にさげてカインに話を促す。]
[エステルの───マイダの体温を感じながら。
ふ、と。
脳裏に浮かぶ、世界。
この世界は、もう終わる。
それを何故か、今はとても素直に受け止められる。]
───マイダ。
[何度、その髪を撫でたろう。]
……花が、咲きたいからだよ。
[真面目に考えたパースに、シンプルな答えを返す。]
咲きたいから、咲くために踏ん張るのさ。
ほんとはずっと咲いていたいけど、そんな力が無いから、咲くことの出来る一番リスクの無い瞬間に向かって、備えて。
投票を委任します。
人造妖精 エステルは、灰色翼人 ランス に投票を委任しました。
[紅い羽は、降り積もる灰の中にあって、なお鮮やかに。
明らかに、異なる姿。
なのに意識は、まだ己のまま。
それが意味するところは、まだ分からないけれど。]
マイダ。
教会に用があるんだろう?
……行こう。
[もう一度、額に緩く口付けて。
指先で涙を拭ってやってから。
肩を抱き寄せ、教会の中へ促すように歩き出す。]
歌い手 ナデージュは、がらくた屋さん スー を投票先に選びました。
さーね、俺も知りたい。
[降参したパースの頭を帽子越しに撫で、答えを用意しなかった男はへらりと笑う。
もしさっき、服を脱いでいたときに。
カインの気付かぬままこちらに手紙狂いの視線が向いていたとしても、何も言われなければ、何も変わらない。]
ただ……
星が、咲かせてくれるから、かもな。
[曖昧な言葉を落とし、パースから離れる。
軽く腰と背中を捻って、薬の効きと具合を確かめた。]
/*
智狼様、何というお戯れを。いえ、星=この世界=神なら合ってます、が。
>>*8は違うのです。プチメテオとかPCとしてバトルしに行きますよというお話掛けで…。
『───マイダ。』
[その名前で呼ばれると違和感はあった。
けれども、もどかしさも感じて。
撫でられる度に涙はかなしさではなくあたたかさで零れて。]
あなたに、会いたかったの。
[教会が目的ではないのは伝えたけれど。
再び額に口付けられれば、 あっ… と小さく吐息を零した。
涙の痕はあったけれど、目元はもう濡れてはいない。
肩を抱き寄せられあたたかさに包まれながら歩む。]
[死体の保存について、知識はないでもなかった。
だが、この環境でどれだけそれが意味を持つだろう。
灰を避けるために頭にタオルをかけて、男を手伝う。
虚しさの前には、灰も土も、違いなどなくて。]
[返ってきた答えに、憮然とした表情を作り]
…………。
おい、君、それって。
[頭を撫でた相手を避難するように、そこで振り返り、へらりと笑う鹿をにらむ。
が、次の言葉には目を丸くし]
星……?
それって、どういう……?
[言葉の意図を追いたくて、体の調子を確認している彼を目で追った。]
[春に花が咲くのは神が居るから。
見護り見詰め世界を維持するから。
星は見守っていても出来るのはそうなるよう祈ることくらい。]
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