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―現在/交戦地域A付近―
[悪魔、という言葉を聞き、エリィの立場に気付いたが、あまり驚くまでもなく返す。]
帝国には、スパイでいたってことか。
・・・うん。よくあることだよね。
[自国に紛れ込み、この手で暗殺してきた者は片手では数えきれない。それを知っているからこそ、よくあることと聞き流してしまったが・・・もしかしたらエリィは不思議に思うかもしれない。]
[そして、その次に言われたことは、思いもよらぬ申し出で。流石にそれには一瞬、言葉を失ってしまった。]
それは・・・えっと、僕に連合国を裏切れ、と?
確かに、上層部の、本気で女神を信仰している人たちに任せておいたら、いつ戦争が終わるかなんてわからないけれど。
でも、ううん・・・
エリィ、本気、なんだよね?
[クロロは、エリィより前に兵として連合国に連れていかれてしまった。その時に気がかりだったのは誰よりも仲良くしてくれたエリィ。
エリィと対立する国にいるというのを知った時は、どうしようかと思ったが・・・自分が国を裏切る選択肢なんて、思いつきもしなかったな。と、エリィの反応を待った。]
[フードを深々と被る。周囲の状況については、空間魔法が教えてくれる。半径1km圏内の地理、そして人間が何人いるのか、そのうち敵意を向けてくるのは何人か。距離はどれくらいか。把握する。]
…何処にいるかしら…。
[司教様を殺したことから、彼女は独立組織の所属なのだろうと想像できる。それならば、自分が殺される可能性は極めて高い。彼女に殺されるなら…そんな考えも頭をよぎる。]
ダメよ…あの子には…これ以上人殺しなんかさせたくないんでしょう…?
[自分に言い聞かせる。]
― 回想・少女が死んだ日 ―
ティナ、早く……っ!
[お使いの帰りだった。いつも付き添ってくれる職員が病気で休んでしまった為、子供だけで向かっていた。
自分とティナ。二人で冒険みたいだね、なんて笑いあって無事に買い物を終えた、そのあとのこと。
ざわりと街が喧騒に包まれる。帝国同盟、銃、そんなとぎれとぎれの言葉が聞こえてきた。]
走って!院に戻れたら、もう怖くないから!
[泣きじゃくるティナの手を引こうと腕を伸ばす。
後少しで届くと思った。けれど、自分の腕はその小さな手を捕えることはなくて。
銃声や悲鳴が混ざり合う中、ティナを撃ったのであろう乾いた銃声だけは嫌に聞き取れた。
目の前を舞う、赤。
倒れた体を見捨てて逃げるなんてできずに、駆け寄って泣きながら声をかけた。]
起きて、起きて、ねぇ!
今日、一緒にお菓子作ろうって………ティナぁ…!
[許せなかった。孤児院の仲間を奪っておいてなお、残った友人の命さえ奪うのか。
動かない少女の首を飾る、小さな水晶玉のネックレスをそっと外す。ぎゅっと握り魔力を込めれば、淡く光った気がした。]
ティナ、………まってて。
[憎しみは、喜劇など生んでくれない。
幼い心はそれを理解できずに、その日エリィゼは魔法の才能を覚醒させた。
そして、きっとこれからも知ることはないのだろう。
否――知らないフリをするのだ。
自分の行為が、あの日のような悲劇を生む要因になっていることに*]
その命令は流石に大雑把すぎますよ、
[アレクシス様と敢えて冗談と受け取って笑って見せようとしたところで、冷たい言葉と双眸が此方を睨んだ。
視線が雄弁に語る言葉に、苦笑に代わる。]
[どうするんだろうって考えていた。
いざ目の前になるとどうしたらいいのか分からない。]
――考えたくなかったんだ?…ちょっと嬉しい。
いつか来るって分かってたの。でも、私も、考えたくなかったなぁ。
上からの命も良いけど、恨んじゃわないように少し話ししてよ、アレク君。
[ゆらゆらと揺れる見慣れない瞳の色を見つめる。
金と赤に揺れる色は綺麗だと思った。赤の瞳は彼を別人に見せているようだった。]
……それとも裏切り者との話しは剣を通してだけで十分?
