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…………っ。
[胸に押し寄せたのは『寂しさ』と、少しの『悔しさ』だった。
もう彼女には会えないこと。
そして――与えられるばかりで、
もう彼女に返す機会は喪われてしまったのだということ。
それが寂しくて、…悔しい。
繋いだ手をきゅっと引かれた。
星の少女がとなりで無邪気に楽しそうにしている。
ミズキは胸のさみしさを振りきって、
彼女に向けて微笑み、頷いた。]
……だから、俺は男だって。
[俺は、身体を起こすと
仮面をかぶる前に、ハルに笑って
頭を一つ撫でて。
そうして、仮面をかぶる。
花冠……いや、ブロア当主として
最初の仕事]
[そこから掬い上げて。
暖かい場所へ、眠らせて上げる事を。
ねえ、かみさま。
もし存在しているのなら。
無慈悲な貴方だって待っていてくれるでしょう?]
[家族というのは、時に身勝手である。
延命治療の拒否をする本人に
延命治療を施すが如く。
”どんな姿でも生きてほしい”
美談でもあるが
……当人を苦しめる枷ともなる。]
[深く、息を吸う。
そうしておおきく天を仰いだ。
ここは夜の領域と、太陽の領域の中間。
真っ白な空――いまふたり、夜明けの中にいる]
綺麗。
………すごくすごく、 きれい。
[青葉の瞳の目元に雫が滲む。
星売りの少女は笑っていただろうか……それとも。
その背後から上る太陽が、
逆光となって、彼女の表情を隠して――――]
[けれど、除名により
リヴリア=ブロアは死ぬ。
残るのは、私には名も知らぬ女だ。
生も死も、好きにすればいい。
noblesse obligeとして
治療費の施しが必要ならば好きにすればいい]
[天に散りゆく涙がひとしずく、地へと落ちて雨となる。
やがて夜明けが終わり朝が来るまで
暁の明星がその姿を隠す時まで
美月はきっと、笑っていたに違いない*]
[2人を包むように広がる翼を丸めて。
少しの温もりを分け合いながら、少女を促す。
この風の止まる場所へ。
まだこの世界に留まる者がいるであろう場所へ。
まだ。
花畑の形を保つその場所まで]
→ おはなばたけ ―
道化師 ダハールが「時間を進める」を選択しました。
道化師 ダハールが「時間を進める」を取り消しました。
だあって、ダハールちゃん、花冠かぶるんだもん。
[くすくすと楽しげに少女は笑う。だけど、と穏やかにダハールを見つめた]
だけど、なにかを決意したみたいにみえるダハールちゃんは、ちょっと男の子に見えるよう。
[何を決意したのか、少女にはわからないけれど]
[冷たくなった翼に何処から落ちてきたのか、
ぱたりと温かい雨雫が一つ降り注いだ。
月の光を閉じ込めたそれは凍った翼に染み透る]
――……ハル、ダハール。
[道化師だった少女を支えながら。
貴方達はどうするのか。
そう問うように、渡り鳥は2人に視線を投げ掛ける]
[娘が私を見て笑う。記憶をなくし続ける娘だ。
彼女は私が守るべき領域の民ではないが
一人のか弱い少女だ。]
……ムラサキ、ツユクサ……だったか?
けれど、花のない、例えば、月桂樹の冠なら
いただこうか。
[赤いローブは、今はその形を変えて。
立ち上がれば、地に伝う裾、所謂道化師のそれとは
全く形を変えていて。]
………ありがとう、常春の。
そして、さようならだ。
君の花園がいつまでもあり続けることを
[私に祈れるのはここまでだ。
そう言って、私はもう一度頭を撫でてから
背を見せて歩く。
その視界に渡り鳥と女の姿が見える。
そう、あの女自身に
まだ除名の件を伝えていないか。
私は花冠を手に近づいた]
渡り鳥 グレイヘンは、道化師 ダハール を投票先に選びました。
もし叶うなら。
ちょっとだけ、私のために泣いて。
グレイヘンはそれで。
きっと、生きてきた中で一番幸せになれるから――*
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