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ローザ……もう、大丈夫なのね……。
何でもないわ。
私が出しゃばり過ぎただけよ。
お水を飲んでくるわ。
[本当は食欲も渇きもない体だけど]
[単純に姉だけを断罪することもない。
彼女だけを恨むなんてこともない。
自分も主原因の一つだ。
それが家族というものだ。
家族内での深い問題に関係ない人間などいないのだ。
草葉の陰目を開ける。
普段の介入とは違い、
今は、姉の手を握って介入している。
ハルはまた花冠を作っているかな。
そう思いながら
桜の木あるはずのそこへ足を向けて。]
そうかい……
[飛び征く小鳥を振り返ることも出来ずに一言呟く。
怒っているのだろう? まあ当然だ。
私なら胸ぐらを掴んでぶん殴っているところだ。
望めば何でもできる夢の中で
素顔を隠し心を隠し
生きもせず死にもせず
ただ逃げ回って流されて廻って廻ってここまできて]
ごめんね
[渡らせたかったのだろう。救いたかったのだろう。
届けたかったのだろう。私を遠い光の先に
それに応えることはできなかった。
実を晒せば傷つける
真を晒せば苦しめる
だから仮面をし続けた。
泣いているのだ
笑っているとき
自分でもわからないその思いをひた隠し
仮面は嗤う──]
― 階段の踊り場 ―
[屋上へ、上がろうとして。
途中で体力が尽きて蹲る。
誰にも見付からないまま。
膝を抱えて、6年ぶりの涙を流した――*]
[この世界は夢物語で。
例えば俺が単純に手を伸ばして、
願いの一つでもすればまた違うだろうことは
そんなことはわかっている。
仲がいい兄弟だったのだ。
追いすがって、掴まえて。懇願して、
思いのたけをぶちまけて。
苛烈な性格は姉の性格だけれど
その苛烈さがないわけではないのだ。
けれど、それをずっとしなかったのは?何故か。]
[現実は夢物語ではいないのだ。
簡単には救えない。いや、救う、その言葉が
そもそも傲慢にかわるのだ。]
だめ。
[ぽつりとした、それでもはっきりとした拒絶。
消え入りそうな声なのに、のぞく意思]
…おかあさんが、ないちゃうから。
[拒絶の理由。
夢の中でしか出来なかった理由。
ゆっくりと瞬いて、それから長く目を瞑る。
起きてはいるのか、休めという声には頷く。
外から聞こえてくる声に、少し睫が揺れる。
けれど、また瞳を閉じた]
[唇を噛み締めて、少女は都合の悪いことを"なかったこと"にしようとする。
お花畑の花が、しおれるなんて、ありえない。
だからこれは、なかったことだ。
作りかけの、しおれたレンゲの花冠から顔を背けて、少女は自分にそう言い聞かせる]
……ほら、やっぱりハルの勘違いだった。
[そうして顔を向けると、作り掛けだったレンゲの花冠は、跡形もなく消えていた]
――ぐれいへんなんかが。
だれも、あいしてない。
だれにも、あいされない。
そんな、まいごで、ぼっちの、ただのとりが。
だれかを。
すくえるはずなんて。
なかったのに。
[空の上で、何度も何度も目をこする。
視界が霞んで見えなくなって。
風の声も聞こえなくて。
何処を飛んでいるのかすら、わからない]
渡り鳥 グレイヘンは、星売り カスミ を能力(襲う)の対象に選びました。
渡り鳥 グレイヘンは、太陽の子 ミズキ を投票先に選びました。
ああ、さようなら。
……目覚めた少女達と
沢山話せよ。
こちらに連れてきた、君の役目だ
[夢の世界で、グレートヒェンの言葉に笑った。
理解できている?
物語のような単純な心理じゃないんだ。
自分のうちにあるのは、
一つの想いだけじゃない。
事実彼女はずっと誤解していた。
単に、俺が姉を望むだけだと。]
[謝罪もしない、ただカーテンを閉める。
喧嘩?と、言われた声に
グレートヒェンが声を返したのを聞いて
そのまま、片手は静かに姉の手を握ったまま。
そっとその髪を撫でて。頬を伝い
……首に手を伸ばして……引いた。]
[そうして、少女はまたレンゲを摘み始める。
いつもぽかぽかのお日様が、雲に隠れてしまったのには、気づかない振りをして。
いつもより髪を揺らす風が、ずいぶん冷たいことには、気づかない振りをして]
桜の花びらで首飾りを作るのもいいねえ。
誰が似合うかなあ……。
[ふわふわの、わたがしのような女の子の姿が、一瞬脳裏を過ぎって、すぐに消えてしまった。
そんな子は、知らない。
消えてしまった。
忘れてしまった。
覚えていなければ、もう会えないことを寂しいと思うことはないのだから]
― 常春の花畑 まだ、桜の木はあるだろうか ―
[たどり着いた常春……花の様子、
今はどうだろうと
領域の端植物を確認する。
ハルはこの世界から枯れたものを排除しているか否か
それは、いま、俺の目に映るだろうか?]
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