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『あなたを愛しています』
[受け取った手紙は大切に、引き出しの奥へしまってある。
それが誰によって綴られたものなのか、
男にはわかってしまっていた。
そして手紙狂いへ向けて、無邪気な笑顔を見せる]
『ありがとう』
『きみとであえて、よかった』
[男のことを示す記号…、
名前はこの村に来てから司祭が付けてくれたもの。
だから、この手紙は、つまり]
[それからは、
手紙狂いがこの村へ来た記念日が来るたびに、
相手の元へ封筒を持っていくようになった]
『私に手紙をくれたひとに、届けてほしい』
[中に宛先を示す記号はなく、手紙すらなく。
押し花でできたしおりが一枚、入っているだけ。
もしも断られたり無理だと言われたとしても、
毎年そうして置いて行く。
…だけど、今年は贈る花がない]
[…自衛代わりに変異植物に薬品をかけて見れば、
かけた部分に妙に艶が出て。
活性化したのかワックス効果か、それとも単に濡れたからか。]
・・・理由がどれであれ、試薬01は効果無し。封印、と。
[小瓶に封してぺけ書いて、数歩植物から距離を取る。
変化が無いのを確認し、大きく迂回し足を進めた…]
[消毒液と、灰の影響を除くとされる――信憑性は極めて低い――聖水の瓶。
包帯を探して引っ張り出す。
湯が沸いたのを別の盥に入れ、司祭のところへ向かう。]
傷を見せな。
縫合する必要があるなら、あたしにやらせとくれ。
[持ち歩いていた裁縫道具の糸と針を、熱湯消毒して持ってきたのだ。]
マイダ……。
生きていてくれたんだな……。
[胸元に感じる熱を、優しく抱きとめ、金色の髪をゆっくり撫でる。
ずいぶんと昔、そうしていたように。]
意識がないうちにやっておくのがポイントさ。
……起きてたら起きてたで抑えとくれよ。
[少年の死体を見て、昂揚していた。
目の前にいる誰かがあのように変じる前にできることをしておきたい。
その相手が拒まないならば。
――否、拒んだとしても。
女は進んで手を伸ばす。]
ん……
[移した寝台の先、女は手際よく治療の準備をしていた。どうやら彼女には医療の心得があるらしい。
ずしりと身体が重たくなるのを感じる。緊張から開放されたのか、男の背を重力が引いた]
それじゃあ、お任せします
[ぼそぼそと呟いて、大きな身体をセルマに譲った]
手紙狂い パースは、研究者 トロイ を投票先に選びました。
手紙狂い パースは、歌い手 ナデージュ を投票先に選びました。
[ランスの胸元に縋り付く。
ぽろぽろと零れる涙はランスの胸元に染み込むだろうか。
彼が言っていることは分からないけれど、
溢れる涙はほんもの。
言葉にならないから、きゅっと服を握って。
ランスが撫でる太陽色の髪には、装飾品一つもなく。
撫でられてゆくにつれ、あたたかいものが胸に広がった。]
/*
スーと絡みにいきたかったんだけどなーーー
いきてっかなーーーー
しんでてもおかしくないんだよなーーー
あ、スクショとんなきゃ
思い出せなくて、
ごめんなさい。
あなたのこと、思い出せなくて、ごめんなさい。
[浮かぶ情景はあるのに。
ランスの胸の中で、言の葉をぽつりぽつり零す。]
[――しゃらり。
ふつうの状態ならば好奇心をかき立てられるその音にもやはり、振り返らない。
何かを諦めるように閉ざしかけた瞳が、]
――…っ。
[見開かれる。
抱き締められていると、分かったから>>64]
は、…はなし、て。
[ぴくり、と肩が跳ね上がり、嫌がる子のように首を左右に振る。
けれどそれも、ナデージュが掠れた声で“だいじょうぶ”と告げるまでのこと>>65]
[それは、色付く記憶の中の綺麗な声とは違っていたけれど。
身体に染み渡って荒れたこころを落ち着かせてくれる、そんな声だった]
………。
[だらり、と左手が下がり床に落ちた。
赤く染まった顔の右半分があらわになる]
お、っと?
[受け取ろうとしたそれが、やや強引にポケットに押し込まれた。
しわくちゃになってしまうのでは、とお節介が過ぎるが、本人は気にしていないようなので、こちらも気にしないでおくことにする。]
楽しみ、か。
[何が書いてあるのか、今すぐ目の前で中身を読んでやろうかという悪戯心を押し込めて、指先の煙草を再び口元へと持っていく。]
それじゃあ……どーする。
[それは、まだこの廃屋を探すかとか、まだこの近い姿勢で居るべきかとか、色々に向けて。]
―――――――…。
……。
[意識が遠い]
―――…。
[傷の手当てをされている、気がする。
どうして自分は怪我を負っているのだろう。
此処は戦場だろうか。
薄らと目を開けば、空には煤けた星空が。
…否、それは、灰を被ったステンドグラス]
今日は星がきれいだ。
[うわ言のようなそんな声は、エラリーに届いただろうか]
ありがとう。
[そこで再び意識は途切れ、目を閉じる。
そのまま礼拝堂から運ばれた男の身体は、
寝台へと横たわることとなる。
虚ろな意識の中、
セルマとエラリーの声がぼんやりと耳に届く]
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