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>>195
自分一人だけしか存在しないんだろ?
幸せなんじゃねぇの。
[男が言う幸せと、牢獄姫の言う幸せは、きっといろんな意味で違うのだろう。]
獣が一緒でもマシとかね。お前、どれだけ一人だったんだ。
[一人よりはマシの言葉には、そんな感想を述べて……。]
狼は、一人になってもいいんだよ。ああ、違うな、
人狼は一人になってもいい。
人の心を持ちながら、人を食うんだ。
楽しいぜ。裏切っていくのはよ……。
涙がでらぁ。
[それは感覚の麻痺。
でも、それで生きてきたという実感。]
だから、僕はあなたを捕縛しておきたいと思っています。
…そうですね、確か食堂車の奥に、作りつけの冷凍庫があったはずです。
ああ、今では稼動していませんから、安心してください。
ここに、入っていただいて、外から錠をかけ…、鍵は窓から捨てます。
冷凍庫は頑丈ですから、いくら人狼といっても破ることは不可能でしょう。
また、駅に着いたら合鍵を手配すれば良いのです。
どうですか?
[言ってとりあえずアナスタシアの両手を、皮のベルトで縛ろうとするが、カメラの操作ぐらいしかとりえのない男なので、みすみす上手く行くとは限らない。]
……。
[見当違いの推理を正義面して疲労しているかのように、女には見えた。
もう、何もかもがどうでも良くなっていた。
大人しく両手をシュテファンの前に出し]
……好きにすると良いわ。
私が、人狼だと謂うのなら。
こうして、信用されないのは二度目。
わたしが、人間を信じていないのは、こういう訳。
[差し出した細い腕、その左側は、ケロイド状になった傷跡が。
自分すらも殺せずに何度も付けた、躊躇い傷。]
信じて貰えない絶望を、わたしは知っている。
人狼にとって邪魔な人間を、或いは状況を有利にする為に敢えて自分に味方する人間を、喰らうのが人狼だと云う事も。
だから、わたしは名乗る気は無かった。
……でも、職業病かしら。
目の前に偽者が居ると、どうしても堪えきれなかった。
偽占い師は――わたしの夫を、処刑台に送った。
わたしは、その恨みを、忘れない。
[伏せた顔に長い髪が掛かる。口元に垂れたそれを、ギリ、と噛み締めた。]
>>200
さぁな、望んでいるかいないか、
どちらにしろ、腹は空くんだ。
小難しいことはわかんねぇよ。
ただ、オレの前には死にたいほどいてぇって奴もたくさんいて、
それならって食っていたんだ。
バカだよな、食わせなきゃいいのに。
[その職業が最初は何を意味していたか。
だけど、人としての痛みや苦しみを見ていくうちに、
まるで人ならば酒を飲むかのように…。]
別に、オレは望む望まないはどうでもいい。
そのとき、腹いっぱいになれりゃ、涙のことなんて忘れちまうさ。
[そして、クク……と嗤う。]
[あっさりと差し出された細い腕に、その凄惨な様子に思わず目を見開く。
>>201続く激した言葉に、またしても顔を歪める。]
…いや。
やめましょう。
やっぱり、僕にはできません…。
あなたが持っていた物を、ここへ来て僕は欲しいと思ってしまっているのです。
困ったことに、それが僕の判断力を鈍らせています。
…少し頭を冷やしてきます。
[そこら辺に散乱した荷物を、まとめてずた袋に突っ込んだ。
目の前の、女性と重なるのは、自身の店のショーケースを飾っていた、幸せそうな家族のポートレイト。
ついでに、これまで撮影した分の、フィルムを隠しておこう、と、混乱した頭で、ふらふらしながら食堂車を後にした。]
沈黙の カチューシャは、陽気な女将 サンドラ を投票先に選びました。
シュテファンさんが、
アナスタシアさんを拘束しないままに出ていったわ。
稼働してない冷凍庫に閉じこめるつもりだったようだけど…。
写眞店店主 シュテファンは、永遠の旅人 エーテル を投票先に選びました。
……そう。
[何が「そう」なのかは、判らないが、言葉が漏れる。
目線でシュテファンを見送り]
…………。
[ウォトカを呷った。]
ふぅん
閉じ込めてしまったら、食えなかったな。
まぁ、じゃ、食えるのか?
女はうまそうだな。
[やはり下品に…。]
なんだってーーっ
あっの腰抜け…
でもまぁ、どうするか
真占い師を食うのが、道ってもんだが…。
また入れ替わるかもしれない、という恐怖は与えないとなぁ。
[...は去っていくシュテファンの後姿を見ながら、誰とはなしにポツリとつぶやいた]
シュテファン、本気じゃなかったんだろうね。
きっと、アナスタシアを試したんじゃないかな。
だってさ、そんな冷凍庫が本当にあるなんて思えないもの。
もし、そんな頑丈な冷凍庫があったら、シュテファンが鍵を持って自分で閉じこもっちゃえばいいじゃないか。
外でどんな惨劇があろうと、自分だけは安全になるのだから…。
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