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……。
[毒を塗ったナイフを嬉しそうに月にかざして。部屋に戻るか少し迷って、結局食堂車に向かうことにした。
ちょっと前まであんなに騒がしかったとは思えない、静かな部屋。]
……イヴァン?
[まとめ役をかってでようとした青年が、椅子に座っているのを見つける。
お誂え向きに、静かな部屋。ポケットにはナイフと毒薬。
……にぃ、と笑んだ。]
―個室―
[頭から、不気味に笑むサーシャのビジョンが離れない。
……占い対象をサーシャにしなければ。
雑念があれば、イヴァンを占う事は出来ないから。]
Слушайте кристалла.
Является ли он человек или волк?
Если блестящие красные волки.
<<水晶に問う。彼は人か狼か?狼ならば紅く光れ>>
[無反応を願った。
この占いには、<<死>>が必要。
占い成功という事は、誰かの<<死>>が生じたという事。
水晶は――白く、光った。]
嗚呼――誰か、亡くなったの、ね……。
未亡人 アナスタシアは、青年 サーシャ を投票先に選びました。
白……彼は、狼では、ない……。
じゃあ、彼は、何者……?
[元居た村を思い出す。
自らを占い師だと言い張り、夫を人狼と糾弾した、狂ったおんな。
彼もまた――人間に絶望し、狼に加担する人間なのだろうか。]
[お茶でも飲むようなふりをして、後ろに回る。
ナイフを抜こうとして、やめた。血だまりができると、みんながここに集まらなくなるかもしれない。情報が集まりづらくなるのは、面倒。]
……っ!
[木製のシースをつけたまま、ナイフを振り上げる。延髄に叩き込む。前に教えてもらった場所。声すら出せなくなる人間の急所。]
……じゃま、だよ。
[ちいさくちいさく、息だけで囁いて。ポケットの毒薬に指を浸した。
……たっぷりと掬ったそれを、イヴァンの口へとつっこむ。喉の奥に、粘膜に塗り込める。]
……ばいばい。
[柔らかな笑み。やがて彼の息は止まるだろう。それを見届けず、汚れた手を洗うために姿を消した。]
……ん。
[トイレで念入りに手を洗って毒を落とし、適当にコートで拭う。左手首の傷が開いて、水がしみた。]
……いたい。
[人狼にもらった傷はあんなに嬉しいのに。ふつうの傷はなんで痛いだけなんだろう。そんなことを考えながら手洗い場を出る。]
……あ。ロラン。
[食堂車に向かう彼らに丁度出くわしたか。マフラーがなくなっていることに気づくほど、青年の観察力は鋭くなくて。]
……食べられて、ないの?
[イヴァンとシャノアールの死の様子を聞けば、後者にだけひどく反応するだろう。
……わからない。占い師の組み合わせがわからない。]
……いたい……。
[これは本当に仕えるべき相手? 胸の傷が痛んで、ぎゅうとコートを押さえた。**]
[食堂車に戻って来た、三人を見れば。ツーペアをぎり、と見遣る]
お、なんか羨ましい……
なんで追い掛けて貰ってるんだよ!
俺なんて一人で黄昏れてたのにっ!!
[ジョーカーの荷物で見かけたパスケースの写真を思い出す。以下にもきまじめそうな、30近い女の顔…]
なぁ、前にジョーカーが言ってた事を思い出してたんだ。
確か、突然変異、とか。
[…は。
『憑狼』の事を67%知っている。
『智狼』の事を2%知っている。
『呪狼』の事を20%知っている。
『一人狼』の事を74%知っている。
『恋狼』の事を53%知っている。
『白狼』の事を40%知っている。
]
[記憶の中の、元仲間を思い出す。あぁ、昨日占われたというのなら…そして会話が出来た事から]
そう、ジョーカーは名前の通り切り札…憑狼だよ。
あ、知ってる?
[知らないなら、と7割程の知識を伝えた]
[そして、ジョーカーの荷物にあったパスケースの事にも触れる]
さーて、ここはアナスタシアさんが偽者ってことで、突いていく事になりそうだなぁ〜。
占を名乗る者が死んだ…
あ、やべ。
フラッシュバックが酷ぇ
変なスイッチ入りそう……
へぇ……そんな人狼が居るとはな。
感染し、仲間を増やすタイプなら知っていたんだが。
それと云う事にして、この場は切り抜けるか。
……ロラン、だ。
[ローラ、その呼び名はやめてほしい、と暗に告げたのは、
大分遅れてのこと、恐らく動揺していたのだ。
涌いた疑心と……指先一つ、動かせなかった自分自身に。
いまだ苦味が残る、無意識に唇に触れながら歩いていれば、かけられた声に顔をあげた]
サーシャ……
[無事な姿に“死んだら食べてもらえる”という
彼の望みが叶っていないことに安堵すれば、ちりりと複雑な感情が涌いた。
ミハイルはサーシャにどのような視線を向けていただろう。遮るように両者の間に立てば、いたい、という呟きが聞こえた]
……また、痛い?だいじょうぶか?
[反応の偏りを怪訝に思えど、とりあえずは同行を促した*]
[人狼に対処することに慣れた人たち、一部はおののくよりも、生き生きとして動いているように彼女には見えて。それは人の生存本能のあらわれかもしれなかったが、彼女にとっては嫌な記憶を掘り起こすものでしかなかった。]
あたしも、あんな顔をしていたのかな…。
[もう、何も見たくない、聞きたくもない。他者に気遣いすらもできず、後退りをすると、気付かれないようにそこを後にした。]
―一等車両・自室―
[ぎゅ、と唇を引き結んだまま、シャノアールの部屋から自室へと戻り、ベッドの上にどすん、とトランクを置いた。
ばさばさっ、とずた袋から衣類をぶちまけ空にすると、閃光機(ストロボ)とマグネシウムの閃光粉が入った箱とを一緒に突っ込む。
が、少し思い直して旅行用石鹸のブリキ缶から中身を捨て、丁寧にぬぐった後、閃光粉を少し取り分けて、撮影器材とは別に上着のポケットに入れた。
その後、再びライカを皮ストラップで首に下げると、その他細々した物をずた袋に追加してから外に出る。
ベッドの上には、几帳面な彼にしては珍しく衣類や生活雑貨が散乱し、トランクからはいつぞやの、茶色い狼のパペットが半分、挟まれた形で飛び出している。]
[イヴァンの側から離れたいと。だが下半身が思ったように動かず。後ろにと捻った上半身だけが動き、どぅと床に倒れこんだ]
…くっ
[強かにぶつけた腕の痛み]
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