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姉さんが駆け落ちをして、若者が何人も村を飛び出していった。
その友達も俺をこの村の外から出ないかと誘った。
何度も何度も。
そして結局、あいつも一人で村を出た。俺を置いて。
そして俺はまた、一人になった。
村で友達を待つつもりだった。
何日も何月も何年も、
―――だが、友達は帰って来なかった。
街で、死んだ事になっていた。
俺の側を離れたからか、
俺があいつを忘れかかってしまっていたからか。
突然、いなくなっていた。死んでしまっていた。
俺はあいつの亡骸を求めて、初めて勝手に街に出た。
それで父は俺が狂っていると看做したようだった。
俺があいつの墓を建てることも、
毎日祈りを捧げる事も、全く気にしないでいた。
俺も、与えられた仕事をこなしていた。
何も、問題はなかった。
俺自身は。俺以外は。
なあ、可笑しいよな。
俺のような人間に、友達などいない筈なのにな。
[笑うことすらできない、こんな自分に//]
これ。
返す。
[ハンカチを差し出そうとすれば。]
[目の前の彼女は、ずるい、と。唇を尖らせる。]
[……ああ。そうか。]
[なにが、おかしいのか。]
[わかったところで、また。]
お前のほうが、ずるい。
[笑みが浮かんで。]
……無理すんじゃ、ねえよ。
[彼女の頭を撫でようと。手を伸ばした。]
/*
エア親友にして狂人アピにしてみた。
確か誰もニコ○スの事触れてなかったと思うのでセーフな筈。
あとはナタリーの列に並んで順番待ちかなw
*/
[差し出されたハンカチには、視線を向けるだけで。
身体も気持ちも、受け取ろうと動きはしなかった。
なにやら思いめぐらせた様子を見せて。
やっぱり笑う男に。
なんで私がずるいのかと、口を開きかけて]
……むり?
[手が、頭に触れる感触に、帽子をどこかに落としたことに、今更気が付いたりして]
無理なんか、してないよ。
[胸の前で、ぎゅっと手を組んだ]
― 妖魔の森/いつか ―
[ぴしぴし。と、耳が何かを追い払うように動く。
いつ来ても、此処は好きじゃない。
そう思うと笑い声が聞こえた気がした]
む。むむ。
[噛みついたり、咆えかかったり、してやりたいけれど。
口にくわえたマフラーが邪魔をして、出来ないのだった]
[狼の姿。すごく不便だ。
人の姿なら、耳も手で塞げる。
人の姿なら、手でマフラーを持てる。
でも。
人の姿では、煩わしい笑い声も、咆えかかる相手を感じることも、できないから。そう、仕方ない]
[首を振って、マフラーを枝にかける。
何度もやったから、手際もよくなった]
もう、笑うなって言うのに。
[マフラーが口から離れて、ようやく文句が口をつく。
いつだって、楽しそうに笑うから]
やっぱり、キライ。
[ぎゅう、とマフラーを枝に縛り付けたら、とっとと森を後にしようと思う。
一度、森の奥を振り返って」
まあ、寒くなんてないだろうけど。
[色とりどりのマフラーが雪に覆われた森を彩っているのを見て。
興味ないフリして肩をすくめた……気分になった**]
[2・3度、撫でてから。]
[そのまま、彼女の頭を抱き寄せる。]
本当のこと、言っていい。
[いつしか、笑みは消えていて。]
……お前。
[占い師の娘が、狼と同じならば。]
[あのとき。]
[出来ることなんて、あったかどうかすら、わからないけれども。]
[それでも。]
[撫でられる感触に気をとられていて。
抱き寄せられれば、驚く間も無く相手の腕の中に収まった]
……ほんとう。
[相手の言葉よりも。
その男の香りが。
ぬくもりが。
心地よいのに驚いて]
うん。おなか空いた。
[あの時はなんて、答えたんだろう。
相手の胸に額を付けて、目を閉じる]
[返ってきた答えに、再び。]
[笑みが洩れて。]
……なら、よ。
喰えばいい。
お前にとっちゃ、それが。当たり前なんだからよ。
[もう一度、だけ。]
[彼女の髪を撫でて。]
……ずるいよ、今更、そんなこと。
[ずっと、我慢してきたのに。
髪を撫でる手が離れれば、名残惜しそうに、そっと顔を上げて]
ミハイル、食べられてもいいの?
村のみんなだって、食べ……っ
[多分、もう、抵抗はなくなるだろうと思えた。
この男を、食べたなら]
―妖魔の森 いつか―
……………あれ、また来たの。
[見かけた姿に、感じた気配に、ふわりと傍へ降り立った。
嫌がられているのが分かっているのに、それでも後ろを付いて行くように歩きながら、楽しげに笑う]
だって面白いんだもの。君の意地っ張りのしかめっ面。
[邪気無い様子でそう告げてから、枝にかかったマフラーを見上げた。
あれは何?思い出せない。けど、まあ、いいか]
あはは、其れは良かった。
[「キライ」と言われても気にする素振りなんて見せず]
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