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[サーシャの狂気を孕んだかのような口調にも、薄ら寒さを覚えずには居られない。
家族を亡くして以来、口にする事のなかったウォトカを呷ると、ふーっと、長く息を噴き出した。]
……集まっていたら、一気にカタをつけられるかもしれないじゃない。
誰が人狼か分からないのに。
人狼じゃないかもしれないけれど、何だか気味が悪い人も居るし。
わたしは、ゆっくり眠りたいの。
こんな所で一晩過ごすなんて真っ平。
人狼は、複数居るわ。
だって、シャノアールさんは、シュテファンさんと一緒にいて、犯行が不可能だった訳でしょう?
つまり、他の人狼がこの中には居る。
[自分が占い師であり、シャノアールが人狼であると告発している事になっているとは思ってもみなかった。
とにかく、人狼からも、<<処刑>>を言い出すかもしれない人間からも、逃げたかった。]
― 三等車両寄りの二等個室 ―
[天井を見詰め続けるうち、瞼が落ちていたようだ。
ふと意識を戻せば、見えるものは薄暗い天井]
……ああ、消灯時間。
しまったな、せめて水差しくらい貰っておくんだった。
[額に落ち掛かる前髪を押さえ、ゆるく頭を振り上体を起こす]
――悲鳴?
…………誰の。
[ちょっと物を壊してしまった、うっかり荷物を外に落してしまった。
――そんな悲鳴では、決して無い色の声]
[確信めいた嫌な予感に、月明りの中で寝台から降りようと脚を床へ付ける。
その時、小さな案内人の幼い顔が扉から覗いた]
………………きみ。
[車内で何か良からぬ事が起こり、案内人の彼が乗客へ事情を伝えに来ている。
そんな風に思えれば良かったのだけれど、自分には、彼がもう生を持たない者だと分かってしまっていた]
[顔だけ覗いた彼の半面は血に汚れ、彼が死者である事は容易に知れる。
もし彼の姿が見える者が他に居たとして、室内に頭部と僅かな四肢の残骸のみで浮かぶ彼が生きているとは思えないだろう]
ここには君の身体は無いよ。
……だからもう、お行き。
[引き千切られた魂に、静かに告げる。
肉体に相当のダメージを負った魂は、肉体同様――もしくはそれ以上に、深い傷を負う。
だから、彼は何らかの身体的ダメージを負って死亡した事になる]
[彼は何も訴えはしない。彼の声は聴こえない。
一見して『犠牲者』と分かる者の声は、聴く必要が無いとでも言うのだろうか。聴こえる声は、いつも無い]
[ふらりと律儀に扉から姿を消す案内人の気配が消えたと同時に、詰めていた息を吐く]
…………ここにも、居るのか?
人狼が。
[先程、食堂車では口にしなかった問い。
それを呟いて、頭を抱える]
…………。
とにかく、様子を。
[このまま鍵を掛けて閉じこもって居た方が安全なのではないか。
そんな風に考え掛けるも、人狼にそんなものが通用しない事も既に知ってしまっている。
出来るだけ多く人が集まる所へ、それも早く向かうべきだと判断をし、降り掛けていた寝台から離れた]
>>117
[アナスタシアの名前を知らないので、訊き、自分も名乗っただろう。]
ああ、あんたの言うのもありだな。
集まってたらあっというまにやられるかもしれん。
隠れて見つからなければ、命は助かるかもしれないしな。
[そして、狼が複数いる、と確信する様子には片眉をあげたが。]
……?
[ミハイルの視線が何を示しているかを少し考える。いつもと同じように人より多くの時間を使って、お茶が飲みたいのかと気づいた。]
魔法瓶。あっちに。
[たばこをくわえる様子を見て、自分が持ってくることを期待されているのかと考える。立ち上がろうとしたとき、アナスタシアの声が聞こえた。]
― 食堂車 ―
[人が集まるのならば、一般車両か食堂車。
消灯を過ぎ機関室以外の灯りが落された時間に、一般車両に居る物好きはそうは居ないだろう。
必然、向かうのは食堂車になる]
…………なにか、ありましたか?
[果たして其処には、ランプの灯りに照らされる人々の姿があった。
その後ろに不気味に映し出される影に気圧されるよう、恐る恐る問い掛ける。
何事も無い筈が無い事を、知っていながら]
っ……!?
[立ち上がりかけた姿勢のまま、凍り付く。
シャノアールのアリバイを語った。人狼が複数だと言った。それはつまり、確信。彼女がシャノアールを人狼だと"知って"いるということ。]
……賢者の人、シュテファンさんと一緒に……?
[ぎゅう、とコートの前をつかむ。隠れていた。どちらが本物? 演技の可能性、仕えるものはいるのか……]
……。
[考える。本物の敵は、だれだ?]
>>65 イヴァン
なんだか悪いことを言っちまったみたいだねぇ…。ごめんよ。
生き残るために最善を尽くすっていうのは気に入ったかな。
[...は頭をぽりぽり掻いていたが、サーシャ>>66の【おばさん】という言葉を小耳に挟んで、ぴくん、とコメカミが動いた]
[食堂車を出るや否や、背後から声が追って来る。
それがエーテルだと知れば、意外、といった風に眉を上げた]
へ……? ああ、いいけど………驚いた。
死体を見に行きたがるようにゃ見えなかったもんで。
単独行動を気にしてくれたんなら、助かるけど。
[一等車両を抜け特等車両を行き過ぎると、機関室の扉が見えた。
仄々と灯りの燈された部屋が、薄暗い廊下に浮かび上がっている。]
此処か。
流石にここまで来ると、臭いもきついぜ……
[色濃い死臭。これだけで、夥しい血が流されたことが分かる。小さく舌打ちして、扉を押し開けた。]
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