[私は針だけど、と指の間に針を挟んだ。]
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しまった。何だか連合か帝国か傍から分からない感じだったので先に補完を回したら、シエラさんに迷惑かけてしまった。
申し訳ない。そうだよなああ、締めっぽいよなあああ
― 現在/交戦地域A付近 ―
[帝国にいたことは知られていたらしい。少し驚くも、戦場に出ることも多かったから当然かと思い直す。スパイと言われれば、クルークの顔が思い浮かんだが――自分にそんな権利はきっとない。
誰もいなければ溜息をついたかもしれないが、今ここには彼がいる。抑え込んで頷きを返し]
……良くあること?
クーちゃん、スパイをたくさん見てきたりしたですか?
[聞き流した彼に引っ掛かりを感じて、思わずそんなことを尋ねていた。
確かに軍にスパイは付き物だ。それを知っていること自体に疑問は無いが、『良くあること』という単語がどうにも不思議で。]
嘘なんてつかないですよ。
裏切るのが嫌なら、エリィは諦めます。
…ほんの少しでも揺らぐ気持ちがあるなら、お願いです。
エリィの手を、取ってください。
[彼の前で、昔のように振る舞うのは。
かつての純粋だった自分を演じたいからかもしれないなんて考えに至って、そっと苦笑う。
そんなことをしても、偽りはいつか綻びるものなのに。]
― 朝・医務室 ―
[ジロの返答>>61に納得して頷く。クルークのことは仕方ないだろう。何しろ会議内の発言のこともある。それ以上のことを言わない彼に、不審に思う。アレクは、いやそれより自分の処分は?一連の犯人であるエリィゼの逃亡は、何より自分の失態だ。自分が理性的だったなら、それか彼一人だったなら逃亡前に仕留められた可能性は十分ある。自分の処分について聞こうとして、すぐにやめた。]
(アレク本人に会ったジロでさえ、僕の現状について詳しくは聞いていない。……庇ってくれたのか。)
[最近は雰囲気が尖っていて、近づくのさえ避けていたのに。アレクはやっぱり、孤児院にいた頃の彼のままだ。まるで、人を馬鹿にした話し方しか出来ない僕を叱っていた頃みたいだ。そう思うと、少し笑えた。]
―回想/数日前・帝国同盟 基地の外―
……そうか。
[「それ以上はいらない」ときっぱり言い切りながらも、どこか物思う様子のシエラ>>72>>73を観察しつつ、短い一言を返す]
天才サマが、随分謙虚なもんだな。
知らない事・足りない事に気付くところから始まるのが、学びだろ。
きっと、今の状況の中でこの戦争が何なのか――人間である事とは何なのか、少しも考えてないやつはいないだろう。その答えが全く同じになる事がないからこそ、俺は。あんたのように求め続ける者が見出すものがあると考えてる。
[彼女を如何に評価してるか見透かされているようで、気恥ずかしさに鼻を鳴らしながら。
シエラの過去に何があったかは知らない。ただ、思うように人の姿を保つ事も出来ず自分が何なのか苦しんだ幼い時期の事を思い起こし、彼女が感じている「実感の薄さ」を少しばかり感じ取れた気がした]
[手を差し出されれば、幾ばくかの躊躇いの後、自分よりもほっそりとした手を乱暴に取り]
畏まるなってもな。
今まで見ていた景色がグッと広がる感覚ってのは、なかなか戸惑いが勝つもんだぜ。……シエラ。
[少しだけ、彼女を胸に引き寄せるようにして囁きかける。
――帝国の銃弾に運命を歪められたエリィゼとティナの顔を思い浮かべながら]
俺は、あんたを買ってる。
これから事態が動いたなら、俺たちの手によっていずれ帝国も連合国も大きな被害を受けるだろう。
……特に、帝国に大切なものを奪われた同志は多い。いずれ復讐の時が来る。
[復讐を、止めるつもりはなかった。戦争を止め、女神について知り、二度と繰り返さぬよう排除する。どうせその中で血が流れないはずもないのだから]
だが、それに無為にあんたを巻き込もうとは思わねえ。
その時が来たら――俺の手を、取れよ。
