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>>66 >>67 ライカ
[イイトコ・イコーの仕事は的確だった。数船の乗り換えを経て辿り着いたそのコロニーは、穏やかに時間を蓄え続けており、住人の数は少なくとも、街並みや資料の類は過去を雄弁に語った。]
[故に、当初の目的は、期待通り達成された。
塔の採光窓から差す、橙がかった光の中、黒々とした影を落としながら。]
>>73
[ひとり外へ向かったあなたを、引き留めることはできなかった。言葉をかけることで、その半透明な姿を掻き消してしまうことを恐れるように、行方だけをゆるゆると追った。]
[人の身では留まれない場所に座ったあなたを確認してからしばらく、最もその高度に近い階層の、窓の横に寄りかかっていた。ぼんやりと資料について反芻しかけて、最後の情報と、それが齎した衝撃と、彼女の表情だけが甦った。思考になるはずがなかった。]
[――この塔から、軋んだ時報が遠ざかる。]
[時間の経過をようやく思い出したかのように、再び窓から顔を出した。彼女はまだ、最後に見たままの場所で膝を抱えていて、街へ向けられた表情はよくわからないままだった。]
……ライカ。
[続ける言葉も見つけないまま呼びかける。想定よりずっと掠れた声が出た。]
>>73
[街並みは遠い。けれど、見える。人々が行き交う姿も確かに見える。
――存在しないものは、見えない。]
[ソコラですら、何人も、何世代も生まれて死んでいくのを見た。人が、いつか死ぬことも知っている。]
["あの人"が死んでいるなんて、思うこともなかった。
だって、あの人は宇宙船の窓の向こうにいた。
少し髪が薄くて、指は中指がごつごつしていて、鉛筆の匂いがした。彼はコンピュータよりも手書きの計算が好きで、計算を仕込んでくれた。計算が速ければ、訓練を終えれば、いつも撫でてくれた。
名前は、覚えていない。
"あの人"は、ド・コカーノへ行っておいでと、自分を送り出した。いつかたどり着くために、先に行っておいでと、そう送り出した。]
[いつか、きてくれると信じていた。
だから生きていると、当たり前のように信じていた。]
>>80 ライカ
[あなたの耳が小さく揺れた。あなたは振り向かなかったけれど、声は聞こえているのだ。なので、行動をあなたに委ねたまま、見守るような視線を向けていて……、]
――っ!
[だから、あなたが消えかけた一瞬、窓から身を乗り出したのだ。霊体が重力に任せて落ちて来ることはないが、そんな理性は働かなかったし、そのまま消え去ってしまうようにさえ思ったのだ。とにかく姿を追おうとした。……結果、その姿は、すぐに傍へと現れたのだが。]
[一応の安堵は得ても、それは微かなものだ。近くにあっても、あなたはこちらを見ていない。あなたが見つめるものを想像して、それが失われていることに、胸が痛んだ。喪失感が再び思考を支配し始めていて、名を呼ばれなければ、返事はひどく遅れたかもしれない。]
……あ、ああ。うん。
覚えているし……記録も、したけど。
>>83 ライカ
[相手に伝わりもしないのに、ただ頷いたのは、言葉にならなかったからに他ならない。]
["うん"という声たったひとつでも、あなたの想いを乱暴に断ち切ってしまいそうで、発声を躊躇った。情報が間違っているかも、だなんて、気休めにすらならないことは、言いたくもならなかった。だから、ただ、緩慢に頷いて、あなたの言葉を聞いていた。]
――もちろん。いくとも。
ライカがいくと決めたなら。俺にいかない理由はないよ。
……さみしいままにはさせたくないものな。
[応答する。あなたの想いを否定しないように。あなたの並べる、"推測"を、今から肯定してしまわないように。
向かう先で、未だ情報として得ただけのものが、覆らない事実として形を成すことへの不安を押し殺しながら、進むことを決める。]
>>85 リスリー
ありがとうございます。
……リスリー。
わたし、もう少し、司書の方に資料を出してもらってきます。
座標だけではなくて……"あの人"の名前や。考えていた、ことや。あの人がつけてくれた、わたしの、名前や。そういうものを、知っておきたい。
[口元に触れる。
振り返らないのは、あなたから己の言葉の肯定が返るのが怖いからだ。
不安に耐えかねてこぼした弱音、それでも道筋を残してくれるあなたに、こんな表情を見せたくなかった。]
……、
――どうして、死んでしまったのでしょう?
[それは問いの形こそしすれ、答えなどないとわかっている。それでも零れただけの呟きだ。
せめて生きていれば、夢のひとつもかなえられたかも知れないのに。]
―コレコレ・コーイウ・コロニー/お昼前―
[もしタイムマシンに乗れたら、ムービーは過去の時代に住みたいのかと、哲学者風の額を持った弟が尋ねたことがある。
ムービーはしばらく考えてから、確かにレトロ趣味はあるが、過去に戻りたいわけではないと弟に答えた。
すると弟は目を光らせて、では、ムービーが愛している過去とは、歴史における過去ではなく、個人の記憶の中にある過去なのだと主張した。
もしムービーが過去に飛ばされたとしたら、ムービーは未来趣味者になるだろうと弟は予言する。ムービーにとっての過去は、その時「未来」になるからだ。「レトロ趣味」とは本来、「追憶趣味」と呼ぶべきではないかと、弟は提案した。
なんせ、知ったかぶりが多かった弟だ。ムービーには追憶に値する甘美な思い出なんてないことを、彼は見落としていたのだろうか。人の心は簡単に見透かせるものではないと、釘を刺しておくべきだったかもしれない。
ただ、「追憶」という言葉がムービーの心を捉えた。彼女が愛する物や人は、みな美しい過去の夢を持っているようだった。逆に、反りが合わないと感じる者は、美化できない過去を抱えていることが多かった。]
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