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[裏声で自分に歓声を送らせるこの男こそ、『TECAR』の社長。島工作。予言を騙り、ジンロウ町に大量に社員怪人を送り続け、ジンロウ町を怪人の町にしようと企む男]
「さあ、エルヴァイラ君。頑張らないと君もリストラしちゃうぞ」
『キャー、シマシャチョー』『ステキダワ、シマサン』
[だが、この男が本編に関わる機会は今後あるかどうかは判らない。というか多分ない]
―回想―
うっそ…っ!!
[あれだけの速度を与えてやれば、空中制御などできないだろうと。油断があった。
被害を本当に避けようとするなら、何度向かって来ることになろうと空へと投げ捨てるべきだったのに。
そう後悔しても、既にフレイアは市街地へと突っ込み。そして、自爆した>>144]
…あの辺に人はっ!?
[いないと、信じたかった。なにしろ崩れ落ちた瓦礫のすぐそばだ。既に避難が終わっていてもおかしくないと…思い込みたかった。
それを確かめようと、空中で反転して。襲い掛かるカルロの槍>>141を逆に足場として、すぐにもフレイアの突っ込んだ市街地に向かおうと加速度を溜め込んで。
その瞬間。
すれ違うようにして飛び込んでくる槍が。
自分をかばおうとして飛び出したのだろうユーリの体を、貫いた>>143]
ぇ。
[思考が。瞬時に凍り付いて。体は、直前に実行しようとしていた行動を、忠実に実行に移す。
すっ飛んでいった市街地で。とっさに辺りを眺めて。即座に反転して、地へ落ちたユーリのもとへ、向かおうとして。
その、目前で。
群がった蟻怪人が、ユーリの体を、引き裂いた>>150]
ゆー。
[自分の方をしっかりと見つめ、言い残す言葉を聞いて>>152。伸ばした手の、目の前で。彼女の姿は、砕けて散った]
ゆー!!
[ぎちりと。脳の奥で何かが蓋をあけた。どろりと渦を巻くソレは形を成さず。ただ、その奥にいる誰かが『ああ、またか』と。感情の欠落した声を上げた。
彼女は自分を勇者と呼んだ。カルロは自分を勇者気取りと呼んだ。“勇者”が。この結果を招いたのだろうか]
別行動…… ええ、そのようなものです。
[そうなった経緯は伏せつつ。
彼がここにいる理由を話しだしたなら、黙って聞いて。]
まあ、魔王がここに……!?
さすがはシンマイ様、現れる前から気配を追うことができるのですね!
[なんか過大解釈したようだ。
それから、なにか躊躇うような彼の様子には首を傾げ。
続く問いが耳に入れば。]
……――なぜ、そのようなことをお聞きになるのでしょう?
[今までになく、険しい表情を返した。]
…勇者とかさ。
みんなが言ってる正義とか、悪とか。
そういう理屈って、よく分かんないんだ。どうでもいい。
ただ、誰かが怪我したりとか。悪いこともしてないのに壊されたりとか。そういうのが、いやなだけでさ。
[だから、自分は勇者なんてものじゃないと。
ジャス天号を降り、ユーリにもらったお守りを、そこにかけて。彼女に“勇者”と呼んでもらった“ジャスティス急便”は、そこに置いていく]
あげくのはてが、このザマだよ。
[自分の油断とうかつのせいで、町は壊れて、ユーリにかばわれて。そして、ユーリは。自分がTV局から連れ出してきた怪人の手によって、目の前で、散った]
ねぇ、カルロ。
たのしい?
まんぞくした?
ならさ。もう、いいよね?
