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[そこに入った、マリアからの通信。彼女の声は、先に向かえと、そう告げた。従うべきか、迷う]
……了解しました。
はっきりとした確証は未だ取れておりませんが、おそらく黒い騎士…ええと…登録名は…
[そこに至って、ようやくその機体の名前さえ知らないことに気づく。すぐにフヅキからのフォローが入った]
…アンギャルドと名づけられた機体であります。
小官は先に向かいますので、くれぐれも無理をなさらないように…お互い状態は万全ではありません。小官もインターバルまでは生存を最優先いたしますので、マリアさんもウィリーさんもどうかここは生き残ることを考えてください。
もちろん、シャノンさんもですよ!
…共闘を続ける限り、互いの生存が互いの利益となります。
小官はお二人のために生き残りますので、お二人は小官のために生き残ってください。
それでは!
[オープン回線で告げると、戦闘空域からの離脱を最優先とした、コメットの噴射によって、南東空域から離れていった]
[マシマとの戦いの中で、見たことのある漆黒のBFが見える]
……シュウか。
面白くなって来たな。
さぁ、かかって来い。
[小さくひとつ咳き込んだ。
避けきれず掻い潜った焔の熱気が更にコックピット内の環境を悪化させる。]
…平気、この程度…どうってこと無い……っ!?
[聞こえた少女の声に意識が向いた瞬間に被弾。
薄い装甲が軋むような悲鳴をあげる。
一旦機首が下がり落下しかけた機体を、力づくで立て直し上へ。]
なるほど……で、これからどうするんですか? まだ調べものもどきでもする気ですか? そんなことやるくらいならササキさんのように暢気に観戦していた方が楽しいと私は思いますがね。
[ササキさん=最年長の男。
相変わらず双眼鏡で北エリアを追っている。マシマ機とナサニエル機のドッグファイトにさっきから興奮しっぱなしである]
……まあ、私もあなた達には世話になっている身、調べものもどきに協力するのも悪くはないと思っていますが。
もうすぐ長いピットインの時間。うまくいけば選手との直接接触も可能ですよ。
『選手との直接接触……そんな方法があるのか!?』
―格納庫―
[痛ましいマリンブルー・スネイルの姿を見たくはないが、歩かなくては進まないと無理矢理に歩みを進めていると、声をかけられた>>+49]
あ…ぇ、あ、はい…そうですが…
[『紫陽花の花』と呼ばれて、社員が来たものと思い込んで慌てて振り向いたが、そこに居たのは見知らぬ人物の姿だったので一歩退いて]
……あ、あの、会社の…方です、か?
一つだけあります。
[相手には見えないにもかかわらず人差し指を一本立てて告げる]
名付けて、差し入れ作戦。
あなた達は私が作った焼きそばを持って行って「焼きそば屋台からの差し入れでーす」とか言いながら選手達の元を訪れればいいんです。
[実のところ、方法はもう一つあるのだが、その方法――知り合った大会スタッフに直接訊いてみる――を告げるのはなぜかためらわれた]
[海賊剣の矛先が向けられる。]
これは良い剣だな。しかし、私にはこれがある……。
銀色の星!
[それは、相手の攻撃を受けとめるバリアーのようなもの。
ナサニエルの機体と剣がぶつかりあった所から星が出てくる。危険な状況で避ければ避けるほど綺麗な星となるその弾幕は美しく。
地上ではシルバーコレクターが危ないというのは知らず、綺麗な星を楽しんでいた]
[どうやらシャーロットはTweeHeart社員と勘違いしてくれたようだ。]
[ダグラスは「都合がいい」と研究員へ視線を送り――]
「え、あ、その」
[研究員はノープランで話しかけてテンパっていた。]
「ええと――ふぎゃっ!?」
おっと足が滑った。
[実力行使でひとまず黙らせ、誤魔化そうと。]
そうなんだよ、『紫陽花の花』。
俺達は本来は部門外なんだが、おかしなことが起こったっていうんで緊急招集されたのさ。
俺はダグラス、こいつはイノウエだ、よろしく。
[高層域を映すモニターが追うのは三つ巴になりそうな戦い。
旧型戦闘機と白鳥のような単翼機に漆黒の甲冑の騎士が割り入る。]
あれが、ゴードンを墜とした――……。
[漆黒の人型BFに別のモニタを寄せる。
そのときに隣のブースから声が聞こえた。
Marineblue Snailが墜ちたときも、ゴードンと同じように赤い光が、と。]
それなら、攻撃したのはやっぱりあの黒い…アンギャルドっとことですか?
[つい立ち上がって隣のブースに問いかける。
隣の記者は、渋い表情をして首を振った。
乱戦だったのではっきりとは追えていないんだ、と。
ただ近くにアンギャルドがいたのはチラッと確認はした、と。]
赤い光ねぇ…。
[どうも、と隣に礼を言って、席に座り込む。
モニターを注視しながら、噛み潰した煙草を灰皿にぐりぐりと押し付けた。**]
それに――この至近距離。悪く、思わないで、ねっ!
[高速起動。最速で発動する弾幕を選択。告げる]
“無作為の中に吹き乱れよ!”――『メルセンヌツイスタ』!
[左手首の『禍珠』から、無秩序な軌道を描いて打ち出される、数多の小型弾。色彩もまた無作為。色とりどりに乱れ舞った]
[笑った、アイツ、手間暇掛けて音量まで上げてまで笑った。
自分の判断ミスを笑うのはいい、――この機体を笑う事は。許せない。]
[高位を取ったのは速度が欲しいが為。
そのまま黒烏に向けて急降下はするが、撒く『ガトラル』は牽制程度。
そのまま下に抜ければ、可能な限り速度を殺さずクヴォルフィリアの後に付け様とする。]
……残念、こんな所で落ちるわけには、行かない。
あ…だ、大丈夫です、か…!?
[足を滑らせた、と言うダグラスと痛がるイノウエという男性。どちらも社内で見かけた事が無い気がするのだが、何分自分自身が正社員ではない為「部門外」と言われると素直にそれを受け止めた]
…おかしな、事ですか?
この大会で…?
[BFのコアが停止した、それ以外にも何かがあるのだろうかと考えながら、改めて2人に向き直って慌てて頭を下げて挨拶をする]
あ、あの、もしよろしければBFのスペースに行きませんか…?多分、スネイルネンも居るはずです。
いいえ?
[離脱する直前。オープン回線で入ってきた男の声に、さも当たり前のことのように返答する。
そう、当たり前だ。もちろん、情が移っていないといえば嘘になると思う。けれど、共闘を終えた後どうするか、どうなるか、は、それとは別問題だ]
ふたりと、ではありません。その時がきたのならば、お二人とも、小官が撃墜します。
そのためにここに…この大会に来たのですから。
[自分がこの空にいる理由はずっと変わらない。この大会に、勝ちに来たのだ]
…もっとも。それがお互い納得のいく形であればいい…とは思いますが。そのための共闘、と言ってもいいかもしれません。
[告げながら。小さな機体は、空域の最上層から、黒い騎士の姿を探していた]
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