そのつもりがあるなら、あんたの頭脳も、力も、活かせる場を与える自信はある。
[「俺があんたを必要としている事、絶対忘れんなよ」と投げかけた裏切りの誘いは、少しでも彼女の心に波紋を起こせただろうか?*]
[最後にそう告げて、静かに体を離した。もう涙は流れてはいなかった]
ありがとうございました。
なんだか、情けないところをお見せしてしまって。
…恥ずかしいですね。
[困ったように笑う姿は、おそらく孤児院に居たころと相違ない]
こういう言い方が正しいのかは、分かりませんが。
おかえりなさい、ツリガネ。
[少し背の高くなった彼女の頭を、撫でようとしただろう]
― 現在/交戦地域A付近 ―
ちょっと、情報がよく入るところにいたからね。
[敵国の情報が入り、それに対処する場所・・・なんて。かなり限られてくるじゃないかとは思ったけれど。あはは、と笑い、今はそれ以上話すことではないと、説明はそれだけにした。]
それで・・・そうだね。
[僕は、どうしよう。散々人を殺めてきた僕の正体を知ったら、エリィは軽蔑するのだろうか。]
僕は・・・
[それでも。軽蔑されるまででもいい。]
エリィ。僕は、エリィについていくよ。
[元々、女神信仰には全く興味がなかった。ただ、平和が早く訪れればいいと思っていただけ。国を裏切るっていうのに、これからエリィといられることに喜ぶなんて。]
(平和より、エリィが生きてさえくれていれば、僕はそれでよかったのかもしれないな)
[気付くのが遅すぎたその感情は・・・暗殺という仕事に身を置きすぎた彼には、なんであるのか理解できなかった。]
/*
妹のメモより。
僕の顔、そもそも死体っぽいですよね、となんとなく思いました。
やんでれるーとも、大変おいしかったですね。
でも、今の凛とした妹も、好きですよ。
そもそも碌なお兄さんではない気がします。
きゃらせってい、というのを間違えました、と中の人が言っていました。
ーいつか・戦場ー
[軍に入って何戦目だったか。今日も今日とて戦場で誰かの肢体を踏む。魔法を使い、武器を使い、何の利益も得られぬまま死体の山だけが築かれた。
辺りを一掃しただろうか。この地域では連合の勝利だと帰還の令が下れば、近くに配属された小隊と合流する。その一瞬の、気の緩み。]
…!ッミツル!!
[致命傷を負ったくせに最後の力を振り絞って友人に襲いかかる敵兵。止めを刺し忘れたのは誰だと思うよりもまず、体が動いた。
掌に魔力を集め、ばちばちと激しく鳴るそれを成形する。形は悪いが鋭く尖った矢は敵の命を奪うだろう。しかし。]
大人しく!っ死んでろよ!!
[矢を放つと同時に地を蹴り走る。閃光が敵を貫くと同時、両手に持ったロッドを大きく振りかぶってーー渾身の力でもって振り抜いた。
ぐしゃりと潰れる感覚と、肌に飛び散る返り血の生暖かさ。普段ならばにこりと笑って受け入れるのに、どうも気持ちが悪かった。]
……なんか、言い訳ある?
[こんな気持ちになるのはお前のせいだと八つ当たりを籠めてミツルに問う。そしてその時、彼からその秘密を告げられたのだろう。>>74]
ー現在・連合自室ー
[部屋を出ようとドアノブに手をかけると、タイミング良くノックされ。相手が名乗るのを待たずに勢いよく扉を開ける。
さぞ驚いたろうと相手を確認すれば、ミツルの姿があって。]
ミツルじゃなーい、何か用?
[挨拶だといつものように顔を寄せる。応えてくれれば唇か頬にキスをするだろうし、断られれば「ケチー」なんて言いながら大人しく引くつもりだがどうだったか。
停戦協定が締結早々破られたというのに、呑気な様子で部屋に誘う。世間話の他にも何か話しただろうか。]
あ、そういえばさぁ
停戦協定結んだって話いってるよね?
それがさ、締結早々破られたらしいんだよねぇ
[誰の仕業かな?なんてとぼけたことを言いながら、ミツルの反応を伺う。暗に、自分達の出番が近付いていると示しながら。]
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