[何の感情も映そうとしない瞳が、宙に浮かぶ姿をじっと見上げる]
しねよ。
[怨嗟のこもった声が届くよりなお早く。
体一つで跳び上がった姿はカルロの眼前に。
彼の起こしえる一切の行動を上回るような速度で、躊躇のない拳が打ち込まれ。そして、《拒絶》されて逸らされる]
っ
[続く二撃目も《断絶》されて、透過する]
ふぅん。
ならさ。
[一度、地上へと降りて。カルロの砲撃で崩れたビルの瓦礫を、投げつける]
[一切何の魔力さえこもらないソレは、たやすく《拒絶》され、《断絶》されて、何の効果もなさなかったが]
[そらされ、通り過ぎていくそれらを、一つ一つ。追いかけ。追いすがった先で捕まえ、また投げつけて]
[そして再び、地上から。新たな瓦礫を投げつける。高速で飛び交う瓦礫は、やがて空中で一個の塊をなして]
うまってきえろ。
[拒絶と断絶に守られた彼のいるべき空間を、根こそぎ埋め尽くした]
─回想的な何か─
[『勇者様』を庇う様に、飛び出した、青薔薇の少女
10本程だろうか、彼女の体に槍が突き刺さるのを見れば、『つまらない』と言った表情で]
[彼女を貫いた槍は凍り、砕け散って霧散するだろう
穴は開くも、血すら流さない彼女を見やって、冷めた視線を投げつけた]
煩いよ、それともあれかい?
─大事な大事な『勇者様』が侮辱されて…悔しかったかい?
…だよねぇ、君にとっては『王子様』でもあるだろうしねぇ?
[否定の声に沸き立つのは、苛立ち。
隠す事も無く、敢えて揶揄するかの様に、相手に投げかければ]
[何処からか、否定に同意する声が届く(>>146)。
視線を移すと、其処には、少女を睨みつける蟻の怪人がいた事だろう。
物言いは気にくわねど…どうやら、怪人は少女を狙っている様で]
こりゃあ、邪魔者が消えてラッキーだ。
[結果、少女は怪人に引き裂かれて、《崩壊》を迎えていただろう。
…そんな時だったか、見慣れた相手に声を掛けられたのは]
『カルロ。見損なったぞ!』
[…吐いたのは、溜息一つ。
そう、先程から、邪魔ばかりが重なり…。
既に、...の苛立ちはほぼ、限界に達していただろう]
煩いっすよ、先輩まで何言いに来たんスか。
[吐き捨てて、殴り掛かって来るであろうユーイチ(幻影)に、カウンターを放つ
カウンターが決まれば、ユーイチ(幻影)は呆気無く昏倒した事だろう]
[初めて見る険しい表情とその奥にある揺らぐ藍(インディゴ)を見て、声を低く平坦に保ちながら語る]
『滅亡の先駆けは天より出でる業火なり。
その灼熱の矛は世界の心臓を貫くであろう。
傷は癒えることはない。
世界はかつてないまでに破壊され、滅亡の発端となるだろう。
全ての世界。砂褐色の空。鋼色の月。
鳴り止まぬ不協和音。その矛に震える大地。
災いは巡る先に翼を下ろし、黒の根を張るだろう。
滴り落ちた涙。射貫かれる聖女。
世界は絶望に塗りつぶされている。
そして、全ての世界が、死ぬ』
これは次元に干渉する力を持つ者に語り継がれてきた予言。
そして、この予言の内容は過去に行われてきたそうだ。
射貫かれた聖女はどうなったのか・・・もし、その聖女が今も存在しているならばどうするのか。
お主は・・・ユーリ殿は知っているだろうか?
ジャスティス急便 カンナギは、魔砲師 カルロ を投票先に選びました。
[ジンロウニューススタジオが崩壊し、ドンファンが魔王城へと向かう頃。
町では、至る所に暴徒が荒れ狂っていた。
むろん、この中立亭・喫茶まろん周辺も例外ではなく。]
いいかげんに、せんかーーー!!!!!
[大声一喝。
店の入り口まで押し寄せてきていた暴徒達が、波打つように吹き飛ばされる。]
おぬしら、もう忘れたか!!!?
悪を討つヒーローの活躍に熱く心躍らせ、可憐なヒロインの舞いに憧れた日々を!!
ヒーローを追いつめる悪役たちの策略に手に汗握り、潔く散っていくその最期に、胸を熱くしたあの頃を!!!
そのヒーロー、ヒロイン、悪役たちをおぬしらの手で否定しようとするとは、なんたる暴挙、なんたる理不尽よ!
そもそもおぬしら、「テレビのヒーローが間近で見られる♪」とか言ってこの町に来た連中も多かろう。
ん?違うのか?そうであろう?
今になって、日常を返してだの、泣き言を言うでないわ!!
[店には一歩も入らせぬ、とばかりの仁王立ちで、ぎろりと暴徒達を睨めまわす。
手には、フライパンを持ったまま。]
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