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[きしきしと、こころが、いたむ、ような。
そんな身体の痛みに堪える。
すべてを身体的な苦痛のせいにして。
ひどい顔をしているだろう。
傘で隠れるように調整して、歩む速度を強めた。
少女の足取りが速まったならそれに気付いたようにまた元の速さに戻す。
脇道にはもう草も見当たらない。
以前ならば黄色の、小さな花が群生していたのに。
今や不毛な土地にしか映らなかった。
己を覆う、薄緑の花だけが目に入る唯一の色彩。
少女の姿もくすんで思えたのは、ただの感傷のせい。]
……すまない、本当に。
[今の羽では、誰かを抱えて飛ぶことなど出来ないと分かっていながら、それでも。
それでも、せめてもう一度だけでも。
友と空を飛びたかった。]
あぁ。
おわかれだ……。
[返す言葉は、力無い。]
[自分で決めたからには、それに従うほか思い付かなかった。
いつだってそうしてきたように。
家を飛び出して嫁いだときにもしなかった後悔。
それが、こんなときになって、
人生の、
あらゆることが、
ひとつの大きな過ちのように思われてきた。
]
ーーーーあ、?
[教会の形がはっきりと見える。
扉がーー開いている。
歩くのを瞬間、やめた。
女の顔が青ざめる。
ーーーー血の花が、咲いていた。]
……。
忘れなどしない。
こんなおれを、おまえは友達だと言ってくれる。
約束する、その言葉はけして忘れない。
こんなにも優しく、素晴らしい友がいたことは……俺の、誇りだ。
[ギュルスタンの埋葬すら手伝ってやれない。
そんな自分を、ドワイトは責めなかった。
いつだって、自分よりまず人のことを考える、そんな友だった。
淡々と、けれどはっきりと告げる。]
……分かった。
[教会へ来たのが誰かは分からないが、誰だとしても、今の自分が近付くのは、あまり好ましいことではないだろうと思う。
はらりと、また6(6)本の羽根が抜け、赤黒い羽根に生まれ変わる。
もう、誰の目にも明らかに、灰色の中に赤黒い斑ができている。]
……なん、だい。ありゃ。
血がーー
[灰で衰弱するのなら想像の範疇にあったが、このような例は把握していなかった。
最早、警鐘だったものは全身の血の流れと同じかそれ以上に強く激しく打ち鳴らされている。
背中の産毛もが残らず逆立つような、寒気がするのに冷や汗も流せないような。]
ーーーーは、ね?
[どす黒く変色しかかった血液の他に、それと似た色の羽が落ちている。
誘うように、扉が風を受けてわずかに開いた。
その音は女にとってーーあまりに、重たかった。]
[置かれた外套は、羽織らず、片手に掛けて持つ。
ドワイトが、客人を連れて戻る前にここを去ろう。
だがその前に、彼の言っていた「贈り物」だけは受け取っておこう。
そう思い、踵を返したところで───]
あれは……?
[教会へ近付いてくる、新たな人影。
その片方の髪色は、色彩のないこの世界に似つかわしくないほどに、美しく───
遠い日の記憶を、呼び起こすようで。
外套を抱えたまま、その場に立ち尽くしてしまった**]
傘を返しに来たんですけど――
[ぼそぼそと呟かれる掠れた声。香る埃と、血の臭いに眉を顰めた。光が射せばまばゆくだろうステンドグラスも、灰色の空になってからは無縁のものだ。
暗がりに立つ人影が、なにか不気味なものにも見えて、動かない表情筋をわずかに強張らせた]
[よろめく足取りは、魔物化した少年の亡骸を抱えているためだけではなく。ぽたぽたと滴る血液は、遺体から零れているだけでもない]
…………こつり、こつり。
[不規則な足音と共に、男は教会の中へと。蒼白の顔で、右肩からは血を流しつつ]
ああ。 エラリー、くん、 かい?
[呼びかける声は、何処か息絶え絶えで。けれど道端で先ほど会った時より、きっと事態は深刻で]
すま、ない。
かさを、かえしに…きて、……くれたんだ、ね。
いま。 そう…しょくじ、の。 した、くを。
[うまく呂律が回らない。視界も揺らいでいる。失血と疲労の為か。友人の前で張っていた緊張の糸は、きれてしまって]
したく、を。したか、 った、んだけど。
[ふらふらと彼の目の前までやってくると]
ああ。ちょっと、 まずそう、 だ
[ぐらり。言い終えたと同時に崩れ落ち、そのまま意識を手放した]
……。
[異形化した少年と思しきなにか。
だらりと垂れ下がり力を失ったそれは、既に命を失っているように見えた。彼は――先ほど探していた少年だったか]
……失礼、取り込み中でしたか。
[亡骸を抱えたまま来客に応対するドワイトの様子に男は目を細め、長椅子にかたり、と傘をかけた]
――!
[ぐらり、と崩れ落ちる壮年の司祭の姿に、男は目を見開く。最後の理性か、意地か、信仰か。
膝から崩れ落ち、亡骸に被さるように倒れこむ姿は、荘厳にも映る]
[わたしはケープのポケットに小瓶を入れます。
試してみようとも思いましたが、2つという数はあまりにも少なく思えました。
ポケットの中で、カインさんから頂いた飴玉と小瓶とがぶつかりあいました。
それから、音楽盤を以前使っていたショールに包むと、わたしは自分の家を出ます。
酒場はわたしの家から見える程度の距離ですから、あまり時間をかけずに到着したでしょうか。
灰は未だに降り続いていて、世界はやっぱり真白くて。
このままこの灰が降り続けば、世界はやはり、終わるのでしょうか。
無の白に、染まりきってしまうのでしょうか。
その時わたしはどうしているのでしょう。
わたしもその白の一部に、混ざり溶けてしまうのでしょうか。
それは、なんだか酷く恐ろしい事のように思えました。]
[そっと酒場の扉を開きます。
からんからん、と、音が響きます。
まだ、スーさんはそこにいたでしょうか。
もしスーさんが起きているようなら、わたしは笑いながら一度、頭を下げます。
それからカウンターの奥へ行き、マスターの眠る部屋へと向かいました。
寝台に横たわるマスターの胸元に、持って来た音楽盤をそっと置きます。
わたしの声が一番綺麗だった時の歌を、マスターには持っていて貰います。
わたしは歌で、マスターにたくさん救われてきたのですから。]
[明日の朝、マスターはやっと、愛していた奥さまと一緒になる事ができます。
わたしにはそれが少し、羨ましかったです。
一応わたしだって女性なのですから、恋愛だとか、そういうのに憧れてはいます。
気付けば世界はこうなっていて、気付けば身体もこうなっているので、どうにもならないのですが。
それでも死する時、誰かに寄り添ってもらえたら、と。
そんな事を思うのは、贅沢でしょうか。
自嘲のような笑みを浮かべながら、マスターの部屋を出ます。
ぎぃ、ぎぃ、と、床板を軋ませながら、わたしはホールの方まで歩いて行きました。**]
[ぽたぽた、ぽた。
赤い血が、教会の扉の中に続いている。
零れ落ちたいのちの色。
世界から喪われてゆく色。
薄暗く陰鬱ささえ感じさせる教会の中、
欠けたステンドグラスから差し込む微かな陽光。
片翼の赤黒い羽の少年を抱えた司祭は、
───この世界でまだ神に祈りますか?
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